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第38話「部活対抗八百メートルリレー」

体育祭!

ポスターが貼り出された翌日から、俺と広瀬がいるB組の廊下は朝から人だかりでちょっとしたパニックになっていた。


ちょっと考えてみれば分かることだった。


他校の生徒は広瀬を知らなくても、モト高の生徒はポスターを見てモデルが広瀬だとわかるヤツもいる。そしてそいつが周りの人間に教える。よってうちのクラスに実物の広瀬を見物しにくることは予想できたはずだ。


……ぜーんぜん考えてなかった。テヘ。


朝、広瀬が登校してからというもの、勝手に教室の窓や戸を開けて、スマホで写真を撮ろうとする者が後を絶たない。見かねたクラスの女子たちが、絶妙な角度で壁を作って広瀬が撮られないように守っていたほどだ。広瀬がクラスの女子と仲良く話しているところはあまり見ないが、付き合いが悪い割りには人気はあるみたいだ。


あのポスターに映っている広瀬は、衣装のセーラー服もあって普段の広瀬とは違う雰囲気で、彼女の中の年相応の可愛さやシャイな部分を過不足無く表現している。一目見てファンになる男も多いだろう。


だが俺には、ライバルが増えるという心配よりも、本人には絶対言えないが、あのポスターの笑顔が俺に向けれられたものではない、という事実にちょっとモヤモヤしてしまっている。ケツの穴の小さい嫉妬と笑わば笑え。


それにしても、これだけ簡単にモト高の生徒にバレたとしたら、今後どうなるのだろう。うちの生徒にも他校の友達はいるだろうから、口コミであちこちに情報が行き渡るのは時間の問題だ。

そしてあのポスターが原因でモト高サッカー部が変に注目され、県大会でマークされ不利になったら困る。でも俺がキャプテン権限で「ポスターモデルなんてダメだ」と広瀬を止めていたら、部員たちから強烈なブーイングを浴びて、ただでさえあるかどうかも怪しい人望がゼロになっていたかもしれない。キャプテンが人望ゼロじゃ優勝なんて夢のまた夢だ。


それにそもそもの原因を突き詰めれば、俺が広瀬をデートに誘って桜ノ宮商店街に連れていったのが悪い。もっと突き詰めれば、広瀬が美人すぎるのが悪い。でももし広瀬が美人じゃなければ、インハイ予選後に俺は彼女をマネージャーに誘っていない。全ては避けられない運命というわけか。


「広瀬、大丈夫か?」

俺は隣の席の美人に声をかける。今はまだ二限目と三限目の間の休み時間。これが一日中続くのかと思うと、俺でもうんざりする。

広瀬は机につっぷしたまま、

「……動物園の動物の気持ちが分かった気がする」

と、グッタリした声で言った。

「ちなみに何の動物か聞いても?」

「ゴリラ」

「……何でまた」

「思いっきり暴れたいから」

危険だ。ストレスがピークに達している。

「今日、午後練でシュート練習するけど、参加するか?」

「する!」

広瀬がガバッと起き上がって即答する。よかった。ちょっとはストレス解消になるだろう。


すると、廊下の方で「キャーッ」という女子たちの悲鳴が聞こえた。一瞬の沈黙の後、ざわつきだす教室。廊下側の開いた窓から、見覚えのある後頭部が見える。


「はいはーい!広瀬夏希撮るなら、まずこの芦尾さんの半裸写真撮ってからにしてねー。あ、撮ったら俺がパス付きで画像保護して絶対削除できないようにするから」


芦尾だ。わざわざ自分のクラスから来て、なぜか廊下で上半身裸になってギャラリーの視界をウロウロしてさえぎっている。これは一体。


俺は慌てて廊下に走って行って、小声で呼びかけた。

「芦尾、お前何やってるんだ」

「おお、藤谷」

俺に気づいて、芦尾は多分本人は「キメ顔」と思っているであろう、珍妙な顔をして親指を立てた。

「気にするな。お前のクラスが大変なことになってるって聞いてな。部員としてチーマネを守りにきただけだ」

「そ、そうか。それはすまない」

本当だろうか。

「ちょっとどきなさいよ、デブ」

「そのお腹、キモいんですけど」

「何で乳首立ててんの?」

ありとあらゆる罵詈雑言が勇者に浴びせられる。当人は平気な顔どころか、頬を染めて段々と恍惚の表情になってきた。本当は自分のお腹を女子に見せて反応を楽しみたかったんじゃないのだろうか。チームメイトを疑いたくはないけど。


