扉
コンコン。
扉をノックする音が聞こえる。
時刻は深夜四時。
明らかな違和感。
友達?宅急便?同じマンションの住人?聞き間違えか?
寝ぼけた頭の中を様々な思考が駆け巡る。
コンコンコン。
もう一度扉をノックする音が聞こえる。
聞き間違えではなかった。
明らかに私の部屋の前に何かがいる。
管理人に電話をかけようとも思ったがこんな時間には起きていない。
ゴン!ゴン!
ノックの力がどんどん強くなっていく。
さすがに恐怖を感じるようになった私は警察に通報した。
10分から15分かかるそうだが、助けに来てくれるようだ。
ガチャ。
扉が空いた音がした。
最悪の可能性が頭をよぎる。
まさか、入ってきた?
どうやって?
足音が近づいてくる。
私はベットの下に潜り込んだ。
リビングの扉がゆっくりと開く。
足しか見えないが、男物のボロボロのスニーカーを履いている。
私の部屋を数分間歩き回り、台所でぴたりと止まった。
引き出しを開ける音が聞こえる。
おそらく包丁を取り出した。
私の中の恐怖がピークを迎える。
息が荒くなり体が震える。
足音が私のいるベットのほうへと向かってくる。
さっきまでのゆっくりした足取りではなく、一直線に私のほうへ。
私は恐怖でどうにかなりそうで、壁際のほうに目をそらした。
すると足音はベットの前で止まり、何の音もしなくなった。
一分ほどたち、サイレンの音が聞こえた。
足音はしない、サイレンの音がする。
足音の主は、サイレンを聞き逃げ出したのだろう。
安心した私は、ベットの下から這い出ようと頭を出し部屋を見回した。
部屋にはだれもおらず、私はベットの下から抜け出した。
私はベットの上を見過ごしていた。
「無理だって。」
私の首に包丁が突き刺さる。
「うわぁぁぁ!!!!!」
悪夢から目が覚めた私は、首を触り生きていることを確かめた。
全部夢だった。
それにしても、怖い夢だったな。
時刻は深夜3時59分。
まだ寝れるな。
ベットに寝転がり布団をかけなおす。
コンコン。
時刻は深夜4時。