表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

第1話

 初めまして、こんにちは。

 この小説はアメコミや仮面ライダーをイメージして書きました。

 毎朝、七時に一話ずつ投稿します。

 よろしくお願いします。

 千本木琴乃は『適性銃器』である『Honey Badger』突撃銃を手中に喚び出すと、水を抜いた浴槽を盾にして“人型”の『不死人(アンデッド)』の銃撃による攻撃を防ぐ。フルオートで射出される弾丸が浴室をズタボロにしていき、銃撃で出しっぱなしにしたシャワーが破壊され水が止めどなく暴れる様に溢れ出て、破壊されたタイル等が琴乃の体に降り注ぐ。

 敵『不死人』の数は不明。

 しかし、相手はフルオートの機銃に慣れていない素人だ。弾切れを起こしマガジンを変える瞬間を狙えば勝ち目はある。

 琴乃の予想通り、弾を撃つだけ撃ってマガジンを空にした『不死人』は、一斉に銃撃を止めてマガジンの交換に入った。

 好機である。

 琴乃は浴槽から飛び出すと、『Honey Badger』のバレル上部に備え付けられている“ACOG”スコープを覗き込みトリガーを弾いた。瞬間、“消音器(サウンド・サプレッサー)”により減音された銃声と共に、『7.62×35mm対不死人弾』が矢継ぎ早に撃ち出される。

 弾丸は『不死人』に命中すると、全身を毛細血管の様に走る『不死人(アンデッド)因子』を破壊し不死性を弱らせ死に至らしめる。元々、死人である『不死人』が死亡するというのも妙な話だが、他に例えられる言葉を琴乃は持っていなかった。

 それよりも『不死人』を殲滅するのに忙しかった。

 室内の蛍光灯は消していたので真っ暗だったが、四体の『不死人』を確認出来た。琴乃は慣れた手際でそれらを銃殺していく。

 やがて四体の『不死人』を倒し終えた琴乃は、マガジンを交換しながら部屋の唯一の出入口に向かった。例え全裸でも『ガンスリンガー』である限り、マガジンを産み出せるのは便利なものだと心から思った。ドアに向かったが、そこから脱出する為では無い。ドアの鍵を閉め椅子などでつっかえ棒の代わりをして、敵が入って来られない様にする為である。

 細工を施した琴乃は服を着る時間さえ惜しかった為にバスローブだけ羽織ると、荷物を持ってベランダへ出た。そこでバッグの中からラペリング(懸垂降下)用のロープを取り出すと、手摺と自分の体にロープをしっかりと巻き付け降下準備を整える。が、ここは地上四十階の高層ホテル。ロープを最大に伸ばしても、地上に着く前に途中で止まってしまうだろう。

 それでも、逃げ道はここしか無かった。

 琴乃が降下準備を整え手摺を乗り越えたと同時に、部屋のドアが破られた。


「女が逃げるぞ!」


 『不死人』が叫び粗雑な小銃を構える前に、琴乃は『Honey Badger』を片手で保持し制圧射撃を掛けた。

 そしてその直後、手摺から手を放し重力に任せて降下を始めた。

 懸垂降下するには素手でロープを握ると摩擦熱で火傷してしまう。そこでスピード調整は『適性銃器』の銃身で行うようロープを巻き付けていた。普通、銃をこんな使い方すれば故障の原因となるだろうが、『適性銃器』は違う。決して動作不良を起こさず、どんな酷い環境下でどんな酷い扱いをしても故障しないというのが『適性銃器』の最大の利点である。

 琴乃は順調に降下して行った。

 やがてロープが伸び切った頃、上階で銃声が轟いた。先程まで居たベランダから、『不死人』が銃撃してきているのだ。

 琴乃は素早く眼前のベランダへ飛び込むと、ロープを外し部屋の中へ逃げ込んだ。


「うわっ!?」


「きゃあ!?」


 部屋には裸で抱き合う男女が居たが、構う事無くドアから廊下へ出た。

 廊下に敵影は無く、琴乃は非常階段まで走った。が、ドアに鍵が掛かって開くことが出来なかった。


「全く、火事の時、どうする気よ?」


 ぼやきながらドア横のカードリーダーを見る。

 どうやらこの非常口のドアは電子ロック式のようだった。ならば、やり用はある。

 琴乃はカードリーダーに右手を当てると、目を閉じ強く念じる。すると、カードリーダーのランプが赤から緑に変わり鍵が開いた。


「楽勝ね」


 琴乃は『ハイヒューマン』という人類が進化した存在である。

 『ハイヒューマン』の特徴として、一つの能力がある。それは世間一般に言われる“超能力”というものだ。琴乃の場合、“あらゆる電子機器を操作する事が出来る”という能力である。

