表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンズクラウン  作者: niku9
第2章 騎士団寮
42/109

取り扱い要注意人物たち 3

王子様登場です。

タグに「王族」って付けちゃってたので、「王族」詐欺になったらどうしようかと思ってましたが、これで一安心?

 出発の日の打ち合わせをいくつかした後、わたしは明日一日を準備に充てるための休みをもらいに、補佐官さんの元を訪ねた。


 寮以外の兵団の人も多少顔見知りが出来たので、わたし一人でうろついていても見咎められることはない。まあ、支給されてる制服のお陰もあるけど。


 それでもまだここへ来るのは緊張した。

 兵団の文官の人に取次ぎを頼む。寮でいつも顔を合わせているからと言って、本来なら気軽に訪ねていける人ではない。きちんと面会の許可を取ってもらう必要がある。

 文官の人には、前の人の用事が終わるまでは誰も入れないので少し待つかも、と言われたが、日付が迫って後回しには出来ないので、ここで待たせてもらうことにした。


 扉の外の椅子で待たされること数分。中で呼び鈴のようなものが鳴ったと思ったら、少しして前の面会者が出てきた。二人いる。


 扉が開いて、最初に中から出てきた人と目が合った。第一印象は、「王子様」だ。

 絵に描いたような金髪碧眼で、スラリとした体型が何とも優美だ。その人と目が合った。


「おや、見かけない顔だね」

 その人は楽し気に尋ねてきたが、後ろにいた人がサッと前に出る。その人はわたしとほぼ同じ身長で随分華奢な印象だが、身のこなしに隙の無い、えっと、女の子?


「ヴィクター。大丈夫だよ」

 前に出た人に鷹揚に「王子様」の方が声を掛けた。直感的にこの人は身分が高いと分かったよ。命令することに慣れている人の雰囲気がする。

 っていうか、「ヴィクター」って呼ばれたから、女の子じゃなかったのね。そのヴィクターさんは、小さく頭を下げて後ろに下がる。

 うーん、従者だね、きっと。見るからに従者だもの。


 わたしは慌てて頭を下げた。中にいる補佐官さんより身分が下ということはないと思い、立ち去るまで頭を下げ続けることにした。っていうか、早くお帰りになってください。


「あれ?その制服って、ああ、君が新しく寮に入った子だね」

 おおっと、わたしの願い虚しく、こちらに興味を持ってしまわれました。しかも、何だかわたしのことが見破られています。

 どう答えていいものか考えていると、もう一度執務室の扉が開いて、救世主が現れました。


「入ってくるのが遅いと思ったら、殿下、まだお帰りになってなかったのですか?」

 殿下! 殿下って言った、補佐官さん。殿下って言うからには王族だ。本当の「王子様」だったよ! 勝手に話しかけていい身分の人じゃなかった。誰だか知らないけど、下手に答えなくてよかった!


