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第20話

 本作はここで終了です。

 『アメイジング・ヒーローズ』シリーズの他にも小説を書いているので、良かったらご一読よろしくお願いします。

 本日の『咲浪学園』は賑やかであった。

 原因は校内掲示板に張り出された一つの記事である。

 内容は昨日のもので、“戸嶋兄弟が敵前逃亡を図った”というような内容だった。一体、何処から仕入れたのかは知らないが、命知らずな記者が居たものだ。

 この学園で戸嶋兄弟に逆らうという事は、すなわち学園に居られなくなるという事に繋がる。

 そんな危険な綱渡りを冒したのは、薫を陥れる為に情報を戸嶋兄弟に渡していた広報委員会の記者、田原新助だった。

 恐らく、薫への贖罪と自身の罪滅ぼしの為であろう。

 この醜聞は瞬く間に全校生徒の間に広がり、戸嶋兄弟の株は一気に暴落した。

 元から影では嫌われていた戸嶋兄弟は、『ハイヒューマン』としての能力の高さのお陰で人徳を保っていたようなものだったのだが、戦闘で役に立たなかったという記事を公表されては、その人徳も砂の上の楼閣のように崩れ去ってしまうだろう。

 今ではすっかり笑い者である。

 当然、戸嶋兄弟は田原に因縁を付けに言ったようだが、広報委員会の全員を敵に回すどころか、それまで沈黙を守っていた教師連中も田原の味方をしたお陰で事なきを得たようだ。

 最早、戸嶋兄弟はこの学園の上に立つ者から脱落したと言えよう。

 ずっと戸嶋兄弟にいじめられて来た的場薫の気持ちも少しは晴れた。

 これであの双子が改心するとは思えないが、少しは大人しくなるだろう。

 兎も角、この日の学園は、色んな意味で騒がしかったのだ。


「ただいま!」


 学園で授業を終えた薫は、メグ叔母さんの言い付け通り真っ直ぐ家に帰った。

 それを伝える為に、少し大きな声で帰宅の挨拶をするが、返事は無かった。

 玄関のドアの鍵は開いていたので在宅なのだとは思うが、昼寝でもしているのだろうか。


「そうか、平日は仕事だった」


 インターンの時は帰りが遅かったので、メグ叔母さんはいつも家に居るものだと思っていたが、メグ叔母さんもまだ働き盛りで薫を養わなければならない身だ。昼間は仕事に出掛けているという事を失念していた。

 そうなると、可笑しな事が一つある。

 玄関だ。

 メグ叔母さんは潔癖なくらいに完璧主義者だから、出掛ける際に玄関の鍵を掛け忘れる事など有り得ない。

 誰かが、家に侵入している。

 それとも、メグ叔母さんが帰ってきているのか。それならば、返事があって然るべきだ。

 空き巣でも入ったか。


「誰か居るのか?」


 薫は用心の為に、『適性銃器』である『M1894』レバーアクションライフルを呼び出した。いざと言うときの脅しくらいには役立つ。

 薫は靴を脱ぎ、先ずはリビングへ向かって廊下を慎重に歩く。

 物音はしない。

 人の気配もない。

 しかし、何かあるような直感があった。

 そしていよいよリビングへ到着する。

 薫は慎重に慎重を重ねて、リビングへ繋がるドアを開けた。

 リビングには、誰も居なかった。

 しかし、誰かが居た形跡はあった。

 リビングのテーブルの上には、綺麗に設えられたプレゼント箱が置かれていたのだ。


「“君へのプレゼント”、だって?」


 添えられていたカードには、そう書かれていた。

 誰からのプレゼントか、それは記載されていない。ただ直感ではあるが、厄介の種である事は感じていた。

 爆弾か、或いはもっと最悪な物か。

 ここは慎重になり、先ずは警察に連絡して爆発物処理班等を要請するのが得策であっただろう。

 しかし、薫は好奇心に負け、プレゼント箱を意図も容易く開けてしまった。


「おい、嘘だろ?」


 そして奇しくも薫の直感は当たり、プレゼント箱の中には、爆弾よりも危険な代物が入っていた。

 スマートフォンを更に薄くしたようなディスプレイを備えたブレスレット。

 これは間違いなく『QPS端末』であった。

 この『アメイジング・ヒーローズ』シリーズは個人的に気に入っているので、また続編を書くかも知れません。

 その時は、またご一読よろしくお願いします。

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