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ドラゴンズクラウン  作者: niku9
第4章 呪い
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呪いを解きましょう 3

迂闊が服を着て歩いているようなノア。

あまりにしょーもなさ過ぎて短めの投稿です。

 次の日、目の下を模様かというくらい黒くして、浅い眠りから目が覚める。

 わたしはセドリックさんの「隙だらけ」という言葉の意味を深く噛みしめていた。


 そりゃ、そういうお店のお姉さんでもない限り、男性の隣に座ったり、夜遅くの密室で男性と二人きりになるなど、「そういうこと」を期待していると思われても仕方がない。わたしにそんな意図が無かったとしても、補佐官さんからしたら誘っているようにしか見えないだろう。嫁入り前の淑女にあるまじき行為だ。


 補佐官さんは何度も警告してくれていたと思う。それをアホみたいに無視していたのは、完全に一片の曇りもなくわたしの落ち度だ。弁えずに「そういうこと」をする女性が嫌だと言っていた補佐官さんに、なんてことをさせようとしていたんだ、わたしは!

 朝からというか、深夜から悶えすぎて、今日もルナがわたしを遠巻きにしている。


 亡霊に憑りつかれたかのように重い体を引きずり、廊下を歩いていると、今日も腹が立つくらい外見だけ爽やかなセドリックさんと鉢合わせた。

「亡霊に憑りつかれたみたいな顔してどうしたの?」

 最近、腹が立つほどセドリックさんと思考が似てきている。由々しき問題だ。


「……別に」

 本当はセドリックさんに補佐官さんの呪いのこととか相談しないといけないんだけど、いろいろとボロが出そうで話すのも億劫だった。


 と、また昨日の夜のことが思い出されて、羞恥が込み上げて来る。「あ゙あ゙あ゙あ゙」という、自分で言うのもアレな不気味な声が出て、セドリックさんの度肝を抜いた。

「ちょっと、本気で憑りつかれたの!?」

 セドリックさんの綺麗な顔が蒼白になって、わたしをガクガクと揺さぶる。


「朝から騒がしいな」

「ヒッ」

 聞き覚えのある怪訝そうな麗しい声を聞き、わたしの息が詰まった。声のする階段の方を、ギギギと油の切れたブリキのおもちゃのような音を立てて振り返る。


「セドリックと、ノアか。おはよう」

「グフッ」

 いつもと変わらぬ、いや、何故か昨日よりも麗しい補佐官さんの笑顔に、わたしは臓腑を抉られるような感覚を味わった。口から魂が出そうなほど脱力するわたしを支えながら、セドリックさんがわたしの頬をぺちぺちと叩く。


「さっきから変な声しか発してないよ!」

「……お花畑が、見えるぅ」

「ノア、ダメだ! そっちへ行っては!!」

 朦朧とするわたしの意識を引き留めようとセドリックさんが奮闘するが、「ちょっとすまない」という声が聞こえて、グインと襟首が掴まれて強制的にわたしとセドリックさんの寸劇が断たれた。


「あれから眠れて……ないようだな。起きろ、ノア!」

「は、はいぃぃ!」

 耳元で怒鳴られて、わたしは一時覚醒する。

 が、襟首をつかむ補佐官さんの美貌を至近距離で見てしまい、一瞬意識が遠のきかけるのを、セドリックさんの腹立たしい顔を気付け薬にして辛うじて堪えた。

「ありがとう、セドリックさん」

「……何でか腹が立つんだけど」


 そんな和やかな会話で心を落ち着けつつ、わたしは補佐官さんに向き合った。

「おおおおお、おはよう、ごごごごご、ございますぅ」

「とりあえず落ち着け」

「さささ昨日は、もももも、申し訳ごごごご、ございませんでしたぁ!」


 わたしが、東洋から伝わる謝罪の極意である「どぅげざぁ」と呼ばれる床に膝を突く態勢を取ろうとすると、補佐官さんは再び素早く襟首を捕まえてわたしを直立させた。


「待て待て。どちらかと言えば、謝罪するのは私だろう」

「めめめ滅相もございません。わたくしめの不徳の致すところでございますぅ。お望みとあらば、『はらきぃり』も辞さない所存でございますぅ。わたくしめを罰してください。さぁ、さぁ!」


 これも東洋の伝記で得た知識だが、極東には恥をかかされたという理由で『はらきぃり』という自害をする『さぁむらぁい』という誇り高い伝説の生き物がいるらしい。

 痴女となるくらいなら、わたしも潔く散ろう、そう思った。

「……私が貸した本に影響されているな」

 呆れかえる補佐官さんの声が聞こえる。


「何でもいいけどさぁ、すんごい注目浴びてるよ?」

 冷ややかに言うセドリックさんの言葉を受けて周りを見ると、寮の皆さんがこちらを何とも言えない顔で見ている。そういえば、ここは廊下だった。

「ウグッ」

 再び白目を剝きそうになるわたしの襟首を引きずって、補佐官さんが移動を始めた。


「とりあえず、落ち着いて話のできる場所に行こう。セドリックも一緒にいいか?」

「うん、いいけど。理由、説明してくれるよね?」

「まぁ、夕べいろいろとあってな」

「ふぅん、夜に、二人で、いろいろ、ね」

「未遂だ。許せ」

「……そ。信じるよ。お疲れ様」


 わたしは引きずられているので顔を見られないが、二人ともなんだかサバサバとした会話だった。相変わらず良く分からないやり取りだが、二人は通じ合っているようで、わたしは放置されっぱなしになった。


 それはそうと、そろそろ襟首を解放してくれないと、わたし、死ぬ……。

「はらきぃり」「さぁむらぁい」はR発音を大切に発声してください。なんならRは巻き舌で。

「どぅげざぁ」はtogatherの発音に寄せていただくと、よりネイティブらしく聞こえます。

ワンポイントジャパニーズ(もどき)講座でした。


作者からのお願い

どうか、これを読んで、ブクマとか評価とか外さないでください。(どぅげざぁ)

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― 新着の感想 ―
ああ、あほだ。あほの子がいる。 仕方ない・・・セドリックは進行役として頑張れ。 安心してください、ブクマは外しませんよ。外してなるものか。
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