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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈1章 ルークラート王国編〉
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8話



ナナのお父さんとお母さんは冒険者です。






小さい時からナナ色んな話をしてくれました。


山にある洞窟からお宝を発見したとか、海の底の神殿を発見したとか、地面を掘り進めたら地下空間に当たったって話を聞いた時はすごい驚きました。




そんなお父さんとお母さんとナナは、同じ狐人の人達と村を作って暮らしていました。


村の人はみんな優しくて、お父さんとお母さんが何日も帰って来れない時は、隣の家のおばあちゃんが代わりにご飯を作ってくれました。




そして、ナナが14歳の時に、アイツら―――オーガ達は村を襲ったんです。


村の男の人はほとんど殺され、若い女の人や女の子だけを連れ去っていったんです。もちろん、ナナも連れていかれました。



連れて行かれた先は暗く深い洞窟でした。その中でナナみたいな子供と大人とで分けられました。

ナナ達子供は小さな空間に押し込められ、大人達は奥の大部屋に連れていかれました。




そして、その後聞こえてきたのは――――――悲鳴とも言えない絶叫でした。




「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「やめて!!壊れる!!壊れるから!!」


「うぐっ…ひぐっ…おぇぇぇぇぇっ……」





ナナは何が起きてるのか分からないのに、何故か全身震えていました。きっとあの悲鳴のせいだったんだと思います。




そして、悲鳴が止んだら今度はナナ達の番でした。




オーガ達は1人ずつ連れ去っていき、とうとうナナも連れていかれました。




連れていかれた先は―――地獄でした。




大人達が裸で地面に転がっていて、みんな顔が真っ青でした。中には口から泡を吹いている人もいて、見ていられませんでした。

そして、先に連れて行かれていた子達は既に服を破かれていて、その、行為をしてました。


まだ幼いってこともあってその痛みに耐え切れず、一瞬にして気絶してしまう子供達がほとんどでした。



ナナもああなるって思うと、我慢の限界でした。




「嫌ぁ!!!やめて!!!誰か助けて!!!」




でも、オーガはそんな事お構い無しでナナの服も破きました。




あぁ、ナナもあの子達みたいになっちゃうんだ………



ナナはその時、本当の絶望を感じ、心の底から諦めていました。

でも、そんな時、遠くで爆発音が聞こえたんです。




「おい!! みんな無事か!?

ってこれは酷い…………くっ……」




そうです、お父さんとお母さんが来てくれたんです。




「ナナっ!! ナナっ!!

あぁ、無事だったんだなっ」




お父さんはオーガ達を瞬殺し、ナナの所まで走ってきて抱き締めてくれました。

お父さんとお母さんは残りのオーガも瞬殺して、一緒に来ていた村の男の人と一緒に女性達を外に運び出していきました。

村人が全員救出され、残っていたのはまだ何もされていなかった私だけだった。




「さっ、ナナもお家に帰ろう」




お母さんが声を掛けてくれたので、そっちの方へ走っていきました。

―――と、




「ナナ危ないっ!!!!」




お父さんがナナをお母さんの方へ突き飛ばしました。

ザンッ―――




「ぐぁぁぁぁぁっ!!!」




お父さんはオーガに左腕を切り落とされ、苦し紛れに右手だけでオーガを倒す。




「お父さん!!!」




その後、お父さんの左腕は治ることはありませんでした。

そのせいで冒険者も引退することになってしまいました。



わかっているんです、誰のせいでもないって。

でも、ナナは全部自分のせいだと思いました。そう思いたかったのです。

何かしらの理由がなければ、多分ナナは何も出来ませんでした。




だから、ナナはお父さんの代わりに冒険者をやる事に決めたんです。




でも、ナナは冒険者に向いていなくて、いつも失敗ばかりしました。

そんなナナを、お父さんはいつも慰めてくれます。




「大丈夫。ナナならいつか成功するから。

でも、どんだけ苦しい時でも元気と笑顔を絶やしちゃいけないよ。

もし本当に苦しい時があったら、心を許せる人のそばで泣きなさい」




慰めてくれた時はいつもその話をしてくれました。

あの時のナナは全く意味がわからなかったので、とりあえず元気で笑顔を絶やさない事だけを頑張りました。




そんなこんなで15歳になって、ようやくお父さんの言葉の意味が分かるきっかけになる出来事がありました。

街の外の草原で薬草採取をしていると、いつの間にかブルーファングに囲まれてました。




「無理っ!!! やだ来ないで!!!」




そんな時に、あの人は通りかかったんです。




その時の印象は最悪でした。

明らかにナナをバカにした目、しかもこの状況で何もせずにただ見てるだけって。

よし、あの人になすりつけちゃおう―――







そこからは驚きの連続でした。

だって、あれだけの数のブルーファングを瞬殺したんですもん。

しかも、その後にはちゃっかり皮肉も言ってくるし。




たった数分の出来事だったんですけど、この人は信頼出来る、そう思えたんです。

だから、それからは頑張ってあの人について回ったんです。





そして、そんな時にでた『緊急事態』。

しかも―――オーガの集団。




ナナは名前を聞いただけなのに無意識に震えていました。

涙も込み上げてきて、負の感情に全身を支配されたような、そんな感覚に襲われました。




そんな事を思っていると、何故かナナはとっさにあの人に抱きついて泣いていました。

ああ、お父さんの言っていたことはこれなんだ。



あの人なら、何とかしてまたナナに皮肉を言ってくれる。

そんな事を感じて、ナナはあの人―――ユートさんに体を預けました。













――――――――――――――――――――――――







(さて、どうしたものだろう……)



 目の前で自分の過去について話してくれたナナをよそに、優人はこれからの行動について考える。

そして――――――覚悟を決めた。




「ナナ、お前はここにいろ。あれは俺がやる」




ナナは驚いたように顔をあげる。




「いや、無理だよ!?

ユートさんFランクでしょ?

オーガは基本Bランク冒険者が相手にするモンスターだから、いくらユートさんがブルーファング瞬殺できるからって、相手にならないよ!!!」




ナナは震える声で必死に訴えてくる。



(まだ、怖いんだろうな―――オーガ)




「おいナナ」


「な、何?」



 そこで優人は一息整え、まっすぐ見つめてこう答える。




「俺だけ見てろ。それだけだ」




 そう、これでいい、これだけでナナの問題は全て解決する。




「………うん、わかった」




そんな声を聞き届け、オーガの集団に向かって―――――――――飛んだ。







さて、8話終了です!

次話でオーガ戦とアフターストーリー、

そして一つの伏線も回収させていただきますよ!


次回投稿10/29(土)21:00予定です

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