「ええ! 君が迎えに出るなんて珍しいね、イライアス。この子でしょ? 次のグリフォンの調査隊についていく子って」

 ああ、それでわたしのことを知っていたのか。幻獣ってのは、国の大事ですからね。王族が知っていても不思議はないか。

 しかし、制服一つでそこまで見抜くとは、なんて頭の回転が速い方なのでしょうか。


「君、名前は?」

 文字通りの王子様は気軽に訪ねて下さるが、本来なら直接言葉を交わすのは不敬に当たる。わたしがオロオロしていると、少し考えるような顔になって、王子様はおっしゃった。

「公式の場ではないから、普通に答えていいよ」

 にこやかに言う王子様に戸惑うが、補佐官さんを見ると頷いて見せてくれたので、わたしは意を決すると答えた。


「お声をいただく光栄に浴しまして感謝申し上げます。ノアと申します」

「ノア? いい名前だね」

「畏れ多いことでございます」

 わたしが社交の言葉を思い出し思い出ししながら喋ると、補佐官さんが変な顔をした。


「お前が敬語を使うと変な感じだな」

 やだな、何を言い出すんでしょうか、この人。わたしはいつだってちゃんと敬語を使ってるじゃないですか。

「ご冗談がお上手ですね、バロウズ様」

 王族を前に変なこと言わないでください、と笑顔に混ぜて無言で訴えると、補佐官さんは少し怯んだような顔になった。

「い、いや、今まで私の事を『バロウズ様』とか言ったことないだろう」

「そんなことありません」

「そ、そうか……?」

 嘘だが、きっぱり言い切るわたしに補佐官さんは流される。


 それを見た王子様は、急に弾けたように笑った。

「いやぁ、年下の子にたじろぐイライアスなんて初めて見たよ」

「殿下、私は別に……」

「いいよ。最近君の顔色が良くなったのは、この子のおかげなんでしょ」

 まあ、確かに食の改善をしたのはわたしですが、この王子様は一体どこまで知っておられるのでしょうか。


 きょとんとしていると、王子様がまたにこやかにしながらわたしに言葉をくださった。

「私はエドワード・リリエンソール。この堅物の従弟で、王太子をしている」

 王子は王子でも、一番偉い王子が出てきた! もうヤだよ、みんな偉い人ばっかりだけど、この国で三番目に偉い人出てきちゃった。


「大変ご無礼をいたしました。王太子殿下にはお見苦しい姿をお見せしてしまい……」

「いい、いい。私は堅苦しいのは嫌いなんだ。イライアスと同じ扱いをしてくれてもいいくらいだよ」

「あ、ありがとうございます?」

 あまりの気さくさに、思わずお礼が疑問形になってしまった。


「君には期待しているよ、いろいろとね」

「……は、はい」

 え、何を期待されているのでしょうか? 何、わたし何かしました? いや、むしろ聞きたくないかも。


 わたしの戸惑いを見て、何故か殿下は非常ににこやかな笑顔をわたしに向けた。

「幻獣は、貴重な生き物だ。保護に尽力してほしい」

 あーなんだ。そういうことでしたか。意味深に言うから何かあるかと思いましたよ。


「はい。精一杯努めさせていただきます」

「頑張ってね」

 そう言って、王子様は頭を下げたわたしの肩を気安くポンと叩いて去っていった。


 去り際に、従者のヴィクター君がわたしに視線を送ったが、一瞬のことだったのでその表情までは分からなかった。でも何となく警戒されてるのは分かった。

 そうだよね、何だか素性の分からない平民だものね、わたし。


 補佐官さんが顔を上げたのを感じて、わたしも顔を上げた。すると、補佐官さんはその麗しい顔を顰めてわたしを見ていた。


「お前、殿下に興味を持たれたな」

「……僕、何もしてませんよ」

「いや、あれは間違いない」

 何やら確信めいて恐ろしいことを言い始めた。


「補佐官さんは、何故殿下についてそんなにお詳しいんですか?」

 わたしはふと疑問を口にすると、補佐官さんのあの独特の険しい顔が降臨なされた。

「お前、殿下の言葉を聞いてなかったのか? というか、やっぱり『バロウズ様』呼びしないではないか」

 殿下の言葉って、何?


 ブツブツ文句を言っていた補佐官さんだったが、何故か急にわたしを可哀想な感じで見てくる。

「私の父は、現国王陛下の実弟だ」

「………………あ」

 言ってた。何かうっすらと思い出したけど、「この堅物の従弟」とか言ってた。


 ん? ってことは、あれ? 補佐官さんって皇族!? いや、皇族は「バロウズ」って家名じゃないないから違うか! でも、バロウズって、どこかで聞いたことがあるような。


「あの、補佐官さんってどちら様ですか?」

「……お前、本当に私に興味ないな」

 申し訳ありません。そういえば、以前補佐官さんのことを「兵団の事務の人」と言って、アレクさんの貴重な笑顔と補佐官さんの凍り付いた空気を引き出したのでした。

「私は『兵団の事務の人』らしいからな」

 ひぇぇぇぇ。覚えていた! 思ってた以上に陰険!


「ん? 何故か今、不愉快な気分になった。……まあ、お前が詳しく知る立場でないから仕方がないが、一応私はバロウズ侯爵家の嫡男だと言っておく」

 はい、わたし死にました。例え身体は生きていても、いずれ社会的に抹殺されます。


「……父さん、母さん、兄さん、それと宿舎の皆さん、今まで良くしてくれてありがとうございました。先立つ不孝をお許しください」

「何で、お前が死ぬことになっているんだ?」

「だって、補佐官さんって滅茶苦茶偉い人じゃないですか。そんな人に、僕、あんなことやこんなことを……!」

「ご、誤解を招くような言い方をするな!」

 補佐官さんは慌てた様子でわたしの口を手で塞ぐと、廊下を見渡しながら誰もいないことを確認して、わたしを執務室へぽいと放り投げた。


「と、とにかく! 私はお前を不敬で咎めるつもりは無い。今までどおりでいい」

 わたしは、自分でもびっくりしたが、「ふえ?」という不可解な返事をしてしまった。


「私は弟に家督を譲るつもりで騎士団に入った。だから、侯爵家の身分を持ち出したくはない。だから、その……できれば『兵団の事務の人』のままがいい」


 えっと、補佐官さんが目を逸らしたけど、照れてるのかな? 可愛い、と一瞬思ってしまった。美人な人が照れるとか、破壊力抜群です。


 でも、わたしはその言葉で、補佐官さんが何故あれほど仕事に執着していたのかを理解した。

 地位も身分も安泰な将来も捨てて臨んだ仕事を奪われるのは、どれほどの苦痛であったろうか、と。


 わたしは頑張る人は尊敬する。だから、補佐官さんの願いは出来るだけ叶えたいと思う。


「今までどおりで、いいんですか?」

 恐る恐るわたしが尋ねると、補佐官さんは花が綻ぶような笑顔を見せた。


「ああ、今までどおりがいい」


 その後わたしが赤面してしまったのは神様も許してくれるだろう。

偉い人を前に、ちょっとノアの口調が令嬢っぽくなってしまいました。育ちが若干出ています。

それはさておき、ようやくノアが補佐官さんの身分に気付きました。ホント、あんなことこんなことあったでしょ、状態ですね。ノアの脳裏にはさぞ走馬灯が駆け巡ったことでしょうよ。

「要注意人物」二人目も登場です。王子様ですね。

王子様は、補佐官さんのことを気に入っています。なので、ノアの働きは注視してました。

なんか、いろいろとその他の事を匂わせている感じですね。

この先、王子様がいろいろとスパイスを効かせてくれる、……はずです。

後、王子様以外にもチラッと出てきた人がおります。

この方も「要注意人物」ですね。


ちなみに制服は、スタンドカラーの動きやすいシャツに黒っぽいズボンはどこの使用人も共通で、お使い時にどこの担当か分かるループタイを着けます。汚れ作業の時は、カーゴパンツもあります。ジャケットは腰が絞ってあってかっこいいテーラードの感じです。外に出る時に汚い格好だと、お城とかの評判に関わりますので。


ブクマ、評価ありがとうございます。嬉しいです!


続きはまた明日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