 さて、非常階段に出た琴乃は追っ手が来る前に逃げるべく掛け降りる。向かうは駐車場である。一体、ここが何階なのかは分からないが、相当数の段数の階段を降りるはめになってしまった。

 駐車場にまで辿り着いた琴乃は、自身の車に向かって走る。が、後少しで車に辿り着くといったところで思わぬ邪魔者が登場した。


「見事な手際だ。流石は元CIA局員といったところか」


 並び立つ車の影から現れたのは、闇夜に溶けてしまいそうな黒いスーツを着こんだ男であった。

 赤い眼に死人のような土気色の肌をしたその男は、間違いなく『不死人』である。


「しかし、随分な格好だな? まるで浮気現場から逃げるアバズレだ」


 男はバスローブ姿の琴乃を嘲笑うが、構う事無く『Honey Badger』を構え銃撃する。

 距離にして五メートル程、腰だめで撃っても外す事は無い。が、男は強靭な跳躍力でその銃撃をかわした。男はそのまま宙返りすると、近くの車の上に着地した。

 ただの『不死人』では無い。

 『不死人』はその名の通り不死身の化け物と言われているが、身体能力は通常より少し底上げされた程度で人間と大差は無い。しかし、この男は人間離れした身体能力を持っている。

 “変異種”という言葉が脳裏を過った。

 しかし、“変異種”ならば人間性は破壊され、ただ破壊と殺戮を繰り返す殺人マシンに成り果てる筈である。それに比べて眼前の男は、理性を保っている様に見える。


「貴方、何者?」


 琴乃は無意識に問い掛けていた。

 男は不適に唇の両端を吊り上げると、仰々しく両手を広げた。


「私は『アンデッド』。それ以上でもそれ以下でも無い。しかし、あえて名乗るならば、人間だった頃の名前を教えよう」


 そして右手を胸の前に持っていき、深々とお辞儀をした。


「私は塚山透。お前を殺す者の名だ。その身に刻め」


「言ってくれる!」


 琴乃は今度こそ外すまいと『Honey Badger』のトリガーを弾き銃撃を加える。が、今度もやはり難なく回避されてしまった。


「裏世界で有名な千本木琴乃と聞いて戦う事を楽しみにしていたのだが、所詮はこの程度か」


 そう一人ごちるや塚山透はスーツの懐から一挺の短機関銃を取り出し、銃口を琴乃へ向けた。『IMI ウージー』という拳銃弾を毎分六百発発射する小型の短機関銃である。

 不味い、と本能が警鐘を鳴らす。

 今、琴乃はバスローブ一枚しか着ていない。どう考えても拳銃弾を防げる状況では無かった。


「我が組織に楯突いた事を後悔しながら死ぬがいい」


 次の瞬間、銃爪が弾かれ銃声が轟いた。同時に『9×19mmパラベラム弾』が矢継ぎ早に発射され、無防備な琴乃へ殺到する。

 琴乃は車の影に隠れるよう横っ飛びし、銃撃をかわす。が、それが不味かった。

 車と車の間に入り込んだ事により、逃げ場を制限されてしまったのだ。

 塚山はそれを嘲笑うが如く超人的なスピードで琴乃の前に姿を現すと、琴乃が突撃銃を構える暇を与える前に銃爪を弾いた。

 これは避ける事など出来ない。

 琴乃は自分の死を覚悟し、瞼を強く閉じ合わせた。が、銃声は聞こえども、いつまで経っても琴乃の体に風穴が空くことは無かった。


「何だ、貴様?」


 塚山が疑問の声を漏らす。

 琴乃は瞼を開くと、そこには琴乃の盾になるように黒いロングコートに黒い軍帽を被った人物が立っていた。

 その黒い人物が顔だけをこちらへ向け、「大丈夫ですか!?」と問い掛ける。まだ幼く日本人にしては彫りが深く、紅い瞳が特徴的な少年の顔をしていた。


「貴方、誰?」


「僕は『人類統一連邦政府日本軍』所属、的場薫二等兵です」


 少年、的場薫はにこりと笑みを浮かべた。無邪気で人を疑うことを知らないような笑みであった。

 千本木琴乃の『適性銃器』、『Honey Badger』は『コールオブデューティ ゴースト』で使われていたのを見て、格好いいと思って採用しました。

 他意はありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