表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンズクラウン  作者: niku9
第3章 グリフォン
48/109

調査隊出陣 2

ただ、駄弁っている回です。

長くなりそうなので区切った結果、短くなりました。

 行程は穏やかだった。

 今回は行商人も小さい子もいないので、徒歩とはいえ、機動力は上がっている。


 わたしが事前に馬に乗れると言う話をしていたので、グリフォンの脚に追いつくため最初は馬での移動を考えていたらしい。

 もしわたしが馬に乗れなくてもセドリックさんかアレクさんが乗せて行けばいいだろういうことになったらしいけど。馬の体力を考えると、さすがにアレクさんと一緒は馬が可哀想だったので、まだ細身のセドリックさんと同乗することになったと思われる。それはちょっと遠慮したいところだ。


 なんにせよ、グリフォンが他の動物の気配を嫌う可能性と、グリフォンは徒歩の旅人を標的にしていることから、結果グリフォンが現れる確率の高い徒歩での移動に意見が落ち着き、問題は解決したのだけれど。危なかった。


 わたしは、オルグレン団長とセドリックさんに挟まれる形で歩いている。ガタイのいい人たちの多いわたしたちの集団は、馬車や人通りもそれなりにある道をかなり占領して歩いていて、一般の人たちはわたしを避ける形ですれ違うので少し申し訳ない。


 以前ここを通った時に積もっていた雪は消え、今は乾燥した道になっている。それも足が速く進む要因だろう。

 順調にお昼前にはグリフォンに遭遇した場所へたどり着いた。


 二班に分かれて、休憩と哨戒を交代で行うが、特にめぼしい成果は得られなかった。

 あの日と同じサンドイッチと、デザートに柑橘の蜜漬けまで食したが、うんともすんともない。これではただのピクニックだ。

「はあ、これじゃただのピクニックだね」

 思っていても言ってはならないことをポツンとエリオットが言った。


 ちなみに、エリオットは護衛としてわたしに付いてくれている。後はイヴリンさんもいる。本当にあの時と似た布陣だ。


「うーん。そんなに都合よく現れると思ってはいないけど、先が見えないのはね……」

 イヴリンさん相変わらずお美しいお顔を曇らせてため息をつく。そう言いながらパクパクとデザートを摘まむ手は止まらない。

 そのイヴリンさんの隣では、女性騎士が二名同じようにデザートに舌鼓を打っている。


 なんと、今回は他隊から借り受ける形で女性騎士が同道している。何でも従魔士と呼ばれる人で、体力に劣る女性が活躍できる騎士団の人気職のようだ。獣医師の資格も持っていて、簡単な治癒魔法も使える後衛職の人たちだ。今回の調査には、彼女たちの能力が有用ということで、急きょ整った体制らしい。ちょうど遠征に参加していた二人の調整もあり、出発までに時間を要したようだ。


 何故かそのお姉さまお三方はわたしの周りに陣取っていて、この辺りの華やぎが著しい。気のせいではなく、エリオットが肩身の狭い思いをしているのが見て取れた。


「ホント、ノアの食事って美味しいのね。この蜜漬けも美容にいいし。女性寮の方にも来てほしいくらいだわ」

「そうね。君なら変な気起こさなさそうだし。可愛らしいから男の子でも大丈夫かも」

 そういえば、何も男性寮でなくても、働ければ問題ないのでは、とわたしは気付く。むしろその方が後々わたしの呪いが解けた後も後ろ暗い所なく働けるのでは? ああ、でもアレクさんの恩を仇で返すことになるのか。でもでも、セドリックさんにいいように使われなくなるのはとても魅力的だ。


 お姉さま方の調略を真面目に考え始めた時、わたしの頭に何か重いものが圧し掛かって来た。

「君たち、ダメだよ。この子はうちの寮から出さないからね」

 出た。セドリックさんだ。

「重いです」

 二重の意味で。物理と精神面と。


「この子が来てから、ようやく人間らしい住み心地になったのに、今更元の生活に戻りたくないよ」

 わたしの頭の上に腕を置くセドリックさんに苦情を申し立てるが、無視してそのまま話し始める。それにエリオットもうんうんと頷いて賛同している。まず、この状況の方がどうにかしてほしいところなんだけど。


「珍しいですね。グレンフィル副団長が男の子を気にかけるのって」

 イヴリンさんが何やら不審げにセドリックさんを見る。それにセドリックさんがふふんと笑って答える。恐らくその顔は美しくも悪魔のような笑みを浮かべているに違いない。

「そ、最近の俺のお気に入り。だからあげないよ」

 お気に入りの“おもちゃ”と聞こえる。わたしは両手を振り上げてセドリックさんを追い払うが、ちゃっかりわたしの隣に座ったので、ジトッと睨んだ。


「グレンフィル副団長、何か良からぬことでも企んでませんか?」

 イヴリンさんがわたしを気遣ってくれてる! もっと言って、この人をけちょんけちょんにしてやってください。


「やだなぁ。こう見えても、相談にのったりいろいろ手助けしたりしてるんだよ。ね?」

 わたしに振らないでください。まあ、いろいろと助けてもらっているのは確かなので、わたしも全否定はしませんが、肯定するのも非常に悔しいです。

「人権侵害すれすれですが、まあ、ほどほどに」

「ほらね。俺達は親友なので、独身寮から出ないよ」

 初めて聞きました。「親しい」「友」と言うのが親友だと思っていましたが、親友の定義について初めて疑問を持ちました。


 わたしの表情で何かを察したのか、イヴリンさんは目で「大丈夫?」と聞いてくれますが、わたしは諦めたように頷いた。そしてため息をつく。

「セドリックさんが早く結婚して退寮しますように」

「サラッと呪いの言葉を吐くね。でも無駄だよ。俺はずっと居座ってあげるから」

 セドリックさんこそ重い呪いの言葉を吐いてくる。むしろわたしは祝ってやってる方なのに。

 普通は独身寮など早々に卒業したがるものだろうが、なんだろう、この人が言ってもなんか貶しようが無い。結婚できないからいる場所ではなくて、わざわざ「居てやる」的な雰囲気になっているのが腑に落ちない。


「……だそうです」

「うん。あなたも苦労してるのね。いつでも相談しにいらっしゃい」

 何となく事情を察してくれたらしいイヴリンさんから、温かいお言葉をいただきました。


 できることなら、セドリックさんの「親友」を返却して、イヴリンさんの手下になりたい。そう思うわたしを誰が責めることができようか。


「ぜひ、お願いします」

 そう言うと、ニコッと笑ったセドリックさんと、そのセドリックさんの笑顔を見て呆れた感じのイヴリンさんの顔が見えた。

セドリックさんの愛情が重いですね。

一応セドリックさんなりにノアを可愛がっているよ、ということです。


従魔士については、この世界観では直接的なテイム魔法はありませんが、魔獣などを従える術があります。それについては後ほど出てきますので割愛しますが、お姉さまたちは魔獣や獣の扱いに長けていて、グリフォンが暴れた時に落ち着かせるための要員として参加しています。

いわゆるムツゴロウさん的な感じですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