筋肉質の魔法使い・その1
趣味ですので、少しずつ書きます。
さっくりと読める内容になれば、良いなぁと思います。
また、元々あったアカウントで更新のしようとしましたが
久しぶり過ぎて、アカウントにログイン出来なかったので、
アカウントを新しく作りました。
人里から遠く遠く離れた、孤島「カイナ島」
その島にある大きな森の片隅に
小さな集落「シドウ」があった
この村で、元気な雄が産声を上げる
その赤子は【オグナ】と名付けられた
シドウの戦士 オキナの息子
その瞳は転生者の特徴である、金色であった
〜オグナが生まれる1400前〜
世界の中央に、人間族の聖地
【聖都:ヌアダ】は、あった。
ここヌアダには、少し前まで魔王の城がたっていた。
魔城の主人、魔王の名は "ベオーラ"
魔の力に魅了され、世界を我が物にしようとした強者だった。
闇の中に煌々と光る、魔力を宿した眼光に
人々は、ベオーラを【死の瞳】と呼び恐怖した。
しかし、世界に闇をもたらしたベオーラは、
4人の英雄によって撃ち倒される。
彼らによって、ベオーラが倒された後、
人々は、この魔城を中心に聖都:ヌアダを作り上げた。
魔王討伐の四英雄が1人
魔導師:エウロン・カーズ
人類最高の魔力を持ち、知恵の賢者、美の化身と呼ばれた男
シルクの様な薄い桃色の髪に、魔力を浴びた深い紫の瞳
神々を描いた絵画や彫刻から抜け出した様な優美な姿
そして彼の持つ【絶対的魅了】の能力は、
見る者全てを惹きつけた。
女性でさえ憧れを覚えるほどの美しさは、
"美の女神 タンレ"さえ嫉妬すると称えられた。
ー 許せないッ ー
実際にエウロンの美しさは、女神タンレを嫉妬に狂わせた。
ある日、1つの報が瞬く間に広がった。
英雄エウロンの訃報
魔王さえ打ち倒した魔術師エウロン
誰にも予想できない余りにも早過ぎる死
彼の死に、聖都ヌアダは悲しみで溢れた。
…………
……
…
「えっとね〜その〜ごめんね⭐︎」
悪びれる様子も無い少女がペコっと頭をさげる
「……は?」
少女が頭を下げる先には、絶句し言葉を失くした男性がいる。
戸惑いの渦中にいるのか
言われた男性は、二の句も出せずに表情だけが強張っている
男性の感情や、なんとも気不味い温度感などお構い無しに
少女は続ける。
「その〜〜〜殺っちゃった、ごめん⭐︎」
少女は愛らしくペロリと舌を出し、パチクリとウインクを送る
その閉じられた瞳からキラリと星が飛び出すようだ。
ここは天国、神々と魂の世界。
天国は今日も平和である。
そんな平和を謳歌する天国に悲鳴にも似た絶叫が響く
「はぁぁぁぁあああ?!?!?!?!?!?!」
と、男性は困惑と絶句の表情を崩さない。
「だってぇ〜私より、綺麗なんだもん!ぷんぷん」
頬を膨らませた少女こそ、美の女神タンレである
「だから…………ヤッちゃった⭐︎」
再び星が飛び出した。
「ヤッちゃったじゃねーーーーーよ!」
エウロンの怒号が空気を震わせる
「ヤッちゃったじゃねーーーーーよ!!!!!」
目の前の少女に、エウロンの怒りは収まらない
「だって、だって〜!もうヤッちゃったんだもん」
「もん!じゃねえ!!歯ぁ食いしばれ!ぶっ飛ばしてやるよーー!!」
「べー!!神様だから何やっても効かないもんね〜」
ブチっっと血管が切れる音がした。
「ん、だとてめぉ!!良い度胸してるじゃねえかクソガキが!
本当に効かねぇか!!試してやるよー!!!」
怒鳴り声をあげなら魔力をありったけ込めた腕を空にかざす。
太陽ほどの熱を放つ稲妻を纏った火球が出現する。
エウロンは怒りのまま力を込めてた腕を下ろす!
と、その時!!
「申し訳ございませんでしたー!!!!」
雪崩のような声量で、エウロンとタンレの間に
割って入ったのは、全能の神:ゼノン
神々の王にして、万物の父、
まさかゼノンほどの存在が、人間に頭をさげる…もといダイナミック土下座で登場しようとは…。
「だってパパ〜こいつがねぇ、こいつがね…」
「うんうん!大丈夫、大丈夫!良いのよタンレちゃん!
