表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士団長の歩き方  作者: Akila
1章 ようこそ第7騎士団へ
46/100

44 陛下ってこんな感じなの?

「おう、よく来た。座ってくれ」


と、総団長が書類と葛藤しながら私に手で挨拶する。


しかし、ドーンと第1へ訪れた私の目に映ったのは、一人掛けのソファーで優雅にお茶を飲む陛下だった。


ピシっ。


「時間を改めます。失礼致しました」


私は敬礼して逃げようとしたけど失敗した。分かりやす過ぎたか、とほほ。


「座れ。ラモン」


陛下は一言だけそう言って目で座るように促す。


「… はい。御前を失礼致します」


長~いソファーにちょこんと座る私。緊張と居た堪れなさで目の前の陛下を直視出来ない。う~、早く~解放して~。


「まぁ、そう身構えるな。楽にしていい。ここには私用で来ているからな」


「… はい。恐れ入ります」


「ラモン、そなたは私が予想していた以上の働きをしているそうだな?」


「申し訳ございません。何事か拝察致しかねます」


「は~、固いな。もっと普通に話せ、肩が凝る」


「すみません」


「当初は第7を立て直す為に、ドーンを遣わせたのだがラモンがやってのけるとは、面白い、なぁ?」


「お、恐れ入ります」


「で、だ、ハドラーより聞き及んでいるだろう? 新年の騎士団の編成の事を?」


「はい。少しですが」


陛下は私の後ろのドーンを一度見てから、また私に視線を戻しニヤッとした。


「そなた、第1には行きたくないそうだな?」


… どう答えるのが正解? 正直に『はい』? それとも『そんな事は…』って濁す?


「どうなんだ?」


「まぁまぁ陛下。そう追い詰めるなよ、ラモンが焦ってるじゃねえか」


と、ようやく事務作業を終えた総団長が話に加わる。ふ~、ちょっと助かった。


「おいおい、ドーン、陛下に殺気を飛ばすな。お前達は本当に相変わらずだな」


「さぁ?」


おいおいドーンさん。私越しにそんな適当な返事をするなよ。怖いんだけど。


「それでな、ラモン、お前はやっぱり他へ異動させる」


「え? 正式に決まったのですか?」


「あぁ、私が許可をした」


陛下と総団長は息がぴったりだ。しかも横に並ぶと結構顔が似ている。やっぱり私の聞き間違えではなかったようだ。


ハドラー総団長は陛下の叔父さん。


2人がニヤニヤと話しているのを眺める。目が似てるのかな? いや~眉毛? う~ん。


「… モン。ラモン! おい! 聞いてるのか?」


「はっ。すみません、ちょっと違う事を考えていました」


「ははは、緊張しているのかと思えば、平気で妄想するとか… ドーン、本当にこんなヤツがお気に入りなのか?」


陛下は『肝が座っているのか何なのか』と、絶賛大爆笑中だ。


ふん。ちょっと似てるから色々見てただけじゃん。


「… で… だ。だからラモン、そう言う訳だからな」


総団長が言い放つ。って、また聞いてませんでした。


「え? え? 聞いてませんでした」


「あはははは」


「お前… はぁ陛下、笑い過ぎだ。だからな、ラモン、お前は新年明けに異動だ。1月中に引き継ぎを終わらせて2月から新しい職場だ。他の者もな」


「え~~~! どこですか?」


「第3だ」


「はぁ? あ~、第3? まぁ、ユーグさんの下ならいいか。第7は好きでしたが上の命令ですから致し方ありません。はい」


「ちょっと勘違いしてないか? 本当に聞いてなかったのだなお前? はぁ~呆れたヤツだ」


さっきまで大爆笑していた陛下も残念な子を見る目に変わっている。すいませんんね~! 妄想好きで。


「総団長、何が違うのでしょう?」


「詳細は新年明けだが、第3のユーグナーは第1に異動、その後にお前が入る。ドーンもな」


「私?」


「あぁ、第3の新団長にラモン、副団長にドーンだ。お前らはセットにした方が、色々と効果がありそうだからな。本当は第1に来て欲しかったんだが… まぁ、王城勤務なんだ、少しづつ慣れればいいさ」


何に? 第1とか言わないでよ?


「ははは。私が団長なのはどうなんでしょう? この際、平騎士に戻してドーンを団長にしては?」


「それはない。そなたの功績は大きい。今回もまた大活躍だったそうじゃないか?」


大活躍か? 誰でも予測できるアホな陰謀に乗っかって、第1と組んだだけじゃん。しかも関係者はめっちゃ少数だし。相手が高貴なのにアホすぎただけなんだけどなぁ。


「私はただの『餌』だったので活躍とは言い難いかと…」


「まぁ、いいじゃないか? 団長で色々と功績を残したんだ。普通に出世したんだよ。素直に喜びなさい」


「はぁ、まぁ。ありがとうございます?」


「はは。今回の騎士の編成は大掛かりだからな。新年のパーティーで発表するから必ず出席するように」


「はい」


「ドーンもな。って、お前は異動については反対しないのだな? えらく静かじゃないか? 当初の約束通り、第7は立て直されたし引退するか?」


「引退は撤回致します。私はラモン団長にお仕え出来ればそれでいいので」


「へぇ~そこまでか。オヤジキラーなのだな? ラモン。スバルもだと聞いたぞ?」


ムキー! 確かにオヤジ共に好かれてる感は否めないけど! ちょっと陛下でも言い過ぎ!


「… それこそ妄想じゃないですか?」


弱っ。私、反撃、弱。笑


「ははは。最後の最後でやっと少し慣れたか? 今後は王城勤務だし、何かと会う機会もあるだろう。今の様に気軽にな、よろしく頼むぞ?」


「はい。了解です」




王城勤務かぁ。


考えただけで頭痛い。お腹も痛いかも。


大雪降って新年のパーティーが中止にならないかな~?



【第1章 完】


※間話を数話挟んでから、第2章は新年のパーティー場面より始まります。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