それでも結果的にギャラリーの数は減少していき、芦尾の体を張った広瀬防衛策は功を奏したと言えよう。

「芦尾、お手柄だ。大成功だぞ」

俺が言うと、芦尾は今年一番の得意顔を満面に浮かべた。

「はっはっは。俺が本気出せばこんなもんさ」

「試合でもそれくらい頼むぞ」

「えー、でも脱いだらイエロー食らうし、伊崎ともかぶっちゃうしなー」

「サッカーの話だ!……あ」

二人でやりあっていると、いつのまにか生活指導の先生が芦尾を遠くから見つめていた。俺は気づかないフリをして、芦尾に言った。

「芦尾、何も言わずにダッシュで逃げろ」

「は?何でだよ」

「名前忘れたけど、生活指導の先生がこっち見てる」

「……わかった。後でな」

「おう」

芦尾は制服をわきに抱えて、高速すり足で廊下を立ち去った。何事もなければいいが。


席に戻ると、隣の広瀬がすかさず声をかけてきた。

「ねえ、あれ芦尾でしょ?あいつ裸で何してたの?暑さでトチ狂ったとか」

ひどい言われようだ。俺はチームメイトの名誉のために、お前を守ったんだと伝えてやる。

「本当に?いつも私にセクハラするあいつが?単に人前で脱ぎたかっただけじゃないの?」

俺が心の中にとどめた疑惑を広瀬はズバズバ言い放った。

「本意は分からないけど、実際見物人がいなくなったんだからいいじゃないか」

「そりゃそうだけど」

いまいち納得いかない顔である。日頃の行いの悪さは気まぐれな善行に勝ってしまうのだな、と俺は学んだ。


午後の練習は、特別にモト高の隣にある陸上競技場で行うことになった。

ただでさえせまいサッカー部の練習場に、広瀬目当ての見物人が大挙して押し寄せたらさらにスペースが無くなるし、何より危険だ。よって、学校側に事情を説明して特別に競技場を使わせてもらえることになったのだ。競技場なら、見物客を観客席に収容できるし、外側にあるトラックは陸上部が練習に使っているので、スマホ撮影のための侵入もしにくいだろう。


みんなで着替えをすませ、ゾロゾロと陸上競技場へ向かう。忠実なる言一年たちが、広瀬を取り囲んで周りから見えないように壁を作って移動している。ハリウッドスターが来日した時みたいだ。

心配なのは、芦尾の姿が見当たらないこと。もしかしたら生活指導の先生に捕まったのかもしれない。

LINEで練習場所の変更は伝えておいたから、後から来るとは思うが。


そしてもう一つ、気になることがあった。


「銀次、どうした?」

銀次の表情が冴えない。大会初戦まであと一ヶ月だというのに、何かあったのだろうか。

「いや、どうしたってほどでもねえんだけどよ」

「何だよ、言ってくれよ。俺はお前をスカウトした責任が……あ」

陸上競技場。陸上部の練習。そして銀次は元陸上部。正確にはレンタル移籍中。陸上部の連中から見れば、銀次はいわゆる”裏切り者”だ。

「すまん、全然考えてなかった」

謝ると、銀次は笑って俺の肩を叩いた。

「おめーが謝ることじゃねえって。サッカー部に入ったのは俺の決断で、俺の問題だ」

「でも」

「そんな顔すんな。キャプテンは堂々としててくれりゃいいんだよ」

堂々と。俺は自分のほっぺを両手でグリグリして持ち上げた。


競技場に着いたら着いたで、今度は陸上部の連中が男女問わず広瀬に群がってきた。毛利先生は頼りにならないし、元女子陸上部顧問の盛田先生は「お腹が痛い」という子供みたいな仮病で休んでいる。やっぱり気まずいもんだよな、きっと。


「未散」

広瀬が呼んだ。

「ん?」

「私のことは気にしなくていいから、練習に集中して」

「お、おう。悪い」

多少疲れているようだが、教室から外に出たせいか、ちょっとスッキリしているようにも見える。陸上部の人たちに話しかけられるのは、それほど負担ではないようだ。やはり遠巻きにジロジロ見られたり勝手に撮影される方がストレスは大きいと見える。

