第10話 模擬戦
・・・・・・・・・・・二日後。
ここはあの駅のさらに地下。
天界、組織の訓練場らしい。
「さて、戦ってもらいますよー♪」
クルエルが嬉しそうに言う。
俺は全快以上に回復していた。
――――――ドクン――――――――
時間が経つにつれ、心臓の鼓動が強く、速くなる。
・・・・・・・暴れてぇっ!!!
今までになかった欲求が込み上げてくる。
「あたし手加減できないから、そこんとこよろしく♪」
―――――――――――――――ゾクゾクゾクッ
やべぇっ。
「じゃあどうぞ、始めてください♪」
「行くよ!!
飛雷っっ!!!!!」
華の前に突き出した両手から凄まじいスピードの青白い雷が放たれる。
普段だったら驚いてるトコだが、今の俺には関係ない。
見えるッ!!
体も動く!!
バシュウ!
俺のすぐ横を雷が通過していく。
それが床に当たって地面をえぐる。
拳に力を込める。
「おらぁ!」
ブゥン
俺の拳は華の残像を貫いた。
華自身がその雷より速く動いてる。
「なかなか速いんじゃないですか?」
星南が言う。
「そうですが、まだ超術は発現しませんね・・・・。
それより、華さんは体が鈍ってしまっているようですねぇ。
あれじゃいつか捕まりますよ。」
クルエルは厳しい判断を下している。
「おおおおおおおおお!!!!」
「おっと!」
最初はかすりもしなかった拳が、だいぶ惜しいところまで届くようになってきた。
「ぅおらぁ!!」
「!!!」
ガッ!!!!
俺のパンチを避けた華に、俺の蹴りが入った。
ガードされたが、手応えはあった。
しかし・・・・・・・・・。
「へぇ、やるじゃん♪
でもあたしをKOしたきゃ超術を使いなよ。でなきゃ無理だよ?」
・・・・・ちっ。
俺は超術の使い方なんざ知らねぇ。
どうしろっつーんだよ・・・・?
『わしが必要か?』
!?
いきなり“俺の中”から声がした。
・・・・!
・・・・俺の力は俺の中にしかないってわけか・・・・!
俺は目を閉じた。
・・・・・・・・おっさん・・・・・・・。
力を貸しやがれ・・・・・・・。
『ガハハハハハ!!!少しは口の利き方を覚えたほうがいいぞ!!
わしの力を貸してやる!!!!
叫べ!!!若造ゥ!!!!!』
カッ!!
「変身!!!!!!!!」
俺は知らず知らずのうちに叫んでいた。
ブワッ!!
俺の周りを光が包み、風が起こった。
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
突然警報が鳴った。
フシュウウウウウウウ・・・・・
なんだよ?せっかく気持ちよくなれそうだったのによ。
「どうしたんですか?」
華がクルエルに聞く。
「・・・・どうやら、模擬戦はここまでのようです。
本番です。」




