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忌み子なぼっち王子様を手なずける方法  作者: 佐伯さん
第六章 さようなら、王子様
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王様と王子様の提案

 なんというか、王妃は詰めが甘い人だったらしい。

 というかフィデリオが病床に臥していて、王妃の支配体制にあるからこその油断があったのだと思う。まあ、しっかり隠してはいたのだけど、王妃の行動を読んだブルーノ君がしっかり見付け出してくれた。


 夜な夜な城を徘徊する王子、というのも中々字面が悪いのだけど、実際は城内の見取り図とかを用意して貰って姿を隠してから転移してガサ入れしたのである。

 魔法様様だな、とブルーノ君は笑っていた。というか王妃に対して嗤っていた。……鬱憤が溜まっているらしい。


 昼間は厳重に警備していたから逆に分かりやすかったらしい。

 夜でも警備は当然あるものの、私という障害を無視出来て隠密に行動出来る存在が居たから何て事はないのだ。


 偽装されていた書類をささっと見つけ出して、おまけに横領や税の不正取り立ての証拠まで探し出したブルーノ君には脱帽というかなんというか。

 というかブルーノ君曰くお粗末な隠蔽の仕方過ぎる、だそうな。王妃主導ならばこんなものだとも納得はしていたけれど。




 シャハト側での証拠探しと並行して、トーレス側でも追い詰める為に証拠探しをしていた。

 毒の取引相手は稀少性故に産地でしかまず取引されない。特殊な製法で成分を抽出しないと毒として上手く機能しないので、それが出来る相手が限られているのだ。


 直ぐに相手は特定出来た。……まあ口を割らせるのに手間取ったけども。

 商人の城内での入場の記録や取引の履歴と日付と照らし合わせて完全に黒と断定。


 複数人の手を介して持ち込まれたならもっと手間はかかったのだけど、直接の取引だったから特定も容易だったのだ。

 多少シャハト側で隠蔽していても、大本の記録は残っているし、取引証書も残している。


 ……まあ、そもそも横領とか無断で税を増やした時点で言い逃れは出来ないよね。


 後は、これを有効的なタイミングで突き付けるだけ、なのだけど。


「私は母上に、アドルフィーネ様に毒を盛った事を白状させたい」


 ブルーノ君は、そう願い出る。

 またフィデリオのお部屋に集まっているのだけど、ブルーノ君はアドルフィーネの事が相当頭に来ているらしくて、どうせ罪を暴くならその事も、と思っているようだ。


 多分アドルフィーネは死んでいないのだけど、連絡がつかない。領域を持たない流浪の魔女に連絡を取ろうという方が難しいのだけど。

 私にだって色々と聞きたい事はある。どうして魔法を使ってまで隠蔽して殺された振りをしたのか、とかね。


「罪を突きつけて問い質せば白状してくれると思う?」

「……追い詰められない限り難しいのではないだろうか? それこそ、死んだと思った本人が問い質さない限り」


 エド君の言うとおり、本人が言わないと無理なような気もする。罪自体もしらばっくれるだろうし。

 あれだけ粗のある事をしておきながらも、彼女は認めはしないだろう。


「せめて、本人が呼べたらなあ。追い詰められると思うんだけど」


 恐らく、罪をフィデリオの口から暴いても、とどめにはならないだろうし……。


「偽者を仕立てあげるにも、誰も手伝ってくれそうにないよね。王族の前に立てる度胸のあって信頼出来る女性なんて居ないだろうし」

「……そうだな」


 何故か、皆が私を見る。


「……父上、母上の背丈ってリアくらいですか」

「そうだな、少しアドルフィーネが高いが、ヒールでどうにでも……」

「顔立ちはヴェールで誤魔化して口許だけ見せつつ髪を見せれば誤魔化せるのでは」

「魔法が使えるのなら、少しの間変化とか出来ないのですか」

「リア、髪や瞳を変えられるなら顔は出来るか?」

「え? 幻覚というか、ちょっと誤魔化すくらいなら……」


 流石に長時間幻覚を見せ続けるのは手間がかかるけど、と漏らすと、また顔を見合わせる三人。

 ねえちょっと待って嫌な予感がするんだけど。


「確か家に姿絵があった筈」

「ならいけるのではないだろうか」

「ふむ、ドレスは幾つかそのままで残っているから……」


 ……あれ、おかしいな、何故私が変装する流れになってるの?


 待って、と止めようと思ったけれど誰も聞く耳を持ってくれなかった。

 二月中に終わらせると言いましたが今週の金曜日に完結予定です。投稿の関係でずれて申し訳ないです。

 完結後は新連載(未定)と、今止まっている『婚約者の大人で子供の事情』を再開しようかな、と思っております。此方もよろしければ応援して頂けると嬉しいです。

 ぼっち王子はあともう少しですが完結までお付き合いいただければ幸いです!

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