第13話 トライデント誕生
明朝。
「さあ、返事を聞かせてもらいましょう。」
またこの部屋か・・・・・。
ここは例のクルエルの部屋。
俺、ここと訓練場以外行ったことないぞ?
「天界に入りますか?」
俺は昨日、超術を発動した。
一度超術を発動してしまうと、
燃料と呼ばれるエネルギーを喰らう悪魔に狙われる。
そのために特殊な訓練を受けなければならない。
・・・・・・・・・・らしい。
俺の出した答えは・・・・・。
「悪いが、俺は利用するのは好きだが
人に利用されるのは好きじゃないんでな。
断らせてもらう。」
「!?
今のあなたでは三日と持たずに悪魔に喰われますよ?
それでもいいんですか?」
「ま、俺でももう一度死ぬなんてゴメンだからな。
俺がお前らを利用してやる。」
バン!!!
「どういう意味!?」
いきなり華と星南が部屋に入ってきた。
「ちょっと桜木君!利用するって・・・・!」
「思ってみりゃ、俺がどんな能力を持っているのかもわからないのに
スカウトしたなんておかしな話だ。お前ら、何か隠してるだろ?」
・・・・・・・・・・・・・・。
沈黙しているところを見ると、やはり図星か。
さっきのクルエルの驚きようもらしくない。
「・・・・随分と鋭いですね。
その通りです。私はあなたに隠していることがあります。
華さんも星南さんもですよ。」
やっぱりな。いくら潜在能力が凄かろうが
いきなりこんなトコに連れて来る訳がねぇ。
「で、隠してることってなんだ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
おい!さっきよりも間が長い!!
「なんなんだよ?もうここまできたら
驚くことなんてねぇんだからよ。隠す必要もねぇよ。」
「・・・・・これは驚く驚かないの問題じゃないのよ。」
星南は申し訳なさそうな顔をする。
華も珍しく落ち込んだような表情を見せている。
「すみませんが、これだけは隠し通させてもらいます。
お話しすることができません。」
ちっ。
クルエルが真剣な顔で謝った。
本当に話すことができないみたいだな・・・・。
「わかった。じゃあ、話さなくてもいいさ。
ただ!俺を保護しろ。
その代わりに力は貸してやる。」
同日、正午。
「バッッッッッッッッカじゃないの!?!?!?!?!?!?
あんた自分で何言ったかわかってる!?!?!?!?」
「華、うるせぇよ。知るわけねぇだろうが。」
あのあと俺と華と星南はクルエルに部屋を出るように言われ、
俺の泊まってた部屋に移動した。
「ふん。どうなろうが俺は俺のやり方でいかせてもらう。
別に殺されるなんてことはないんだろ?」
「それはそうだけど・・・・・。」
やっぱりこいつら、なぜか知らんが俺を欲しがってる。
隠してることは間違いなくそれに関係することだろう。
「桜木君。あなたは十中八九天界に入ることを
許可されるわ。あなたの身の安全も保障される。
だけど、あなたは“力になってやる”って言った。
その意味はわかってる?」
「知るかそんなもん。」
「あなたも私たちと同じように任務に就くってことよ。
任務?なんだそりゃ?
「まだ話していなかったわね。組織員は二種類いるわ。
一つは特殊訓練されたそれ専門の戦闘部隊、神の閃光。
もう一つはこの世界に存在する天使の確認と管理、
つまりはデスクワークを専門とする神の知恵。
あなたはほぼ間違いなく神の閃光の方に配属されるわ。
あなたも戦闘要員となって、緊急時には出動することになるのよ?」
「戦闘?何と戦う?」
「悪魔とに決まってるじゃん。
それ以外にあたしたちが戦闘対象にできるもんはないよ。」
あ・・・・あんなもんが世界にありふれてるってことか!?
嘘だろ!?
「あれは主に喰うのが天使なんだけど、天使の血を引く人間は数え切れない。
あたしたちみたいに覚醒できる人なんてほとんどいないから、
対抗する力なんてあるはずもない。
だから放っとくと犠牲は際限なく大きくなって、一つの国が丸々滅びたこともあった。
だからヤツらを相手にするのが仕事になるんだよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「い・・・・・・・。」
ガチャ
俺の部屋にクルエルが入ってきた。
「桜木君の正式な組織員となる許可が下りました。
たった今からあなたは天界の組織員、配属は神の閃光です。
で、これが組織員のIDカードです。」
・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・いいぜ。やってやる。
もともと引き返すことなんてできねぇんだ。
思いっきり暴れるからな。覚悟しろよ。」
「あ、それから神の軍団は三人一組で動くことを義務付けられますが、
桜木君は華さんと星南さんとチームを組むことにしておきました♪」
・・・・・・・・・・・・・・。
「え?」
「ええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?」
突然二人が驚きの声を上げた。
「ま、よろしく頼むぜ。」
「ちょっと総統!!あたしたち、ずっと二人だけだったじゃないですか!?」
「そうですよ!!いきなりそんなこと言われましても・・・!」
「それはあなたたちが承諾しなかっただけでしょう。
せっかくの機会ですからチームを組ませておきました♪」
残念ですが、これはもう組織が決定したことです。
今更変更はできませんから♪」
「そ・・・そんなぁ・・・・。」
「はぁ・・・・それじゃ、仕方ないですねぇ・・・・。」
二人は不満そうだ。
おい。そんなに俺が嫌か?そんなに俺が嫌なのか?
それにせっかくかっこいいこと言ってみたのにスルーか。
「さて。じゃあチーム名を決めましょう。
せっかくですからカッコイイのにしましょうね♪」
「しょーがないなー・・・・・・
じゃあ、対悪魔用特別スーパーウルトラDX・・・・。」
「長い!
三叉の槍ってのはどう?
私、華、桜木君で三種類全部の超術が揃ってるわけだし。どう?」
華は置いといて、星南のネーミングセンスいいな。
「いいじゃねぇか。俺は変身を極めるからな。」
「・・・・・・そ・・・・それ!それいい!!かっこいい!!」
華は少し悲しそうな顔をするが、すぐに目を煌かせた。
・・・ホント単純なやつ。
「じゃあそれで決まりですね。
これからよろしくお願いしますよ、チーム“三叉の槍”。」
「よろしく、ウサっち!」
「改めてよろしくね、桜木君。」
「おう、よろしく頼むぜ。」
これからは俺らはチームだ。
一緒に楽しく暴れようぜ?
やっと物語が動き始めます。
これからもゆっくりと動く予定です^^;
なにかと進行の遅い小説ですが、よろしくお願いします。
コメントもお願いします^^;




