第16話 初任務2
ボリッ!!バリバリッ!!ボキンッ!!
不気味に何かが砕けるような音が廊下にこだまする。
「な・・・何?この音・・・・。」
「い・・・いやぁ・・・・。」
華と星南がおびえる。
なんだよ、この音は!?
キィィィィィィィ・・・・・・
俺は眼の感度を上げて、その音の正体を見極めようとした。
!?!?
・・・・おぇっ!!!
「・・・あいつら、何してんだ!?」
「え?何?何が見えたの、ウサっち?」
華が聞いてくる。
「あ・・・あいつら・・・共食いしてやがる・・・。」
「うえぇ!?」
バキ!!ボリボリッ!!ベキンッ!!グシャ!!
くっ・・・・嫌になるぜ・・・・。一体何がしたいんだよ!?
ピクッ
「・・・・・!」
華が反応した。
「おい、どうした?」
「・・・・何?・・・なんなの、アレは!?」
―――――――――――――――――――――――ズズン
・・・またあの感覚がッ・・・!
目の前から・・・・?
ゴキッ!!グシャン!!ビチャビチャビチャア!!
・・・・・・・・・・・・・・。
音が止まった。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
ブアッ!
「うおおッ!!!」
「・・・・何!?」
「きゃあっ!」
ゴオオオオオオ・・・・・・・・
ビリビリ・・・・・・
・・・・・・空気が震えてる。
叫び声だけでこんな・・・・?
カッ
また廊下の向こうが光った。
ギュオオオオッ!!!
その瞬間、デカイ赤い光線が飛んできた。
――――――――――――やべぇっ!!!
俺は躱せる。だが、星南は腰が抜けてて立つこともできん。
華には星南を抱えて走るだけの力はない。
――――――――――――クッソぉ!!
「変身っ!!!」
バシュウ!!
俺は変身して二人の前に仁王立ちした。
「う・・・・おおおおおおおおおおお!!!!!!!」
両腕に全霊の力を込め、向かってくる光線に突き立てた。
ギャリリリリリリリリリリリリリリ!!!!
俺の腕を中心に、光線が四方八方に散っていく。
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
ギャン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
ハア・・・ハア・・・ハア・・・何とか弾き切れたか・・・・。
後ろの二人も無傷だ。
だが、弾いた光線は壁や床にぶち当たって、ビルが崩れ始めた。
ガラガラガラガラガラ・・・・・・・
二人の上の天井が崩れ、降ってきた。
「「きゃあああああああ!!!」」
――――――――――――――危ねぇッ!!
バサッ!
ズン!
間一髪で二人を助け出せた。
降ってきた天井は床を突き抜け、下の階まで落ちていく。
「もうこのビルは駄目だ!!このまま外に出るぞ!!」
ヒュンヒュン!
俺は落ちてくる岩を躱しながら、廊下を飛んでいく。
「しっかり掴まってろよ!」
俺は更にスピードを上げた。
ギュン!
―――――――――――――ガシャン!
俺は窓を突き破って外に出た。
―――――――――――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・
・・・・ズズズズズズン
ビルは音を立てて崩れた。
「あ・・・危なかったぁ・・・・。」
「・・・ギリギリね。桜木君、だいj・・・きゃあ!?」
俺の両腕からは血がボタボタと垂れていた。
くそっ。光線弾くのに少し無理しちまった・・・・。
「だ・・・大丈夫だ。それよりも、怪我はないか?」
「あたしたちは大丈夫だよ。ウサっち、早く治療しよう。出血が多いよ・・・。」
ああ・・・そうだな。ビルは崩れちまったし、さすがにアレも死んだろ。
バサッ
俺は二人を抱えたまま地面に降り、変身を解除した。
バシュン!
ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・
ちくしょう・・・・出血で眼が霞む・・・・・。
「星南!早く治療を!!」
「わかってるわ!フッ!」
ブゥン・・・・
星南の両手がオレンジに光る。
「ゼェ・・・それ・・・ゼェ・・・なんなんだ・・・ゼェ・・・?」
「これは分類不可能な超術。手で触れたものを回復できるの。」
星南はそう言って、自分の手を俺の両腕に押し当てる。
―――――――――――――ズン
「!!!!!」
まさか・・・・・。
「どうしたの?」
まだ・・・・・・。
「どうしたのよ?」
生きてるのか!?!?
「シャアアアアアアアアアア!!!!!」
粉々に崩れたコンクリートの山の中からの叫び声。
ドガン!!!
ガラガラガラ・・・・・・
コンクリートの山が爆発した。
土煙の中から、巨大な悪魔が現れた。
今度のは前のと違って、足が六本もある、巨大な龍だった。
・・・・今度こそ、マジでヤバイな。
「星南・・・もういいぜ。」
「え、ちょっと待って。もう少し・・・・」
「もういいっつってんだろ。アレをなんとかしねぇと・・・。変身!!」
・・・・とは言っても、全身変身を一度に二回は少しきついな。
でも、やるっきゃねぇ!!
喧嘩上等!!命の取り合いやってやるぜ!!
「行くぞバケモン!!お前はこの俺が殺してやる!!」




