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ドラゴンズクラウン  作者: niku9
第2章 騎士団寮
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取り扱い要注意人物たち 2

本日2話目です。

またまた短めの投稿です。

 ノエルより優秀な人を初めて見ました。


 ほう、と感心していると、オルグレン団長はスッと立ち上がってわたしの方へ歩み寄って来た。近くにいらっしゃると、結構背が高く、しっかりした体格なのが分かる。魔術師団は騎士団と任務を同じくすることが多いから、それなりに鍛えてないとダメなのかもしれない。


「魔力を見てもいいか?」

 そう言うが、オルグレン団長は測定器も何も持っている様子が無い。良く分からないが、とりあえずわたしは頷いた。

「少し触れるぞ」

 小さく断ってから、わたしの頭のうえに掌を置いた。ちゃんと断りを入れてから手を置くなんて、なんという紳士ぶり!


 アレクさんよりも柔らかな団長の掌は、とても温かくて、わたしは少しの間目を閉じた。すると、オルグレン団長の魔力が掌を通してわたしの全身を包んだように感じた。


「ん。これは……」

 零れたような呟きにわたしは目を開けた。

 オルグレン団長は少し考え込むように黙ると、ふとわたしの目を見た。


「陰陽の気配が溶け合っている。これは太陽の力が強制的に身体に作用しているようだ。ここまでいくと、もはや呪いとは言い難いな」

 不穏な言葉が聞こえました。


「君の身体には呪いの術式を元に新たな力が溶け込んで見える。呪い自体の力は既に消えているが、その何等かの力が呪いの効果だけを持続させているらしい。それには、太陽の力を使っているようだが、私も寡聞にして聞いたことのない術だ」


 呪いは解けている? それに、この国最高の魔術師であるオルグレン団長でも分からない術? 誓って言うが、わたしはそんな術を掛けられた覚えもないし、家族がそれを見逃すはずがない。


「それは、二度と解けない術ということですか?」

 少し眉を顰めながらセドリックさんが尋ねる。

「いや、陽の気が無い夜中には発動しないのではないか?」

 鋭い! たったあれだけの接触でそこまで分かってしまうなんて、やはりその実力は凄まじい。


「え? じゃあ、夜中は女の子に戻るんですか?」

 上がった声に、わたしはハッとした。感づかれてはならない人にバレてしまった!

「もう、それならそうと言ってくれればよかったのに」

 ニコニコするセドリックさんが少し不愉快です。無性時でも指先に口づけするような節操無しに、女性に戻る時間があることを知られたのは要警戒だ。


「言うまでもないことですので」

「気を使わなくていいのに」

 軽すぎるセドリックさんの言動にわたしが渋い顔をしていると、オルグレン団長が気付いたようで、少し眉尻を下げた。


「もしかして、このことはまだグレンフィルに話していなかったか?」

 少し気まずそうに尋ねる。

「いずれ、お話ししようとは思っていたことです。お気になさらずに」

 セドリックさん以外に、という言葉を飲み込んだけど。


「あの、そのことなんですが」

「なんだ?」

 わたしは予てよりの不安を口にした。

「わたしはこのまま寮の管理人をやっていてもいいのでしょうか」

「……ん」

 オルグレン団長の独特な返事は、少し間が空いていた。僅かに考え込むようにしていたが、すぐに決断したように顔を上げた。


「管理人の規定では問題はないが、バロウズの件もあったし、倫理的というか外聞的には気にする人間も出るかもしれないな」

「う、やっぱり……?」

 気落ちするわたしに、苦笑するようにオルグレン団長は言った。


「いずれはバロウズあたりには説明しなければならないだろうが、今はグリフォンの調査に専念し、当面の生活費が戻るまでは今のままでいい」

 やった! 兵団の偉い人からお許しが出た。わたしの全財産を取り戻してから後のことは考えようということになった。なんて柔軟な考えの持ち主なんだ。オルグレン団長にどこまでも付いてゆきます。


「ありがとうございます!」

「礼には及ばない。茶の実験の検証やその呪いの術式は私も気になるところだからな。ただ、若い連中は、女性がいるとなると浮足立つ可能性が無くもないから、その辺りには十分気を付けてくれ」

「はい、大丈夫です。わたし、兄よりも女子力が低いと言われていましたから!」

 自信満々でそう説明すると、何故かオルグレン団長もセドリックさんも得も言われぬ微妙な表情となった。


「何にしても、このことは少しの間伏せていた方がいいですね」

 咳払いをして、セドリックさんが会話に割って入ってきた。急に真面目な声音になったセドリックさんをわたしが胡乱な目で見たことは許してほしい。この人の真面目さはどうも胡散臭い。


「自分が出来るだけ気を付けます」

 何だろう。一番注意が必要な人がセドリックさんだと思うんだけど。確かに、誰か一人くらいは事情を知っている人がいてくれると助かるのは事実だ。この際、セドリックさんであることは遺憾であるが、背に腹は代えられないので妥協しよう。


「ああ、せめて呪いに作用した力の特定ができるまでは」

 公に知られていない力が働いたわたしは、魔術を研究している人間にとっては垂涎ものだという。実験台になるのはシェリルという狂気の科学者だけでもう十分です。


 どうやらオルグレン団長は、この力の解明についても協力をしてくれるそうだ。忙しい職務の合間を縫っての協力となるので時間が掛かることになるかもしれないと、済まなそうに言われた時は、本当に感動しました。

 こんないい人がいていいのだろうか。


 アレクさんもだけど、この兵団の人は皆親切だ。セドリックさんの強引な改装だとて、相当遠くから目を眇めて見れば親切と言えなくもない。


 わたしは感謝を心の底から述べて頭を下げた。

オルグレン団長は、人呼んで「人間魔力検知器」と言われています。

探査能力はぴか一ですが、お陰でセドリックに重要事項がバレてしまいましたね。

サブタイトルの「要注意人物」は、オルグレン団長ではなく、ノアが女の子に戻ると知ったセドリックのことですね。


また明日投稿します。


宣伝です。

4月5日から別のお話の「やさしい魔女の眠る国」をアップしてます。ドラゴンズクラウンとは全く違うテイスト(真面目)ですが、お暇な時にでもお寄りください。

活動報告もアップしてます!


閲覧ありがとうございました。

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