1話
僕が幼いとき、友達がひとりいた。
「瑞紀、どうしたんだ?」
いつも心配してくれる優しい友達だった。
確か名前は、九元 空といった。
彼はとても優しいけれど、自分自身には厳しくて。
初対面の頃は冷たい奴だ、と思っていたけれど親しくなるうちに、本当は優しいのだと分かっていった。
幼いとき、といっても五、六歳の頃じゃない。十歳になったかならないくらいの頃だ。
今ではぼやけてしまっているが、はっきりとしていたであろう夢をみた。
彼が、今とは違う髪の色で、僕が知らない少女と一緒に何者かと(どうやってかは知らないけど)戦っている夢だ。今でははっきりと思い出せないけど、みた当時の頃はちょっとした恐怖を覚えた。
――そのうち、彼がどこかへ行ってしまうのではないか?
そんな思いが頭の中を駆け巡るのだった。
だけど、その思いが当たっていたなんて、思いもしなかった。
僕がそのとき住んでいた町のモノリアは、とても親切な人で月に一度町人に預言をしてくれる。それは子供も例外は無く。
空も預言を貰っていたんだけど、或る時。
空がいつも冷静な顔を崩していた。僕は急に心配になって声をかけた。
「そっ空? どうしたの?」
空は僕の声に気づくと、少しだけ目を見開いた。そして僕から離れようとする。
――イヤだ! 空! 僕のそばに居てくれよ!
心の中では叫べても、口に出せない。だけど、身体は動く。
今にも離れていこうとする空の腕を、思わず掴んでいた。振りほどこうとする力を、無理矢理抑えて声をだそうとする。
「行くなよッ!? 僕のそばに居てくれよ!」
空はとても驚いたように僕の顔を見つめた。そして力をふっと抜いた。
「お前にも『視えた』のか。・・・・・・モノルに逆らう事は出来ない。俺はどう足掻こうと、ここにいられなくなる」
「・・・え?」
僕が空を見る目には涙が溜まっていたと思う。
「だから、無理矢理行かされるのではなく、自分から行くことにしたんだ。俺はお前を忘れるかもしれんが、お前はずっと忘れないだろうな、俺の事」
独り言のようにつぶやく空のいっている事が全然分からなかった。だけど、彼がもう自分の傍からいなくなるということだけは、理解できて。
それから彼は居なくなった。彼の家族も残して、ひとりでぷつりと。
その思いが当たっていたなんて、信じたくなかったけど現実から逃げる事はできない。
少なくとも彼は僕に手の届かない所で、自分に厳しく仲間に優しく、そう彼らしく生きていくだろうから。
まったくもって意味が分からない文章になったと思います。
どなたか、文才を分けてくださいよ。
まずは瑞己の幼少期から書いていくつもりで、おいおいモノルのことが分かるようにしていきたいですね。この謎な文章が次の伏線となりうることを願って。