タンレちゃんは悪くないよ、ここはね、パパに任せなさい」
「娘が申し訳ございませんでしたー!!!!!!!」
ゴチん!と地面を鳴らしながらゼンノは深く頭を下げる。
謝る親の背後から、あっかんべーとタンレが舌を出している。
(こいつ!……)
またもや、血管が切れる音が聞こえてくる。
エウロンの目に全能の神とは、ほど遠いゼノンの姿が映る
完全な親バカな、その姿。
どんなわがままも、どんな失敗も
可愛い可愛いと娘を叱ることなく育てて来たのであろうことが
容易に想像出来る。
「ほら、タンレちゃん!ごめんなさいは?ごめんなさい!」
プイッ!とタンレはそっぽを向く
「娘もこう言ってますんで…」
「今、何にも言ってねぇーだろ!!!!」
(…こいつら…ダメだ)
エウロンの怒りは、諦めへと変わった。
ふっ と火球が消える
「で!どうしてくれんの?」
何が?と、お互いに神々が顔を見合わせる。
「はい?」
「はい?じゃなくて!どう責任とんの?」
知恵の賢者と謳われた男とは、到底思えない悪辣な態度で
エウロンが神々を睨み付ける!
エウロン本人は、知らない事だが、
彼の寿命は、あと70年以上はあった。
本来であれば、死者をも復活させる魔法があるが
エウロンは、蘇生する事が出来ない。
なぜならば……
「お前のせいでな!俺の体は、もう存在しねぇーんだよ!」
エウロンの死因は病死。
しかし、ただの病死ではない。
疫病にかかって亡くなったのだ
呪いにも似たその疫病にかかったものは、
歯も爪も髪も抜け落ち、体中の肉がただれ、
ひどい悪臭の膿が全身を覆う。
血液は濁り、次第に腐り絶えぬ苦痛の中で
醜く死へと到る病であった。
他者への感染を防ぐ為、エウロンの肉体は
すぐさま火葬にかけられた。
器の無い魂に帰る場所はなく、
最高位の蘇生魔法であっても復活することは出来ない。
「なんちゅームゴい殺し方してくれてんだ!!!」
「わータンレちゃん!そんな事したの!めっ!タンレちゃん!めっ!」
(あぁ…頭痛が痛いって、こう言う事か…)
たまらずエウロンは頭を抱える
「では良かろう、そなたを転生させ新たな人生を与える」
えっ! とエウロンは頭を上げる
「何か望みはあるか?」
ようやくゼノンが神々の王に見えてきた
「では、全能たる神よ…」
少し考えてからエウロンは真っ直ぐな目で神に願う
「老いる事の無い美しい肉体を!
今世で得た魔力をも超える無限の力を!
そして!2度と神々に邪魔される事の無い
素晴らしい人生を!」
「けっこう欲張るな…まぁ良い」
ゼノンが指で宙に何やら光り輝く文字を書く
「良かろう、その願い、全て受け入れた」
瞬間、エウロンの身体が輝き始める
「じゃなクソガキ」
「べー!!ほんとは、お前なんか地獄行きなんだぞ!!」
「んなわけねぇーだろ!」
「いや…それは、本当だ…」
「へ?」
「お前は、生前、あまりにも多くの女性を泣かせた。
いや泣かせ過ぎた、魔王討伐も霞むほどにな…」
「あっ…あ、マジか…」
(思い当たる事があり過ぎてツラい)
「だからこそ、次の人生では、
罪が消え、天国に行けるよう特別な生涯にしてやろう
それが私からの細やかな詫びである、許せ人間…」
遠のく意識の中
ゼノンの背後で、タンレがコソコソと
妙な動きをしたように思ったが
微笑むゼノンの顔を見た時
何故か、大粒の涙目がぽろぽろと溢れ
エウロンの魂は、柔らかな光となった
……………………
……………
……
…
次の目覚め、おぼろげな視界のな中
エウロンは再び現世に産声をあげる。
魂だけでは、実感する事の出来なかった、様々な情報。
呼吸すると感じる空気の味、心臓の鼓動、
肌に当たる風の感触、音と光、五感への刺激
《命》の実感に涙が止まらない
エウロンは理解する
赤ん坊の産声は歓喜の声と涙なのか…と




