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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈閑章 移りゆく年と変わらない日常〉
79/180

年越し



「みんな、準備はいい?

…………じゃあカウントダウン始めるよ!!


さ〜ん!に〜っ!いち〜!!」





―――――パンッ!!パンパンッ!!



「「「「あけましておめでとう!!」」」」




リビングに大量のクラッカー音が鳴り響く。




「いやー、ついにこの時が来た!って感じだね!!」


「ナナ、テンション高い」


「ふふっ、今ぐらいはいいんじゃない?」


「ね〜ね〜リア〜?

アタシもうお腹空いたよ〜食べていい〜?」


「お前は食う事と寝る事以外に興味無いのか……」




いつもの面子の賑やかな声。

優人達は新年を自分達の家で迎えていた。

ナナとリアによって作られた豪華な料理が

テーブルに広げられ、風船がいくつも天井を

飛んでいた。

ナナ曰く、風船はイリスのアイデアらしい。




「えっと、私も呼んで頂いてありがとうございます」




唯一客として招かれていたニレがおずおずと口を開く。

そんなニレに向かって、ナナが屈託の無い笑顔で

返答する。




「何言ってるの、ニレちゃん!!

こういうのは大勢でやるから楽しいんだよ!!」


「ニレ、遠慮はなし」


「………そうですね。

新年ですし、お言葉に甘えて私も楽しませて貰います」


「うんうん!!

さあ、ニレちゃんも早く食べよう!!

どれがいい?取ってあげる!!」


「えっと、じゃあそれとそれを」




ニレがナナに料理をよそってもらう。

先程と違ってその顔にあったのは緊張ではなく

笑顔であり、その様子を少し遠い位置から見ていた

優人は、少し優しい気持ちになった。




「そうだ、今年の抱負を1人ずつ言っていこうよ!!」


「あー、そういうのこの世界でもあるんだな」


「師匠の世界でも、あった?」


「ああ、あったな、俺は特に何もしなかったけど」


「なら、みんなとやりましょうユート様 」


「そうだな」


「えー、じゃあナナからね?

今年の抱負はねー、もっといろんな料理を

覚えて作れるようになる、かなー?」


「ナナらしい。次は、私。

私は、魔法スキルをもっと、上達させる。

もっと言えば、新しい魔法、覚えたい」


「次は私ですね。

ユート様にお使えしている身としては、

やはりもっとユート様の役に立ちたいですね」


「え〜、リアそんなんでいいの〜?

じゃあアタシは」


「お前はもっと食ってもっと寝る、だろ?」


「ひどいって〜!!

アタシにもちゃんとしたのあるから!!

……コホン、アタシはもっと色んな所に

行ってみたいかな〜」


「あー、それは意外だな」


「えっへん、アタシだってそういう事

考えてるんだもんね〜だ!!」


「どこのガキの発言だよ……。

次は俺だな、俺は穏便に、平和に暮らしたい」



「いや、ユートそれはないよ……」

「師匠、無理」

「ユート様、それは……」

「え〜?ユートが?ウケるわ〜!!」




優人の抱負を聞いたナナ達4人が、呆れたり

笑ったりと、様々な反応を見せる。

特に反応の大きいソフィアにいたっては、

優人はすぐに席を立ちソフィアを捕まえ、

全力で拳骨をかます。



「いった〜い!!ユートが悪いんじゃん!!」


「人の抱負を笑うやつが悪いんだろーが!!」


「えっと、私の抱負を語ってもいいですか?」


「あーすまん、悪いなソフィアのせいで」


「………もーわかったわよ、アタシのせいでいいから」




睨みをきかせた優人に屈したのか諦めたのか、

ソフィアが両手をあげて無抵抗のポーズを取る。




「じゃあ、最後は私ですね。

私はこれから一人で生活する事になるので、

何かいい働き口をみつける、と言った所です」


「ニレちゃん…………」




ニレの語った抱負に感化されたのか、

ナナが涙目でニレの手を取り、言葉を発する。



「何かあったらナナ達を頼ってね!!

