表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士団長の歩き方  作者: Akila
2章 王城と私
71/100

21 まさかの親子

今日は第6の演習場である塔の屋上へ打ち合わせに来ている。


何の打ち合わせかって? 皇太子殿下の婚約パーティーの警備についてだ。今回は他国の要職者達も参列するからね。


「こちらです」


案内してくれる第6の騎士がさっきから私をチラチラ見てくる。ん? 誰?


「あの? 何か?」


「いえ。失礼しました」


新人君かな? 若い。女性の団長が珍しいのかな? その騎士は顔を真っ赤にして前を向いて案内に戻る。そして、屋上に着くと久しぶりの人が居た。


「キャスリーン様!」


第3魔法士団副団長、あのキャスリーン様がなぜか居た。若干、第6の団長、ユーキさんが引いている感じがするけど。苦手なのかな?


「あら? ラモン団長じゃない。打ち合わせかしら?」


「えぇ。キャスリーン様はどうされたんですか? 王族の護衛か何かですか?」


私はキャスリーン様に会えたのがうれしくてウッキウキで近寄って行く。


「ふふふ。今日はプライベートでね。お休みなのよ」


???


「あら? まだわからない?」


「ま、まさか! ユーキさんが恋人? 年下とは… 恐れ入りました。流石です!」


「あはははは。そう来るか。違うわよ~、あはは」


「おまっ。恋人とか止めろ! 気色悪いわ、こんなババァ」


「ババァ? 今、ババァって聞こえたけどぉ?」


「いや… まぁ… その…」


ユーキさんが言い返さない。タジタジだ。珍しいと言うかちょっとレアなユーキさんを見たな。てか、キャスリーン様の顔がめっちゃ怖い。これはいかんな。


「え~っと。じゃぁ、どう言うご関係で?」


「本当に鈍いのね。ドーン? この子大丈夫?」


「ははは。鈍いのではない、お前達と違って純真なのだ。団長、この2人は親子です」


は? は?


「え? ガチで? キャスリーン様からこのゴツいのが?」


「ふふふ。私も不思議なのよ~。こんなゴツいの。父親に似たんじゃない?」


「おい! ゴツいとか言い方があるだろう! チビが」


「あ~、またチビって言った! 約束したのにぃ」


「え? 友人? 友達なの? これと?」


「はぁ、まぁ~成り行きで」


「ふ~ん。でも良かったわ、ラモンちゃんが友達になってくれて。この子、性格がアレでしょ? 昔から友達が出来にくくてね~」


「おい! そんな話は今関係ない。てか、俺は今からこいつと仕事だ。帰れ」


「あ~はいはい。じゃぁ、当日はよろしくね? ()()()にも言っといてよ」


「自分で言え! おい! クソッ、転移しやがった」


誰誰? あいつって? 父親は? めっちゃ聞きたい事盛り沢山なんだけど~!


「でも、納得です。魔法に長けているのはキャスリーン様の血なんですね?」


「あぁ… いい歳してあの格好、こっちが恥ずかしいわ。てか、お前、本当に知らなかったんだな? 父親の方も暗黙の了解だが、結構有名だぞ?」


「暗黙の了解? 何で隠すの?」


「離婚してんだよ。親。俺はババァの方に引き取られたからな」


「へぇ~。聞いてもいいなら聞きたいな。有名な父親かぁ… って、母親がかなり有名じゃん。それで十分じゃない?」


「はぁ~。お前は… まぁその内わかるだろうが」


… 沈黙。


「って、言わんのか~い! 誰ですか? 教えて下さい。魚の骨が引っかかった感じで今夜眠れません」


「まぁ… 隠すもんでもないんだが、総団長だ」


「はい?」


「だから、俺の父親はハドラー総団長」


マジ! え? じゃぁ、こいつ王家の血を引いてるの? え? え?


「それって… みんな知ってる事? え~?」


すんごい人居たよ。しかもこんな身近に。私はなぜかあたふたしてしまう。あわわわわ。


「はい、もう20年も前に離婚しているのでみなさん忘れがちですが… ユーキ殿はキャスとハドラーの息子です」


あの2人の幼馴染のドーンが言うんだからそうだよね。そっか、そうなんだ。


「うわ~。すごいね… 次元が違い過ぎてそれしか言えない」


「ははは。それしか言えないって。普通は見る目も言動も態度も変わるんだがな。ははは、お前はやっぱり面白いな」


「なっ。面白いは余計じゃないですか? だって、知らなかったんだし。今更態度変えるのも変でしょう? てか、だからゴツいんですね。剣の腕は父親、魔法は母親って。超ハイブリット過ぎ」


「ハイブ? まぁ、そう言うこった。あと、先に言っとくが俺は継承権はないし、王族でもないぞ? 勘違いしたやつらが多くて困る。俺は普通の貴族だ」


うっ。考えてる事わかってる感じ? てか、普通の貴族って。何だそれ。


「心読みましたね? そっか、でもいいな~。キャスリーン様が母親とか。自慢ですね」


「どこがだ! 若作りババァの魔法オタクが自慢になるか。てか、ババァの話は終わりだ」


そうなの? もうこの話は終わり? 演習場には何人かの第6の騎士が集まっている。そうだそうだ、仕事で来たんだった。


「了解です」


ユーキさんは騎士達の方を見てニヤッとしてから私に聞いてくる。


「てか、ついでだ。ラモン、お前、その様子じゃさっきのやつも知らないんだな?」


さっきのやつ? 誰?


「他に誰か居ましたっけ?」


「ほら、お前を案内した若い騎士が居たろ?」


? 私がハテナになっているとドーンが口を挟む。


「団長、申し上げる程ではなかったので黙っていましたが、先程の案内した騎士は私の下の息子です」


!!!


思わずドーンを振り返る! マジか! 今日は親子祭り? すごいな第6。


「そ、そうなんだ。第6って、息子さん優秀なんだね?」


やっぱりドーンの息子は尋常じゃなかったよ。第6だよ? あの若さですごい。魔法と剣と。学校でも上位の人しか入隊出来ない超難関。


「いえ、それほどでも… 私の話はこれで止めましょう。仕事には関係ありませんから」


ドーンは涼しい顔で仕事をしようと言ってくる。って事はこれ以上は突っ込んだらダメか。


「… わかったわ。ユーキさん、話が脱線して… では、パーティーでの警備について話し合いましょうか」


それからは仕事モードになってサクサクと話を詰めた。当日の空の警備の範囲や実際の結界がどんなもんか見たり、第3の巡回経路や要人の警備方法などを話し合った。


終始仕事に徹してはいたけど、やっぱりチラチラとドーンの息子さんが視界に入って、私はちょっと落ち着かなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