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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
96/180

12話




洞窟内で採掘を始めてから数十分が経過していた。

ナナ、イリスの協力があったお陰か優人の思っていた以上に作業ははかどり、かなり奥まで進んでいた。




「ふぅーっ、けっこう進んだねー」


「うん、頑張ってる」


「しかしあれだなぁ。

こんなにも奥に続いてるとは思ってなかった」




優人は手に持ったランタンを突き出す。

その光は周囲をできる限り照らすが、来た道とこれから進むだろう道は光が照らしきれないほどに闇が深く、優人達が奥地まで来たことを証明している。




「ここまで一本道だからいいものを。

帰るのが面倒になりそうだし、ここら辺で切り上げて帰るか?」


「えー!!

せっかくここまで来たんだからさ、この奥がどこまで続いてるか見てみようよ!!」


「いや、そんな面倒な事」


「お願いだって、ね?」


「でもなぁ」


「一緒に行ってくれないなら、イリスちゃんと二人で行くからね?」


「………分かったよ、ついていけばいいんだろっ!?」


「ふふっ、最初っからそう言えばいいのにー」


「言わせたのはナナだろうが………

とにかく、行くならさっさといこうぜ」


「あっ、ちょっと待ってよ~」


「……私、忘れられてる」




照れ隠しのためにどんどん進む優人と微笑みながらもそれを追いかけるナナ。

1人完全に置いてきぼりを食らっているイリスはまたむっとするのだった。
















それからしばらくして、優人達はここに来て初めての分かれ道の前に到着する。




「はぁ、これどうするよ……」


「師匠、敵は?」


「どっちの道にもいない。

こんなにも敵と遭遇しないと逆に怖いな」


「ユート、どっちに行こうか?」


「そうだな─────っ!?」



優人が目の前の二つの通路を見比べていると、左側から一瞬だけだが何かの気配を感じ取る。



「師匠、どうかした?」


「あ、いやなんでもない、多分気のせいだろ」


「あっ、2人共見て!!」




ナナが指差した先にあったのは、左側の道の壁際に転がっている石ころ。

輝きはしないものの黄色が目立つそれは、今回の目標物だった。



「お、スイレン石か」


「ねね、悩むならこっち行ってみようよ!!

もしかしたらスイレン石いっぱい手に入るかもしれないじゃん?」


「まあ、それも一理あるんだけど」


「もーっ、またそんなこといってー!!

ユートはそういう所は男らしくないよねー!!」


「師匠は、優柔不断」


「うるせえ、慎重派なんだよ」




自分よりも年下の2人に言いたい放題言われ、少し口調が尖ってしまう。

しかしこれと言って決め手がないのも事実なので、優人は渋々ナナの言う事を聞く事にした。




「ほら、ナナの思った通りスイレン石がたくさん落ちてるよ!!」


「まじか………ナナの勘もたまには当たるんだな」


「たまにじゃない、ごくまれに」


「なにそれ2人共酷くない!?」




などと騒ぎながら前へ進んでいると、遠くに出口らしき光が見えてくる。




「やっと出口だー!!

ナナもう歩くの疲れたよー」


「私も、疲れた」


「歩きっぱなしだったもんな。

────っと、残念だけど出口じゃなかったか」




光に近づくにつれて、その先にあるのが出口ではなく吹き抜けのある広い空間だとわかる。

まるで何かの通り道であるかのようなその場所は、円柱状にくりぬかれたような形状をしており、見上げると真上まで昇った太陽が確認できる。




「はぁ、行き止まりじゃねぇかよ………」


「どうする?もう、戻る?」


「えっイリスちゃん早すぎだよ!?

まだ来て数分も経ってないじゃん!?」


「って言っても、することないしなぁ」




あの気配も結局分からなかったしな、と優人はため息をつきながら周囲を見渡す。




(そういえば、何でこんな空間があるんだろう。

火山活動でこんな空間ができるとも思えないし、モンスターの住処にしては大きすぎる、それにこんなにもきれいに円柱状に造られてるんだ、故意じゃないとまずありえないか)




ここの場所について色々思案しているとナナが遠くに何かを見つけたらしく、奥の壁まで一気に駆けていく。




「ねぇユート見てー!!

こんな所にスイレン石の塊みたいなのがあるよー!!」


「だから勝手に行動するなって………

っておお、これはすごいでかいな」


「うん、初めて見る、大きさ」




ナナの拾ったその塊を見て驚いていると突然、周囲一帯が陰りだした。




「何だ?雲でも─────っ!?」


「どうしたの?───ってきゃあっ!!?」


「………これはっ」




3人が天を仰ぐ、とそこにいたのは一匹の───(ドラゴン)


空間を独り占めするほどの巨大な双翼を羽ばたかせながら、まるで神や天使が舞い降りるかの如くゆったりと地に降り立つその姿は、まさしく生物ピラミッドの頂点に君臨する者の態度である。


黒光りする鱗を全身に纏うその龍は赤い瞳の中に優人達を捉えるや否や、口を少し開けて言葉を放つ。




『ふむ、久しくこの地に出向いたら意外なお出迎えじゃの。

お主らよ、何故このような場所に足を運んだ?』






次回投稿は4/10(月)13:00予定です



※誤字脱字、感想等ありましたらお申し出頂ければ幸いですm(__)m

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