観客席のギャラリーも、遠くて見にくいせいか次々と帰って行っている。今のところは作戦成功だ。


「あと、銀次君のケアもしっかりね。結構繊細なところあるから。私も、フォローできるところはする」

「わかった」

答えて、俺はまじまじと広瀬の顔を見つめた。広瀬は少し赤面して、

「何、じっと見て」

とにらみ返した。

「いや、すっかりマネージャーらしくなったなあと思って」

「人は成長するものなのですよ、キャプテン」

ふふん、と得意気に笑う。こういう人を小馬鹿にするところは変わってない、とは怖くて言えない。


それからしばらくは、平穏無事に練習が行われた。

芝グラウンド、とは名ばかりの土がむきだしの地面だが、いつもの倍はある広さというだけで、みんなのやる気は増している。完全に副作用だが、来て良かった。


広瀬もストレス解消のためにシュート練習に参加して、島と梶野に向かってフルパワーでシュートを打ちまくっていた。

「よし、広瀬、ラストだ」

左サイドから菊地がゆるいクロスを上げる。広瀬は胸トラップでボールを浮かせ、ボレーの構えに入る。


「あっ」


ボールが広瀬の足にコンタクトする直前、左足一本で立っていた体がフッと沈んだ。

主を失ったボールが地面を跳ねて転がっていく。

「広瀬!」

ダッシュで広瀬の元に駆けつける。グラウンドに座り込んだ彼女は、「いったー」と手をぷらぷら振っている。こけた時に地面を突いたみたいだ。

「大丈夫か?」

しゃがみこんで聞くと、広瀬は立ち上がってジャージのお尻についた砂を払った。そして恥ずかしそうに言った。

「心配しすぎ。ちょっとバランス崩しただけだから。よくあることでしょ」

「そ、そうか」

「それに、みんな見てる」

冷静になって周りを見ると、部員たちがこちらをニヤニヤしながら遠巻きに眺めていた。今さらながら恥ずかしくなってきて、俺はすごすごとその場を立ち去った。


広瀬の転倒を機に、俺たちサッカー部も小休憩に入った。

一人、陸上部の生徒がこちらに歩いてきた。見た感じは三年の雰囲気だ。

まっすぐ、銀次の元へ向かっている。

「菊地、あれ誰だ?」

俺が小声で聞くと、菊地は若干あきれたように、

「お前本当に興味ないことは何も知らないな。陸上部のキャプテンだよ。大村先輩」

と、ボトルをあおりながら答えた。

「へえ」

えらく日に焼けた、背の高いマッチョな男だ。体型から察するにスプリンターだな、きっと。

短髪で、その鋭い目つきからは、他人にも自分にも厳しそうな内面が伺える。


「よお、抜け忍」

大村先輩が銀次に声をかける。抜け忍。確かにそう言った。

「はあ?何すか、それ」

銀次が眉を片方上げて、地面に座ったまま聞き返す。大村先輩は口の端を上げて続けた。

「お前のことだよ、軽部。大会に出られない陸上部から、サッカー部に逃げた抜け忍てな。みんな言ってる」

部員たちが静まり返る。銀次は黙って聞いていた。

「お前は期限付き移籍のつもりかもしれないけどな、来年戻ってきてもお前の居場所なんてないぞ。俺は卒業するが、次期部長の朝葉あさはも同じ考えだ」

「……そうすか」

それだけ答えて、銀次はプイッと横を向いた。


軽部銀次はとても男らしい、一本気なやつだ。ペラペラと言い訳や弁解をしてまで自分の立場をよくしようなんて考えない。でも、だからこそ俺はスカウトしたんだ。


「あ、あの」

俺が口を開くと、大村先輩は険しい顔を俺に向けた。

「何だ」

やだ怖い。

「ぎ、銀次を、悪く言うのはやめてもらえませんか。俺が無理やり頼み込んでサッカー部に来てもらったんです」

「それが何だ」

「期限付き移籍は、学校側も了承済みです。期限が終わったら銀次は陸上部に戻ります。一生徒の感情で変更はありえません」

大村先輩は「フン」と白けた顔になり、俺から視線を切った。そして再び銀次に向き直る。

「俺が言いたいのは、だ。お前が来年戻ってきても、使い物にならないってことだ。みんなは大会に出られなくても、毎日陸上部の練習をしている。ぬるいサッカー部の練習と違ってな」

部員たちがピクッと反応する。俺は自分たちの練習が特別ぬるいとも厳しいとも思わないが、大村先輩が言わんとするところは分かった。


そして彼が俺たちをバカにしていることも。


銀次がガバッと立ち上がる。そして大村先輩にズイと詰め寄る。

「俺のことは何言ってもいいすけど、みんなのことはバカにしないでくれますか?」

「お、やるか?先輩に向かって何だ、その態度は」

一触即発のにらみ合い。どうしよう。キャプテンとして、俺が今できることは何だ。しかし俺はこういう修羅場が大の苦手なんだ。さっき大村先輩に言い返したのだって、声が裏返るのを必死に我慢してたくらいだし。


