第7話 死
「昨晩はよく眠れましたか?」
クルエル・・・・朝からウゼェよ・・・・。
俺は再び、昨日のクルエルの部屋に連れてこられていた。
昨日は全然よく寝れたよ。でも悪夢にうなされたよ。
夢には親父が出てきて、気味悪く高笑いするし。
・・・・親父の顔は覚えてないから
親父かどうかははっきりしなんだけどな。
でも生まれて16年、親父の夢なんて一度もみたことなかったのに。
なんで突然・・・・?
俺には嫌な予感がする。
「まあ、そんなことはどうでもいいんですが。」
お前が聞いたんだろうが!!
・・・・あれ?
「そういえば華と星南はどうしたんだよ?」
今日はあの二人がいない。
「ああ、あの二人は学校ですよ。あ。あなたはいいんですか?」
「俺は学校には行ってねぇよ。」
「そうなんですか♪」
なんで嬉しそうなんだ。
それにしても学校に行ってることもわからなかったとは・・・・。
結構な間、学校なんて行ってないからな。
「じゃあ、早速死んでもらいましょうか♪」
いきなりそれか!!
「ちょっと待て!昨日聞きそびれたことなんだが、
死ぬってどういうことなんだ?」
「まあ、死ぬと言っても仮死状態にするってだけのことです。」
軽々しく言うんじゃない!!
仮死状態になんてなったことないわ!!
「あなたの力を測定すると言いましたが、正しくは覚醒させる、ということです。
仮死状態になると、あなたの精神は深層意識の底に潜っていき、
あなたは眠っている力に気付くはずです。
これを目覚めさせること、つまり『覚醒』です。」
「その力ってのが超術か?」
「そんなようなとこですが、実は少し違うんですよ。」
何?違うのか?
「我々は超術を使うための力を『燃料』と呼びます。
それを扱う術を超術と呼ぶんです。」
また知らないことが・・・・。
この世界にはどれだけの不思議があるんだ?
この調子だと、ゴジラも本当に存在してそうだ。
「じゃあ、眠っている力ってのはその燃料か。」
「その通りです。しかし、この力を覚醒させるにはリスクが伴うんですよ。」
はあ!?
お前説明が不足しすぎ!!!
なんでそれを昨日説明しなかったんだよ!?
「リスクだと?なんだそれは?」
「仮死状態になって深層意識にもぐったとき、ある一定の確率で燃料の力に
押し負けて、そのまま取り込まれてしまう者がいるんです。」
なにぃぃ!?つまりは仮死ではなく、本当に死んでしまうということか!?
「取り込まれるとどうなる?」
「体が燃料と融合してしまい、あなた自身が巨大な燃料の塊となります。
制御を失った燃料は暴走し、破裂します。」
破裂?・・・破裂だと?つまりは爆発するってことか!
「・・・・その確率ってのは?」
「約50%ですね。成功するかしないかなんて運次第です。」
五分五分かよ・・・・。
「大丈夫なのかよ?」
「そんなこと、私が知るわけないじゃないですか。」
おい!!!!!
「なあ、くるえr・・・」
「じゃ、死んでください♪」
え?
俺の左胸に冷たい何かが入ってきた。
そこから血が溢れ出て、足まで流れる。
見えないなにかが引き抜かれる。
ブシュウ
血が吹き出る。
なにかは俺の目には見えなかった。
ゴフッ
肺が傷ついたようだ。
吐血が止まらなくなった。
膝、腰の順にガクッと曲がり、前向きに倒れた。
俺の周りの床が赤く染まっていく。
俺の体も赤く染まっていく。
ああ・・・・紅ぇ・・・・
真っ紅だ・・・・・・・・・
いきなり疲労がきた。
疲れたなぁ・・・・・・・
もう寝ようか・・・・・・・
あ、でもさっき起きたばっかか・・・・・・
ま・・・・いっか・・・・・
俺は、目を閉じた。