出会いはいつも唐突に
今回はあるある要素ありません。
いつもと変わらぬ朝を迎え、身支度をし学校にいく。そんな"あたりまえ"を最近はつまらなく思う。
「いってきます」春馬はそういって学校へと出発した。
電車に揺られながら今日がとてもつまらないものに感じる理由を考えてみる。すると真っ先に思い浮かぶのは奏が風邪で休みということだ。奏はいるとウザいがいないと寂しい。そんな存在だった。
ガタンゴトンガタンゴトンという電車の心地よい音が眠気をさそう。疲れが溜まっていたことと電車の席をとれたということが相まって、そのまま眠りについてしまった。
ーーどれくらいたっただろうか。
「起きてください、ここで降りるんじゃないんですか?」諭すような女の人の声で目がさめる。
声のした方を見上げると、そこには自分と同じ制服をきたロングヘアーの女の子がたっていた。身長は女の子にしては高い方だ。
「南東高校の2年生ですよね?降りるならこの駅ですよ」
「あ、はい、起こしてくれてありがとうございます」
「そんなことより、早く降りないと!」そういいながら俺の手を引っ張り、電車から降りる。
「急に引っ張ってごめんね。でも乗り過ごしちゃうと思って」
「さっきは助かったよ。ありがとう」
「私、南東高校に通ってるの。学年は2年で名前は一ノ瀬 雪えっと……あなたは…?」
「俺も学年は2年で名前は池沢 春馬」
俺たちは自己紹介をしながら歩いていく。
電車の時は寝ぼけててよく見てなかったけどこうしてみると可愛い…いや、どちらかというと美人だ。髪は肩にかかるくらいに伸びている。
駅からでると一ノ瀬は突然「私、用事あるからまたね」といい俺に手を振った。
俺は手を振り返した。
一ノ瀬は何故か南東高校とは逆の方向に向かっていき人混みの中に消えていった。
一ノ瀬が、帰ったあと彼女のことを思い返す。
「またあえるかなぁ」
俺は溢れるように独り言をいった。
自分の心臓の音が聞こえる。いつもより数テンポはやい。
このときの俺は何もしらなかった。
メインヒロインついに登場?
ストーリーとしても段々と動き始めます。