「あの!」


唐突に発せられた声に、みんなが一斉に注目する。

声の主は、こばっちだった。

「お、お二人は、スポーツマンなのですから、主張が食い違った時はスポーツで決着をつけるのが合理的だと、お、お、思われまする」

最後は違う時代の人みたいになってしまったが、顔面蒼白になって声を震わせながら、こばっちは最後まで言い切った。

大村先輩は「フン」と言って銀次から離れた。そして、

「じゃあ、こうしよう。今度の体育祭で、部活対抗八百メートルリレーがある。そこで俺たち陸上部に勝てたら、お前らに失礼を詫びて、来年軽部を快く迎え入れる」

と言った。


部員たちがにわかにざわつきだす。こばっちはすでに気絶寸前だ。

「大村先輩。自分たちの得意分野で挑戦状っていうのは、ちょっとずるくないですか?」

黙って聞いていた広瀬が満を持して立ち上がる。大村先輩が目を見張り、ちょっとやらしい顔になった。いやな予感がする。

「もちろん、全員短距離の選手なんてアンフェアなことはしない。七人中四人は跳躍と投てきの選手を入れる。これはハンデじゃなくて、毎年やってる陸上部の伝統だ」

アンカーだけ二百メートルで、あとの六人は百メートル。合計八百メートル。

そのうち四人が専門の選手じゃないとしても、アンカーを短距離の選手が走れば、結局半分の四百メートルは短距離専門の選手が走ることになる。譲っているようで、しっかり負けないように計算している。

俺は思った。


この勝負、絶対やめた方がいい!


「あの」

俺が口を開きかけた時、先輩が大声で続けた。

「その代わり、もしお前らが負けたら、君にデートしてもらいたいな」

大村先輩はだらしない顔で広瀬の方をジロジロ見つめた。広瀬は一瞬ひるんだものの、

「分かりました。でも私たちが勝った時の賞品が足りません。さっき言った条件に加えて、私たちの県大会が終わるまで、この競技場の使用権をください」

と、強く言い返した。いつのまにか陸上部員も集まっていて、ざわつきが大きくなる。

「本当にそれだけでいいのか?」

先輩があごを上に向けて言った。

「はい」

「わかった。もし負けたら、競技場の件は俺から先生に頼んでやるよ。デートの約束も、忘れるな」

「もちろん」

大村先輩はニヤニヤしながら、満足気な様子で立ち去った。


「おい、広瀬」

声をかけた瞬間、広瀬が地面にへたりこんだ。こばっちが慌てて背中を支える。

「夏希ちゃん、大丈夫?」

「紗良ちゃん、ありがと。急に力が抜けちゃって」

笑顔が弱々しい。かなり気を張っていたんだな。

「ごめんね、ごめんね。私が余計なこと言ったせいで、夏希ちゃんが巻き込まれちゃって」

「ううん。紗良ちゃんが先に言ってくれたおかげで、私も言えたから」

女同士の友情はともかく、リレーに負けたら広瀬はあのマッチョな暑苦しい先輩とデートしなければならない。それだけは絶対イヤだ。

でも、どうしよう。


それにしても、陸上部のキャプテンがあんなにネチネチしたヤツだとは思わなかった。仲間意識の強さの裏返しか。そしてうちの連中も、部員をバカにされると簡単に火を吹いてしまう。頼もしいけど、困ったもんだ。


「銀次、勝機はあるか?正直に言ってくれ」

俺は改めて聞いた。腰に手を当てて立っていた銀次が、あごを触ってうなる。

「わからん。でも、うまく戦略を練れば勝負になると思うぜ。うちも速いのは多いからな」

「本当か?」

みんなの視線が何となく俺に集まっているのがわかる。さっきまで俺のことなんて関係なく揉めてたくせに、今更キャプテンを頼らないでくれ。


俺は一つため息をついた。

「決まったものは仕方ない。銀次、陸上部の選手の大体の特徴を教えてくれ。こばっち、みんなの百メートルのデータを出してリレーの選手を選抜してくれ。メンバーが決まったら、銀次とオーダーを組んで、選ばれた選手はバトン渡しの練習を、体育祭まで毎日通常練習の後にやる。以上」

てっきりブーイングが来るかと思ったが、部員たちは一斉に歓声を上げた。


「キャプテン、かっくいー」

「絶対勝ちますよ!俺が広瀬先輩を守る!」

「ウィーアーザチャンピョーン!」


勝ってもないのにチャンピョンはないだろう。

腕組みをして考えこむ俺のそばに、広瀬がツツツと寄ってきた。

「ねえ」

「何だよ」

「怒ってる?」

いつになく、不安げな目。やめろ、そんな目で見るな。

「別に。ここで練習しようって言い出したのは俺だ。銀次のことを考えるべきだった」

俺が答えると、広瀬は不満気に口をとがらせた。

「そういうことじゃなくて」

「……デートのことか?」

「それも……含めて、勝手な約束しちゃったから」

広瀬がモゴモゴとつぶやいて、目をそらす。珍しくはっきりしない態度だ。

「俺も銀次をコキ下ろされて反論しちゃったからな。俺のせいでもある。それに、たんか切ってるお前はその、ちょっと、かっこよかったぞ」

「なっ……こんなとこでおだてても何も出ないってば」

多分広瀬の顔は今、赤いだろう。なぜ確認しないかと言うと、俺がすでに真っ赤になって逃げ出したからだ。

絶対に、絶対に、デートだけは阻止せねば!


