第2話 悪魔な店長
「よし!今日もバイト頑張ろ!」
「お前はバイトってか氷の女王に会いたいだけだろ、まあ俺は休みだしせいぜい心折られんよう頑張りな!」
俺は正樹に別れを告げ、バイト先のファミレスへと向かった。
「お疲れ様で~す!!」
「お疲れ、翼くん!今日もバイトよろしく」
この人は店長の益田恵、まだ24歳であるがこの店の店長をしているやり手である。また機嫌が髪型に出るのも特徴だ。髪型は基本ポニーテールなのだが、髪を巻いているのか、いないかで機嫌がわかる。今日は巻いてない、これは何かあったな……
「店長、何かありました?僕で良ければ話聞きましょうか?」
そう、今日機嫌が悪いことはわかった。俺にできることはただ1つ!地雷を踏まないこと!
「どうしたの?急に?ま、まさか私が彼氏と別れたのを知って告白?私が魅力的なのはわかるけど~まだ誰とも付き合う気はないのー、ごめんね……」
いや告ってないし、そもそもあんた、俺が神楽坂先輩好きなの知ってるだろ。どうして俺の周りには勝手に俺を振るやつが多いんだよ。神楽坂先輩にでも見られたら………
「お話は終わりましたか?店長」
そこには氷の女王、いや神楽坂舞香が立っていた。
「藤倉、別に誰に告白しようが興味ないけどそういうのはプライベートの時間にしてくれる?仕事に私情持ち込むとかありえないから」
「いや、先輩違うんです!店長の勘違いっていうか、なんというか」
「翼くん、私とは遊びだったの?」
「いや店長、頼むからだまっ……」
「そんなに必死にならなくても藤倉には
興味ないし」
そういった彼女の目はまさに氷の女王そのもの……
やばい、やってしまった……気づけば彼女は厨房の方へと入ってしまっていた。
「翼くん落ち込まないの!つい2人のやりとりが好きでいたずらしちゃった」
いや、いたずらしちゃったじゃねーよ、俺のメンタル崩壊寸前だよ。
「店長、神楽坂先輩来てたの気づいてたんですか?」
「もちろん!だからわざとあーいって神楽坂劇場幕開けさせたの、今日は腹立つことがあったけど今ので吹き飛んだよ、ありがとうありがとう!」
いや、この人悪魔だよ。人のピュアな恋心をストレス解消に使いやがってー……
「さあさあ翼くん、切り替えてがんばろー」
「一体、誰のせいだと思ってるんですか……まあとりあえず頑張りますよ」
また1つ神楽坂先輩に嫌われた俺、俺の恋心はどうなっていくんだー!
次回は舞香視点の話です。