ナナの日記②
大変長らくお待たせいたしました、それでは引き続き「ひねくれ者の異世界攻略」をお楽しみくださいm(_ _)m
こうして日記を書くのも久しぶりだなぁ。
この間までね、ナナ達はセイルペイスに行ってたんだよ!!
まあ観光じゃなくてお仕事でなんだけどね。
セイルペイスはね、何と海の上に浮かんでいるんだよ!!
本当にすごいよね、考えた人は大天才だよきっと!!
それに王国じゃ売ってないような食べ物や服とかアクセサリーとか沢山あって、もう見て回るのに1日じゃ足りなさそうだったよ。
大人の人達はカジノが目当てな人が多いみたいで、セイルペイスにある三つのカジノドームにまっしぐら、もっと観光を楽しんだらいいのになぁ。
ナナもユートに頼んでカジノに挑戦してみたんだ、
でも負けてばっかりで面白くなかった、残念。
でも、良い事ばかりじゃ無かったんだよね。
トリノ君が死んだ時は本当に悲しかったな。
ユートが一番ショック大きかったみたいだけど、そりゃあ目の前で人が亡くなったら誰でもああなるよね。
とまあ色んな事があってセイルペイスから帰ってきたんだけどね、帰ってきてすぐセシリアさんから王城に呼ばれたんだ。
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「来てくれて嬉しいよ、今日は楽しんでいってくれ」
天井にぶら下がるシャンデリアから発せられる、
明るく暖かみのある光がその宴会場をより一層華やかに魅せる。
優人達5人はセイルペイスから自宅に戻って数日後、
セシリアに招待された毎年王城で行われる年末パーティーに足を運んでいた。
「わざわざ招待して貰ってありがとうございます」
「いやいや、私達王族は優人にはお世話になっている身。
招待しない訳にはいかないよ」
「はぁ、そうですか」
「まあ何だ、私が言うのもあれなんだがここの料理は
どれも一級品だ。存分に楽しめると思うぞ」
「みたいですね、既に堪能してるヤツも居てますし」
優人がため息をつきながら目をそらした先には、
テーブルに並べられてた料理を片っ端から皿に取って
食べ続けている大精霊・ソフィアの姿があった。
「すいませんね、うちのバカ精霊が」
「いや、全然構わないよ。
むしろ優人もあの姿を見習って食べてきたらどうだ?」
「俺は食細いんで」
そう言われて少し困ったらしく、セシリアは「そうか」と
軽く呟いて微妙な表情を浮かべる。
そんな気まずい雰囲気を吹き飛ばすように、
ナナ達3人がそれぞれ料理を盛り付けた皿を持って
こちらに向かって来る。
「あれ?ユートはまだ何も食べてないの?」
「ん、セシリアさんと話してたから取りに行ってないだけだ」
「ユート様、私が取ってまいりましょうか?」
「あーいや、自分で取るからいいよ」
「師匠、私のあげる」
ナナのもあげる!と優人の周囲が一段と騒がしくなったのを見届けて、セシリアが微笑みながら話し掛ける。
「楽しそうで何よりだよ、優人」
「楽しそうに見えますかね、これ。
本当は来るつもりじゃなかったんですよ、
なのにナナ達が無理やり引っ張るから…………」
「だってそうでもしないとユート来ないじゃん!!」
「うるせえ。
最近動きすぎたから、年末ぐらいゆっくりしたいんだよ」
「完全に引きこもりの発想ですね、それ………。
ユート様、こういう宴会の場を楽しむのも大事ですよ?」
「って言われてもなぁ。
とりあえず何か食べようかな、ちょっと取りに行ってくる」
「かしこまりました、では私達はここで待っていますね」
まだいがみ合っているナナとイリスに冷ややかな視線を送り、優人は遠くの方のテーブルに置かれた海鮮料理を取りに向かった。
「…………で、何があったらこうなるんだ?」
優人が料理を取り戻ってくると、大勢の人集りの中心でナナとイリスが睨み合い、さらにそこから外れた所で『反照』を使用したのだろう、仄かに白く光るソフィアがリアにいたずらをしていた。
優人はとりあえず近い方、ナナ達の方に足を進める。
「おい、何があったんだよ?」
「あっ聞いてよユート!!
イリスちゃんがね、ユートは魚料理が好きだって言うんだよ!!
違うよね?ユートはお肉が好きなんだよね!?」
「師匠、ナナは………」
「ああ、わかってるよ。
ったく迷惑掛けやがって…………」
優人は完全に悪酔いしてしまっている
ナナの近くまで寄り、『キュアー』をかける。
すると先程まで赤かった顔色が元に戻り、
その場にへたり込んでしまう。
ナナの左手に握られていたグラスを取り、
優人は顔をのぞき込む。
「あ、あれ?体に力が入らない…………。
ってユート?何かあったの?」
「ナナ、お前記憶無いのかよ…………。
どこまでの事は覚えてる?」
「え?…………えーっと、イリスちゃんと
ユートの所に来た所までは覚えてる、かな」
「てことは、言い合ってた所は全部忘れたのか。
ナナ、お前当分の間お酒飲むの禁止だ」
「え、ええっ!?
何で!?ナナ何か悪い事した?」
「帰ったら説明してやる、だから騒ぐなって。
周り見てみろ」
「あ…………うん、わかった」
周囲の人の目にようやく気づいたナナが、
悪酔いの時とは別で顔を赤くする。
「ゆ、ユート様…………」
背後から聞き慣れた声に呼ばれ優人が振り返り、
驚愕の表情を浮かべる。
そこに立っていたのは予想通りリアだったのだが、
着ていた青いドレスの所々が伸びていて何とも
だらしない感じになっていた。
明らかに強く引っ張られたのが見て取れる
そのドレスを纏うリアは、涙目になりながら
ただ立ち尽くしていたのだ。
「…………………………」
面倒事が立て続けに起こり、優人は何の言葉も出ずに
天を仰ぐことしかできなかった。
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でね、騒ぎを聞きつけたセシリアさんが替えのドレスを
すぐに用意してくれて何とかなったんだけど、
「はしゃぐのはいいが程々にしてくれ」って怒られちゃった。
ソフィアちゃんは悪さしすぎたからって事で
縛られて宴会場の端に転がされてたけど、
ユートはソフィアちゃんにちょっと厳しすぎるよね。
あ、そう言えばその後セシリアさんがユートに大事な話があるって2人で話してたけど、一体何の話だったのかなぁ。
っと、もうこんな時間だ!!
今日はナナが料理を作る日だったね、急いで準備しないと!
それじゃあ今日はここでおしまいっと。
次回投稿3/14(火)13:00予定です