「プリプリプリウス、プリプリプリウス、雪の坂道はノノンノ~ン。あれ、何かあった?」

謎の自作ソングを歌いながら芦尾が登場したのは、その直後であった。

結局あの後生活指導の先生に捕まり、くどくど説教されていたらしい。

「芦尾、おつとめごくろう」

「おう。俺、幹部になれるか?」

一人何も知らずに笑う芦尾が、今はとてもうらやましかった。


一週間後。


まだ残暑が厳しい中、陸上競技場で本河津高校の体育祭が開会した。

この競技場は市のものであり、厳密には一つの学校が体育祭で専有するのはおかしいのだが、昔からの慣例というやつで特にクレームは無いようだ。晴れ渡る青空に、煙と音だけの花火がポンポン上がっている。


体育祭のプログラムは、本気の種目から色モノの種目まで様々で、俺と広瀬は百メートル走に出場した。理由は、朝一発目の種目だから。クラスでの役割をさっさと終わらせて、残りの時間を午後の部活対抗リレーの準備にあてようという計画だ。

そのため俺は適当に流して二回戦で負けて帰ってきたのだが、なぜか広瀬は全開で走りまくって陸上部女子とタイマンを張り、銀メダルを獲得していた。


「悔しー。あとちょっとだったのに」

露骨に顔をしかめながら、二位の記念メダルをB組の陣地に持ち帰ってきた。クラスメイトたちはやんやの大喝采である。ポスターモデルになって以来、B組のクラスメイトたちの間に「他のクラスのやつらから広瀬さんを守ろう」という謎の連帯感が生まれている。広瀬本人もみんなに守ってもらえて悪い気はしていないらしく、今まで話さなかった女子とも仲良くしゃべっている。


「悔しー、じゃないぞ、オイ。何本気で走ってるんだ。打ち合わせの時間が減ったじゃないか」

俺が冷め切った目で指摘すると、広瀬はサッと目をそらした。

「……走りだしたら、ついムキになっちゃって」

「もういいよ。行くぞ。あっちで銀次たちが待ってる」

行きかけた俺の腕を、誰かがグイッと引っ張った。痛い、誰だ。

「何だよ」

振り返ると、広瀬の前の席の女子がいた。名前は確か……園田さんだ。同じクラスになって約半年、やっと覚えた。

「藤谷君、今のは冷たすぎるよ。せっかく広瀬さんががんばってきたのに」

周りの女子たちも一様にうなずいている。やばい。こんなしょーもないことでクラスの女子から総スカンなんてごめんだ。

「つまり、広瀬にねぎらいの言葉をかけろ、という話?」

「そうそう」

「わかった」

俺は一つせきばらいをして、広瀬に向き直って言った。

「広瀬、お前は足が速い」

広瀬はきょとんとして、

「……それ、褒めてるの?」

と言った。他の女子たちも「だめだ、こいつ」とあきれたように去っていく。何だよう、ちゃんと褒めたじゃないか。

釈然としない思いを抱きつつ、俺と広瀬は銀次たちとの待ち合わせ場所に向かうことにした。


銀次が考えたオーダーは、かなり意外なものだった。

てっきりアンカーを走ると思われた銀次自身が第二走者になっている。

「何でお前が二番目なんだ?普通は一番速いやつがアンカーだろ」

一緒に集まってきた菊地がもっともな疑問をぶつける。ちなみにこいつもリレーのメンバーだ。

他に集まっているのは冬馬、伊崎、狩井、こばっち。


銀次は言った。

「普通、リレーは一人二百メートルで、アンカーだけ四百メートルなんだよ。でも部活対抗リレーは、剣道部が防具つけて走ったり、そういう色モノ参加のことも考えて一人当たり百メートルになってんだ。アンカーでも二百メートル。これじゃ、俺が最後に走っても前を追い抜くには距離が足りない」

そうか。

こばっちなら簡単に答えを出してくれるだろうが、つまり陸上部に先に行かれたままアンカーを銀次で迎えても、相手も加速しているから追いつけないままゴールまで両者がスライドすることになる。それじゃ無意味だ。

