第11話 俺は力を手にした
ドゴオオオオン!!!!!
いきなり俺の足元の地面が爆発した。
「おわっ!!!」
「ゴギャアアアアアアアアアア!!!!!!!」
な・・・・なんだ!?
土煙の中から現れたのは化け物だった。
「離れてください!!まだ超術が発動できないあなたでは
敵う相手ではありません!!!!」
「おい!!コイツはなんだ!?」
「これは我々が悪魔と呼ぶ生物です!!」
な・・・・天使がいりゃ悪魔がいてもおかしくはないが!!!
コイツの姿はまるっきり人間じゃない!!!
それは巨大な爪を持っていて、鋭い牙、さらに尻尾も持っていた。
まるで龍のようだった。
「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「うあああ!?」
いきなり悪魔が華に襲いかかる。
ガシャア!!!
鋭い爪が地面をえぐる。
華はそれを素早く避ける。
・・・・・が。
ガッ!!!
「ぅぐっ!!」
尻尾が華の腹にめり込み、飛ばされる。
ズシャア!
「キャア!?華ぁ!!」
星南が華のもとに駆け寄ろうとするが、それをクルエルが制止する。
「華さんでも一撃でやられてしまうのに、
あなたが駆けつけても何の意味もありません。
回復はあれを倒してからです。」
「おい、クルエル!あんなのどーすんだよ!?」
俺は華に向かって走り寄りながら、叫ぶ。
フシュン
いきなりクルエルが倒れ伏している華の隣に現れた。
「悪魔は天使の発する燃料を食します。
つまり、悪魔は天使を食うんです。
あれは覚醒したばかりのあなたの強大な燃料に反応して来たんでしょう。」
だったらあれは俺が引き寄せちまったってことか!?
華が倒れてるのも、俺の所為なのか!?
「う・・・・おああああああああ!!!!!」
俺は悪魔につっこんだ。
俺の所為なら、俺がこの手でなんとかしなくちゃいけない、と思ったからだ。
ゴッ!!
ガシャ!!
当然敵うはずもなく、俺は殴られて吹き飛んだ。
「ぐ・・・おお・・・・。」
ち・・・・ちくしょう・・・・・。
『・・・弱いな、若造。お前の力はこんなモノではないぞ。』
貴様は黙ってろ・・・!!!
貴様に俺の何がわかる・・・!!!
ゾワッ
そのとき、俺から燃料が吹き出した。
ピクン
悪魔がそれに反応し、こっちに向かってくる。
ガシャ・・・・ガシャ・・・・ガシャ・・・・
一歩ずつ近づいてくる・・・・。
俺はゆっくり起き上がる。
・・・・もう相手が人間だろうが悪魔だろうが関係ねぇ・・・・。
俺が死んだときの痛みはこんなもんじゃなかった。
恐怖はこんなもんじゃなかった!!!
それに比べちゃ、こんなもん屁でもねぇ!!
「・・・・変身・・・。」
カッ!!
ボシュウウウウウウウウウ!!!!!!
模擬戦のときよりも眩しく、力強い光が溢れ出た。
悪魔はそれに反応した。
「ゴギャアアアアアアアアアア!!!!!」
その爪で切りかかってきた。
スパッ
ズン!
悪魔の右腕が宙を舞い、回転して地面に落ちた。
切れた腕から緑色の血液が吹き出る。
「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
バサ・・・・・・
・・・・・・・変身完了。
背中に生えた、漆黒の翼。
黒光りする、全身を覆う羽毛。
黄色く硬質化した肘から先の皮膚。
鋭く、巨大化した爪。
鈍く光る眼球。
「あれは・・・・・鴉・・・・?」
「変身・・・ですか・・・・。」
「ゴ・・・・オオオオオオオオオ!!!!」
ギラッ!!
今まで見えなかった動きが、手に取るようにわかる。
体が軽い。
フシュン
ブシャアアアアア!!!!!
一瞬で悪魔の体を切り裂いた。
・・・・・ズシン・・・・。
悪魔は倒れた。
俺は・・・・力を手に入れた。