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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈2章 海上都市セイルペイス編〉
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24話





「なっ!?ありえない!!

なんで一撃でやられてるのよ!?」




目の前で起きた異常事態に、

グラシアがもっともな反応を見せる。


優人はルティの顔を持った怪物の肉塊を

『無間』で消し去り、グラシアに顔を向ける。



「グラシアさん、どうしてルティを

あんな化け物に変えたんだよ………」


「し、知らないわよそんなの!!

私が見た時には既にああなっていたのよ!!」


「え、それってどういう――――――」



――――――ヒュン。




その言葉の追及を阻むかのように、

優人とグラシアの間をセシリアが通り過ぎる。

いや、正確には防御姿勢のまま吹き飛ばされていた。




「………セシリアさん?」


「はぁ、はぁっ…………ふぅ。中々強敵でな、

ここまで手こずると思っていなかったよ。

優人みたいに一撃で倒すのは程遠そうだ」




セシリアは体勢を立て直し、

吹き飛んで来た所にいる鷲顔を持つ怪物に

しっかり目を据える。



「手伝いましょうか?」


「お前のは手伝いじゃなくもはや横取りだろ?

それに、あれは第二騎士隊隊長の顔なんだ。

同僚の相手ぐらい務めさせてくれ」


「そうですか、なら俺は他の怪物の相手をしてますね」


「ああ、マール達と撃退に回ってくれ、頼んだ」


「…………無理は禁物ですよ」


「お前には言われたくない台詞だなっ」




そう言い残してセシリアは鷲顔持ちの怪物に

向かって駆けてゆく。




「英雄様、私達もいきましょう」


「そうだな。

…………お前はよく働くよな」


「はは、それは誉め言葉として受け取っておきますね」


「ああ、好きにしろ」




優人はマール達猫人を引き連れ、騎士隊達が

交戦している中に突っ込んでいくのだった。















―――――――――――――――――――――――




怪物達との戦闘は、優人達が圧倒的に優勢だった。

というのも、騎士隊が敵の攻撃を防いでいる隙に

優人が1人で細切れにして回った、という訳だ。



辺りは日が落ち、それと入れ替わって満月が

空に浮かんでいた。


怪物もほとんどが倒され、残っているのも

指で数えるほどだった。




「優人」



戦闘に余裕が出来たからか、セシリアが近寄って

声をかけてくる。




「どうしたんですか?セシリアさん」


「いや、ここは私達に任せてグラシアを追った方が

いいんじゃないかと思ってな」


「あー」



優人は軽く周囲を見回す。

(―――まじか、居なくなってる……)



戦闘に意識を割いている内に逃げた様で、

グラシアの姿は見当たらなかった。



優人はすぐにスキル『索敵』を使用する。

その効果によって北の小森林地帯に逃げ込んだ

グラシアの事を容易に発見する。




「…………ちょっと、グラシアさん探して来ます」


「そうか。…………なあ優人、

あんまりやりすぎるなよ?」




セシリアの忠告に、マールが少し顔を俯かせる。

それに追い打ちをかけるように、優人が呟く。




「どっかで聞いた事ある言葉だな。

まあ、類は友を呼ぶってやつなのかな」


「何のことだ?」


「あーいや、こっちの話ですから。

じゃあ後は任せますね?」


「ああ、任された」



優人はセシリアから目を離し、遠くの森に

向かって足を進める。

背後から聞こえてくるセシリアの声に

押されたこともあるのか、いつもより少し

動くのが早く感じた。



(グラシアさん、わざわざ忠告までしたのに……


トリノの事、ニレの気持ちを無駄にした事、

昔したリアへの嫌がらせの事…………。

それに、前のあの件も親子で絡んでるんだろう。


さすがに、許せない)




走りながらもふつふつと沸いてくる怒りに身が

震えそうなのを我慢し、優人はフライシューズに

MPを込め、全力で飛び上がった。

















―――――――――――――――――――――――






「………………おっ、帰ってきたんだな」



森の中での一件のあと、草原で負傷した隊員の

応急手当や帰りの支度を整えている騎士隊の元へ

優人は戻ってきた。

どうやら戦いには勝ったらしい。


そこで人一倍に動き回っていたセシリアが

優人に気付き、声を掛けてきた。



「…………やっぱり、そうなったんだな」


「?」


「まあ、少し動くな―――――『クリア』」



セシリアは優人の前に立ち、手を翳してそう唱える。

その行動が何をしているのか、

優人が理解するのに時間はかからなかった。




「わざわざありがとうございます。

でも、これぐらいなら自分でも出来ましたよ?」


「はぁ、気付かないのか。

そういう問題じゃないだろ?

私が言わなかったら、優人はどうしてた?」


「えっと、とりあえずセシリアさんにお礼を言って、

そのまま帰ります。

………………………………あ」




優人はそこでようやくセシリアの優しさに気付く。




「やっと気付いたのか。

優人は聡いのにそういうのは駄目なんだな」


「返す言葉が見つかりませんよ………」


「そうかそうか、優人でもそんな事を言うのだな」




はははっ、と豪快に笑うセシリア。

しかし、すぐに元の凛々しい顔立ちに戻る。




「なあ優人、さっき言いそびれたことなんだがな」


「ええ、何ですか?」




一呼吸おいてから、セシリアは言葉を発する。




「守るだけが優しさじゃないんだぞ。

大事な物を守りたい気持ちも分かるが、

そんな事を続けていたら、

本当の意味で大切な物を失う事になる」


「………………はぁ。中々難しい話ですね」


「すぐには理解出来ないと思う、

ただこれだけは覚えておけ。

『当たり前を押し付けるな』」


「……………………」




セシリアの言葉に、優人はつい考え込んでしまう。


はっきり言ってしまえば、セシリアの言葉の意味を

優人は理解出来ていなかった。

ただ、最後の『当たり前を押し付けるな』という

言葉にものすごく引っ掛かったのだ。




言葉の真意を色々と思案していると、

セシリアがポンッと軽く肩を叩く。




「今はまだ慌てなくていい、

人間気付くべき時に気付くものだよ」


「そんな簡単なもんなんですか」


「分かれば簡単さ。ただ、分かるという事は

つまり」


「ユートー!!!!」




セシリアの言葉を遮るように、遠くから

大声で優人の名前を呼ぶ声がする。




「ナナの声か、あいつらわざわざ迎えに来たのか?」


「いい子達じゃないか」


「まあ、本当にいい奴らだとは思います。

ところで、さっきの話の続きなんですが―――」


「ああ待て、こうしよう。

優人に課題を出す、私のさっきの忠告を

しっかり理解しろ。

答えがわかったら私に会いに来て、

そこで答え合わせをしようじゃないか。

正解したら、さっきの話の続きをする」


「課題って、俺は学生かよ………」


「何か言ったか?」


「いえ、何も。

…………わかりました、それでいいです」


「そうか。

じゃあ私は隊員と王国に帰る、今回の依頼も

何だかんだで全て解決したからな」


「そうですね、では」


「ああ、またな」




セシリアと別れの挨拶を済ませた後、

優人はまだ大声で名前を呼び続けている

ナナの元に急いで向かうのだった。






怪物達との戦いは意外とあっさり終わりましたね〜

セシリアからの助言の真意、気になりますね?

次回はいよいよ2章最終話です!!


次回投稿12/25(日)13:00予定です



※感想、誤字、意見等ありましたら

何でもお申し出下さいm(_ _)m




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