「だから、陸上部が投てきか跳躍のヤツを出すであろう第二走者に俺が当たって、とにかくぶっちぎる。その差を保って、リードしたままアンカーにバトンを渡すんだ」

「なるほど」

ちょっと机上の空論ぽい気もするが、理にかなっている。

「で、誰がアンカーやるんだ?」

聞くと、みんなの視線が俺に集まる。嘘だろ。

「俺はダメだよ!二百メートルもスピードもたない」

「おめーしかいないだろ。キャプテンなんだから」

当たり前、と言った顔で銀次は言った。みんなも無言でうなずく。俺は広瀬に言った。

「俺が抜かれて負けても、恨まないでくれよ」

広瀬は言った。

「大丈夫。信じてるから」

言葉とは裏腹に、顔は面白がっている。

「信じても足は速くならんぞ」

イヤだ。

俺があの暑苦しい先輩に抜かれて、広瀬がデートするハメになるなんて、絶対にイヤだ。


こばっちが周りをキョロキョロ見回して言った。

「もう一人、皆藤君がメンバーのはずなんですけど、来ないですね」

そういえばそうだ。朝から「イヤッホウッ!ランニングマン!」と謎の雄叫びを上げて気合充分だったはずなのに。

「キャープテーン」

遠くから誰かが俺を呼んでいる。だんだんと見えてきた走る人影は、国分だった。

「はあ、はあ、はあ、すみません、キャプテン」

到着した国分が、両ヒザに手をついて肩を上下する。

「どうかしたのか?」

「か、皆藤が、はあ、弁当に入れてたマグロの刺し身を食べて腹壊しちゃって。保健室に行きました」

「何で弁当に刺し身なんだ!しかもまだ弁当の時間じゃないだろ!」

アホかあいつは。

「僕も止めたんですけど、午前中に食べれば大丈夫だって。でも思ったより、足が速かったみたいで」

「そんなうまいこと言わなくていい」

弱った。皆藤はカーブを曲がるのこそ苦手だが、爆発的な加速力は大きな武器になるはずだった。

「銀次、どうする?」

聞くと、銀次は険しい顔で考え込んでいた。

「他のヤツらは、どっちかっていうと長距離向きで百には向いてねえんだ。弱った」

どうしよう。十五人しかいないサッカー部に、他に速いヤツなんて。

俺はふと思いついたことを口にした。


「広瀬、お前は足が速い」

「それ、さっき聞いた」


広瀬がいぶかしげな顔で言った。他の連中も俺の考えを察したのか、広瀬に注目する。

「ちょっと待って。私マネージャーだよ」

「いいじゃねえか。部活対抗なんだし、選手じゃなきゃダメなんてルールはねえはずだ」

銀次がニヤリと笑う。

「夏希ちゃんなら男子とも張り合えるよ!前にタイム測った時、速かったし」

こばっちも両手を握りしめて力説する。広瀬は下唇を出してぶーたれたような顔になっていたが、あきらめたようにため息をついた。

「分かった。出る。私の問題でもあるしね。メンバー変更は大丈夫?」

「私が行ってくるから、夏希ちゃんはバトン渡しの練習してて!」

なぜか燃えているこばっちが、大会本部に駆け出した。


昼休憩をはさんで三時間後。

ラストの本気リレーの一つ前に行われる、部活対抗リレーの時間がやってきた。

運動部はそれぞれのユニフォームに着替えてバトンを渡し、文化部は活動に関係する道具をバトン代わりにする色モノだ。運動部の中では防具をつけて走る剣道部と水着で走る水泳部が色モノ寄りで、陸上部、サッカー部、野球部、バスケ部あたりがユニフォームをカッチリ着込んで本気で優勝を狙うグループだ。


俺たちサッカー部も真っ赤なユニフォームを着て、リレー選手たちの溜まりに集まっている。


スタートラインに立つ伊崎は、ニコニコしながら俺に手を振っている。俺は手を振り返しながらちょっとだけ有璃栖のことを思い出す。チクリと胸が痛む。


「ほほう、藤谷。お前がアンカーか」

陸上部キャプテン、大村先輩が憎たらしい笑顔で話しかけてきた。陸上部は黒のタンクトップと黒の短パンという、スポ根マンガなら悪い学校みたいなユニフォームだ。

「そうですよ。そちらはずいぶん余裕ですね」

「当然だ。こっちは本職だからな。同好会レベルのサッカー部には負ける気がしないな。ああ、広瀬ちゃんとのデートが楽しみだ」

すでに勝った気でいやがる。それに広瀬ちゃんて何だ。お前はプロデューサーか。


「さあ、秋晴れの空の下、みなさまお待ちかねの部活対抗リレーがやって参りました。各々の部が意地とプライドをかけて対決する、まさしくハルマゲドンと呼ぶにふさわしい熱き戦いが間もなく始まろうとしています!」

この大げさな実況の声は、以前背番号ドラフト会議を仕切ってくれた古市君だ。相変わらずあおるなあ。


「位置について」


スターターの体育教師がピストルを天に向けて、鼻を押さえる。

パン!と破裂音がして、第一走者が一斉にスタートする。


「スタートしました!おっとこれは速い!ダッシュ一番、先頭に立ったのはサッカー部!そして僅差で陸上部が続き、野球部、バスケ部が並んで追いかけます!」


カーブを越えて後半にさしかかる。伊崎の後ろに陸上部が迫る。やはり伊崎に百メートルは長かったか。しかし伊崎はガッツを見せて、先頭を譲らぬままバトンを第二走者の銀次に渡した。


