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その3

イスリールの大通り

城へと向かうメインストリート

普段は、多くの人が行き交う通りだが、今は誰も歩いていない

その代わりに、道の両脇を固める様に大勢の人が立っている


ー おい、見ろよあれ

ー 嘘だろ…信じられねぇ


いつもの活気は鳴りを潜めて、

ざわざわとした、押し殺した声だけがもれる。

街の人々が見ているのは、通りの真ん中を歩く1人の男


筋骨隆々な引き締まった体、肩まで伸びた黒髪

服は着ておらず、腰に巻かれた小さな布が辛うじて局部を隠している。その布の端は、溶けたのか焼けたのか焦げている様に見える。


男の表情は険しく、全身からただならぬオーラを発している。


ー 鬼じゃ…ねぇか?

ー バカそんな訳あるか!だって見ろよ!


男が片手に持っているのは、ドラゴンの頭蓋骨


ー きっと召喚された!英雄様よ!

ー ありがたや、ありがたや

ー スゲぇ

ー いい男だねぇ


老若男女様々な声


ー ありゃきっと、英雄・法師ルド様だ!

ー いや剣士ライデン様だよ

ー でも英雄といえばエウロン様じゃ?

ー バカ、あんなゴツいエウロン様がいるかよ!?

ー 神様じゃ!ありゃ闘神様じゃ!!

ー いい男だねぇ


男の顔は一段と険しい


(やべぇ……どうしよう……)


オグナの顔が険しい理由


(めっちゃ…見られてる……絶対怒られるぅう)


ギリギリ余った布で、すっぽんぽんは免れたが

この露出度は、どう足掻いて益荒男(マスラオ)になったのがバレる。誤魔化し方も、言い訳も、色々考えてみたものの

どうにもこうにも出来ないオグナがとった手段は、出来るだけ男らしい顔付きで真っ直ぐ城に帰る事たっだ。


ー なんて怖い顔だ!

ー 相当な修羅場を超えて来た戦士に違いない

ー いい男だねぇ

ー バァさんヨダレが垂れてるよ

ー てか、なんで裸?


(しょうがないじゃん…毒で…全部溶けちゃったんだもん)


それでも、あれこれ言い訳なんかを考えながら

ようやく城の前までやって来た。ごくりと自然と喉が鳴る。

「会ったとたん、ぼこぼこにされたりして…」

嫌な気持ちで扉を開ける。

しかし、目に映ったのは予想だにしない光景だった。


「助けてぇーーーーーー!!!オグナさーーーん!」


飛び込んで来た悲鳴をあげる助けを求める姫の姿!

床から生えた黒い影が、姫を小脇に抱えている。

オグナをじっと見つめた影が言葉を発した。


「…バーサーカー?」


男性にも女性にも聞こえる不気味な声だ


「まぁいい…欲しい物は…手に入れた……」

お姫様を抱えたまま影が音もなく地面に溶けていく。


「待て!!!!」

すぐに駆け出し手を伸ばす!

しかし当然邪魔が入る!!


影傀儡(シャドール)踊子(プリマ)

影が何やら唱えると、新たに影がにゅるりと生えてくる!

ゆらゆらと踊り狂う4体の黒い人形!!

コレを邪魔だ!と一撃で討ち払うオグナだったが


「ユッケ!オグ………」

寸前の所で、姫の体が完全に影の中へと消える!


「ひ…め…さま」

床に倒れたユッケが、姫が消えた影に手を伸ばし体を引きずる

すぐさま駆け寄り抱え上げる

「おい!あんた!何があった!」

「オグナ殿……」

気を失うユッケ、額にはひどい流血!

「おい!誰か!誰か!!手を貸してくれ」




〜まる1日後〜


「助けに行かないですと!!」

ユッケの怒号が飛ぶ!

「それでも!エレナ様に召喚された者の答えか!」

「おいおい、あんま騒ぐと傷に障るぞ…」

「これが騒がずにおれま…クッ!」

言うと、すぐさま横っ腹を押さえる


「大丈夫!何とかなるって!」

「何を悠長な!!姫様だけで無く国宝の金貨も盗られたのですぞ」

「だから大丈夫だって!」

「その強さがありながら何故、姫様を見捨てるのです?」

「見捨てるなんて言ってない!わざわざ助けに行く必要が無いって言ってんだ!」

「同じコトではございませんか!…イテテ!!」

「大丈夫!待ってりゃ良いんだ」

「何を待つと!もし遺産が"悪用"でもされれば!」

「おぉわかってんじゃん!だから待つんだ!」


オグナの自信の笑みを浮かべる


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