表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

例え水に食われても

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

例え物語であっても、弄ばれると憤慨する様になったのは、何時からでしょうね。

多重に重なるコーラスが神秘的で美しくて、惹き込まれる。でも時々、打ち消される様に主旋律が霞んで無くなってしまうのは、水中(みずなか)に呑み込まれたからなのかも知れない。

でも、でも、でも、終わりに向かうに連れて、打ち消されないように、抗う様に、はっきりと聞こえるのだ。そして最後のサビでは転調を迎える。波に抗って、帰ってきたのだと、光を掴んだのだと知った。


基本的に彼女は生者を嫌う。でもそれ以外には比較的寛大だった。物に対しても、動植物に対しても、人外に対しても、死者に対しても。

そんな彼女は今日も私の膝上に頭を乗せて、ぽろぽろと涙を零す。

「この場所で、死に纏わる話をする事をお許し下さい。

死者を貶すことは万死に値します。口も聞けない、動けない、全てを奪われたから、だから弔う事が大事なのです」

膝からとろとろと流れ込むのは、遺体を弄ばれた者たち。物のように粗雑に扱われる者たち。惨い扱いに思わず気持ちが沈む。けれどもその者達を慰める様に、弔う様に、鎮魂歌が延々と流れている。

「頭の中で反芻する事で、弔っているのだね」

「そうする事しか出来ないから。見ず知らずの人だから。関わりのない人だから。そうする事しか、出来ないのです」

そんな彼女の気持ちを和らげる様に、そっと髪に触れる。すると、か細い、今にも消え入りそうな声で、囁くのだ。

「私が亡くなっても、こうして覚えていて下さいますか? 忘れてないで下さいますか?」


万物は海から生まれ、体の大部分は水で構成される。それでも、水に意志はない。意思は無いから、遺体は海中に食われて戻って来なかった。でも、私がこうして墓参りをして、何時までも弔い続けたら、戻って来ると思っている。

「この歌の様に、最後にはこの場所に戻ってくると思ってるよ。戻ってくるまで、私は此処を守り続けるよ」

物語でキャラが死ぬのは当たり前。

精神で物を読むので、過度に悲しんだり、怒ったりしないんですよ。

でも死者を弄ぶ真似にはブチ切れます。

弄んだ者を憎悪するくらいには。


ほんな話はおいといて。


元ネタは、とある鎮魂歌。

歌詞もメロディーも、とても素晴らしいんですが、よくよく聞いてみると、細かいところにも趣向が凝らされてるんですよ。

時折主旋律が聞こえ難いところとか、転調して上がるところとか。

飲み込まれても、希望は捨ててないのだと思います。


弔い続けたら死者にも届く。今いる空に戻って来る。

だから生きている限り、守り続けるよ。

という墓守の話でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