「いいぞ、伊崎!」


このバトンを渡す動作もみっちり練習したのだ。成果が出ている。


「サッカー部がバトンを渡す!走者は元陸上部の軽部君!対して陸上部は砲丸投げの楠木くすのき君!どんどん離されていきます。これは現在三位の野球部が追いつきそうだ!」


銀次が全速力でかっ飛ばす。ぽっちゃり気味の砲丸投げ選手のせいで、陸上部がどんどん離れていく。本気の銀次はこんなに速いのか。生で見るのは初めてだ。


二十メートル以上陸上部を離して、バトンが第三走者の菊地に渡る。


「現在先頭はまだサッカー部!少し離れて陸上部と野球部であります。果たしてこのままサッカー部が下克上を成し遂げるのか、それとも陸上部が意地を見せるのか!ただの一秒も目を離せません!まさに刹那のバトル!神々の戦い!」


神々は言いすぎだ。そして陸上部の第三走者は本職だ。菊地も足は速いし、髪をなびかせてがんばったが、銀次が広げた差を半分にして、バトンは第四走者へ。


「行け!狩井!」


菊地が叫びながらバトンを渡す。右SBの狩井。普段はとても地味な存在で、それほど足が速いイメージもない。しかし銀次たっての希望でリレーメンバーに選ばれた。本人もびっくりしていたほどのサプライズ選出だ。

狩井が綺麗なフォームで走り出す。追う陸上部は走り高跳びの選手だ。


「……あいつ、あんなに速かったのか?」


思わず声に出る。

速い。

銀次ほどの爆発力はないけど、確実に差を広げている。毎日練習で銀次を追いかけているうちに速くなったんだ、きっと。だから銀次は狩井を選んだ。

チクショウ、俺はキャプテンなのに何も見てなかった。


菊地が詰められた差を狩井が少し広げ直し、狩井の持つバトンは第五走者の冬馬へ。


「サッカー部が先頭を譲らない!陸上部!差を詰められません!果たしてこのまま行ってしまうのか!」

冬馬はてっきり「面倒くさい」と言ってリレー参加を断るかと思っていたが、特に文句も言わず引き受けてくれた。こいつも大村先輩の態度にカチンときていたのかもしれない。


冬馬の相手はやり投げの選手だった。他の投てき種目に比べれば、走る部分があるだけシャープな体型だ。しかも結構速い。冬馬も菊地と同じくらいは速いが、そのスピードはFWとして点を取るためにほぼ特化されている。差が十メートルに縮まって、バトンは第六走者の広瀬へ。


「現在先頭のサッカー部!紅一点の広瀬夏希さんにバトンが渡りました!場内は大歓声であります!」


大歓声、は決して大げさではない。髪を後ろで束ね、真っ赤な14番のユニフォームを着て、とても綺麗なフォームで走る美少女。しかも速い。盛り上がって当然だ。きっと俺より速い。

広瀬の相手は走り幅跳びの選手だ。確かに跳躍系だが走る部分が多い。大丈夫か。


「速い速い、広瀬選手!差が広がっていきます!野球部とバスケ部はさらに後方!陸上部、創部以来最大のピンチ!絶体絶命の大ピンチであります!」


アンカーのスタートラインで広瀬を待つ。隣にいる大村先輩は二百メートルを得意とするスプリンターだと銀次は言っていた。普通に考えれば抜かれて終わりだろう。

うまくいくかな。


「未散ーっ!」


広瀬が懸命に手を伸ばしてバトンを差し出す。俺は精一杯身を低くして、ギリギリまでリードしながらバトンを受け取った。


「しゃああああああっ!」


後ろで広瀬が転倒したのが目の端に入ったが、もう振り返る余裕は無い。俺は忍者のように低い姿勢で空気抵抗を無くしてコースの最内を走る。このリレーはスタートしてからは走るコースを固定しないルール。勝機はそこにあるはずなんだ。


「サッカー部のアンカーはキャプテン藤谷!速い速い!ロスの無いコース取りでリードを守る!追う陸上部はキャプテン大村!男の意地とプライドにかけても負けられない!どんどん差が縮まっていきます!残り百を切りました!」


気配で大村先輩が近づいているのがわかる。あのコーナーを曲がれば最後の直線。

バクチを打つならここしかない!


「おおっと!サッカー部、ここで大きくふくらんだ!インコースがガラ空きだ!陸上部が迫る!サッカー部はここまでか!」

二百メートルは大村先輩の得意分野。力を見せつけて勝ちたいはずだ。だから外から抜き去るつもりだろう。しかしそこで、俺がインコースを開けたらどうなるか。


最終コーナー出口。俺の内側に人の気配がした。


「どおおおけやあああ!」

大村先輩の声だ。インか!いや、違う。絶対外だ!


