表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忌み子なぼっち王子様を手なずける方法  作者: 佐伯さん
第一章 王子様を拾いました
1/68

落とし物は○○

 Q.落とし物が道端に落ちていたらどうしますか。

 A.持ち主を探して返す。


 というのが倫理的には正しいのだけど、まあそのままネコババしてしまう人が多数だとは思う。

 だって、たとえこっそり盗ったとしても誰かが見ていない限りバレやしないんだもの。良心の呵責がない人はあっさりと持ち逃げしてしまうだろう。


 けれど私は善良な魔女なので、持ち主を探して返してあげたい、とは思うのだけど……。


「どうしようかな、()()


 道端に男の子が落ちていた場合、遺失物と見なしていいのだろうか。


 禁忌の森とか言われる私の根城に近寄る人なんて、命知らずか、ろくでもない人か、何かから逃げてきた人だ。


 強い魔物が出るこの森に入ろうなんて馬鹿は、滅多に居ない。

 というか居て貰っても困る。私の庭に無断で入るやつは見付け次第追い返しているし。


 今日も薬草取りのついでに見回りをしていたら、見付けてしまった訳だ。

 落とし者。


 森の外縁部に転がっていたのは、十代後半の若者だ。

 いやまあ私も同じくらいの年齢だから偉そうな事は言えないけれど、兎に角若い子だ。


 品の良い服に包まれた、黒髪の青年。瞳の色は分からないけど、見て直ぐに端整な顔立ちというのは分かる。

 見た感じ、良いところのお坊ちゃん、というイメージだ。


 けど、お坊ちゃんならこんな所に転がってはいないだろう。

 お付きの者が探しにくるだろうし、そもそもこんなところには来させない筈。


 多分高級なのだろう、けど若干土で薄汚れた服装、布地も端々が切れている。……何かから逃げてきた、って感じかな?

 何かなんて彼をじろじろ見たところで分かる訳でもないけど。


 それにしても……うーん、このままだと、通りかかった悪人に追い剥ぎされて下手すれば殺されてしまいそうなんだけどなあ。若しくは、魔物に殺されてしまうか。


 基本他人なんてどうでもよいのだけど、目の前に放り出された人を見殺しにするのも良心の呵責がある。


 見たところ、若くて多分健康そうな男だ。おまけに顔は良さそうである。拾う価値はあるだろう。


 事情を聞いて、そのまま何処かに行くならそれもよし、私の下に残るなら雑用か何かでもしてもらおう。人手はあった方が良いし。


 まあ、これも何かの縁と思って、拾っていこう。

 落とした人が悪いんだからね、うん。返せと言っても返さないんだから。


 落とし者、もーらい。

新連載始めました。応援して頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