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エピソード4



  2014.09.23


 廊下で顧問に声をかけられ、私は期待に顔を輝かせて顧問のもとへ駆け寄った。


「彼女と連絡が取れたは取れた。だけどな」


 顧問は神妙な顔をして、途中で言葉を切った。


「だけど、なんですか?」


 もったいぶらずに早く話してほしい。少しイライラしながら顧問の先をうながした。


「連絡をし合うのは、作品を読んでどう思ったかを答えてからだ、とさ。

 あんまり気を悪くしてくれるなよ。彼女は――んー、なんていうか、ちょっと変わってるっていうかさ」


「分かりました。メールで送ればいいのでしょうか」


 一も二もなく了承した私に、顧問は面食らったようだった。


「あ、そう。すごいファンがついちゃったもんだな、ははは。

 彼女、連絡先は明かしたくないみたいでさ、感想文ができたら僕経由で彼女に送るから。それでいいかい?」


 直接メールが送れるという期待が打ち砕かれ、私は落胆の表情を隠すこともなく顧問を見上げた。


「先生は連絡先を知ってるんですね」


 自分でも(ひが)んでいると分かる声が出たのが分かった。顧問にも伝わったらしい。


「ま、顧問の特権だな。熱烈なファンレターでも書いて大先生のハートを射止めてみてくれ。喜ばせたら連絡先が手に入るかもな」


***


 私は部に顔を出さず、アパートに戻りレポートにとりかかった。


 顧問は『感想文』だとか『ファンレター』だなんて幼稚な表現を使っていたが、講義の分析レポートを書く以上に真剣に取り組んだ。


 



 満足のいくレポートが完成したときには夜が明けようとしていた。


 レポートを読み返し、あの人に渡しても恥ずかしくない出来になっていることを確認する。


 それでも睡眠不足で思考力が低下していることも踏まえ、少し仮眠してからもう一度読み返して、それからPDFを顧問に送信しよう。


 そう思いながら、少し眠ることにした。


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