「ゴールまであと二十メートル!陸上部はインを突かない!サッカー部が外に大きくふくれる!陸上部はさらに外!ほとんど同時に、今ゴールイン!」


ゴールラインをまたいでそのまますっ転がった俺は、バトンを握りしめたまま、酸素を求めて仰向けに寝転がった。

苦しい。

息ができない。


寝転がったまま横を向く。大村先輩が少し肩を上下させながら、そのまま立っている。さすが本職だ。

「現在ビデオカメラによる判定中です。しばらくお待ち下さい」

古市君の声が遠くに聞こえる。やばい、酸欠か。

「藤谷!」

「キャプテン!」

「未散!」

部員たちの声がする。

広瀬は心配してくれるかな。


俺は好きな人を守れたのかな。


みんなに体を起こされて、俺たちは判定の結果を待った。緊張の面持ちだ。特に広瀬が。

「広瀬」

ようやく息が戻って、俺は言った。

「やれるだけやったけど、やっぱ本職は強い。負けてたらすまん」

広瀬は笑った。

「結果が出る前から謝ってどうすんの」

「だって」

フウォン、とマイクのハウリング音が響く。


「大変長らくお待たせいたしました。部活対抗リレー、判定の結果、優勝はサッカー部!」


そこから先は思い出したくない。みんなが俺を胴上げして、「高い!怖い!降ろせ!」とわめいていただけなのだから。


閉会式も無事終わり、解散になった途端、大村先輩が俺を呼び止めた。一瞬身構えてしまったが、意外にも勝負の結果は引きずらないタチのようで、大会まで競技場を好きに使え、とあっさり言ってくれた。

それでもい去り際に、先輩はジロリと俺をにらんで言った。

「お前、最後のコーナー、わざとイン開けただろ」

「何のことでしょうか」

俺は目をそらして答える。結果は引きずらないが、経過は気にするタチらしい。

「とぼけるな。お前は俺が外から抜くだろうと読んで、わざとインを開けた。俺はその開いたインを突くと見せかけて、外に進路を変えた。でもお前はそれも読んでいて、今度はわざと外にふくれた。最後の判定はあの時振られた分の差だ。本来反則ギリギリだけど、お前は一度も後ろを見なかったから、故意の妨害と見なされずに済んだんだ」

「……怒ってますか?」

俺は返事の代わりに恐る恐る大村先輩の顔を伺った。

「別に怒りゃしないさ。ただ、そこまでして俺を広瀬ちゃんとデートさせたくなかったんだなって思ってな。それでお前の気持ちがわかったよ」

先輩は最悪に人の悪い笑顔を浮かべた。

「あくまで、キャプテンとしてがんばっただけです、ハイ」

「ま、そういうことにしとくか」

「大村先輩、銀次のことですけど」

俺は強引に話題を変えた。

「おう」

「あいつはあいつで、すごく悩んでサッカー部に来てくれたんです。だから、裏切り者なんて呼ばないで、戻ったら温かく迎えてやってください。お願いします」

俺は頭を下げて言った。

大村先輩は「頭なんか下げるな、バカ」と慌てたように言った。

「お前はそう言ってるけど、軽部の気持ちだってわかんないぞ」

「どういう意味ですか?」

「ずっとサッカー部にいたいって言い出すかもしれないじゃないか」

先輩の視線の先で、銀次が伊崎とじゃれあっている。そして部員たちが笑いながらそれを取り囲む。

「少なくとも、俺は軽部のあんな楽しそうな顔は陸上部で見たことないな」

言うと、先輩は「お疲れ。広瀬ちゃんによろしく」と言い残して、見た目とは不似合いにサッパリと去っていった。


みんながそれぞれの教室に戻る途中、広瀬がいつのまにか隣にやってきた。

「お疲れ、キャプテン」

「おう。ものすごく疲れた」

「だろうね」

「人生で一番濃い二百メートルだったな」

「何それ」

広瀬が笑う。例えポスターの笑顔が俺に向けられたものじゃなくても、広瀬の周りに人が集まって俺と話す時間が減っても、今この瞬間の笑顔は俺に向けられたものだ。それだけは間違いない。

「ありがと」

「ん?」

「守ってくれて。ちょっと、かっこよかった」

「え、あ、おい」

広瀬は早足で女子の集団に混ざっていった。聞き間違いじゃない。かっこよかったって。

「……」

俺は叫びだしたい衝動を抑えて、小さなガッツポーズをブンブン繰り返した。


数日後、大会初戦まであと二週間となった時、一つの問題が起きた。

一年の国分が、パッタリと練習に来なくなったのだ。


つづく

たぶんしなくていい名前の由来解説


大村先輩……タイソン・ゲイ

朝葉……アサファ・パウエル

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― 新着の感想 ―
残り時間はあんまりないとか言って銀次にシュートを変えさせたのに、 貴重な一週間をこうも簡単に使うのよくわからんな。
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