というか、いっその事一緒に住まない!?」


「え、ええっ!?」


「師匠、どう?」


「んー、まあ、ナナ達がそうしたいなら

好きにしたらいいぞ」


「ではユート様、まだ使ってない部屋の掃除を」


「あー、悪いけど頼むな」


「ナナも手伝うよリアさん!!」


「ナナありがとう」


「えっと………」




トントン拍子で話が進んでしまい、

当の本人のニレがものすごく困った顔をする。




「どうしたのニレちゃん?」


「あの、えっと、私がここで住むの確定なんですか?」


「…………嫌?」



(出ました必殺イリスの困り顔!!

………あー、ニレもやられたな)



「っ…………いいんですか?」


「もちろん!!ねえユート?」


「ん?ああ、好きにしたらいい」


「そうですか。じゃあユートさん、お世話になります」




ニレがペコりと、深く頭を下げる。

別にそういう趣味ではないのだが、幼い子に

感謝されるともっと何かしてやりたくなる優人は、

ニレにある提案を持ちかける。




「そうだ、ニレはいい仕事が欲しいんだよな?」


「??

はい、そうですけど」


「なら俺の家のメイドとして働かないか?

月金貨1枚で住み込みで働くんだ、これ以上に

いい仕事はないと思うぞ?」


「ええっ?私がメイドですか?」




予想通りに驚くニレ。

だがしかし、驚いていたのはニレだけではない。




「ゆ、ユート様………。

まさか私の働きが悪いから新たなメイドを雇いたい、

という事なんですか?」




どうやら間違った方向に解釈をしてしまったようで、

リアが悲しそうな表情を浮かべる。




「あー違うぞ、リア。

トリノの時にも言っただろ?

一人でこの家の家事をするのはしんどいだろうから

そのうちメイドを増やす、そのメイド長として

お前がしっかり面倒を見てやってくれって」


「…………そういう事でしたか。

すいません、取り乱してしまって」


「ま、気にするな。

とりあえず頼むな?メイド長として」


「かしこまりました」



リアにしっかりと役割を伝え、

優人は再びニレの方に向く。




「さて、ニレはどうする?うちで働くか?」


「………さすがに、そこまでユートさんに

厄介になるのはどうかと思うんですけど」




意外としっかり者なのだな、と優人は内心思う。

しかしナナ達の手前、引き下がるわけにはいかない。




「そっかー。

いやーそれは俺としてもすっごい残念だなぁ。

せっかく良いメイドがうちで働いてくれると

思ったんだけどなー」



(うっわ、酷いぐらいに棒読みだなー。

さて、ニレはどう出るかな)



「………ユートさんがそう言うなら、

お言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」


「おっ、働いてくれるか?

そうかそうか、それは良かった、俺も安心だ」


「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」



ニレがまたペコりと頭を下げる。

うん、健気なのはいい事だよな。



「じゃあ、明日?あっ今日か。

今日はニレちゃんの家に引越しの荷物を取りに

行かないといけないね!!」


「そうだな、ついでにニレのメイド服も

買いに行っておこうか」


「め、メイド服ですか?」


「そりゃ、メイドとして働くんだ、

そういうのは形から入るべきじゃないのか?」


「………そうですね、わかりました」


「仕事の内容はリアから聞いてくれ。

それと今日はもう遅いし、とりあえず泊まって

いってくれ。イリスの部屋で一緒に寝てくれるか?」


「はい、ご配慮ありがとうございます」


「いやー、これで一安心だね!!

よし、食事を再開しよう!!」



ナナの一声で優人達は皆テーブルに置かれた料理に

目をやる。


…………嘘だろ?もう半分も残ってない………。




「ソフィア、お前マジかよ………」


「んー?だって皆喋ってばっかでつまんないもーん」


「ソフィア、お前もう食うな。寝てろ」


「ちょっと扱い雑いって〜!!

新年の最初ぐらい大目に見てよ〜!!」


「まあまあユート様もソフィアも落ち着いて。

私がすぐに追加の料理を作って来ますから」


「あっナナも手伝うよー!!」


「……結局、こうなるんだな………」




新年の最初もいつもと変わらない光景になり、

優人は深いため息をつくのだった。








新たな同居人兼メイド・ニレは今後どんな

活躍をしてくれるのでしょうか?





※お詫びとお知らせ

誠に勝手ながらですが、私事により次の投稿が

3月半ばになります。

申し訳ありませんm(_ _)m




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