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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈2章 海上都市セイルペイス編〉
71/180

23話




「へぇ、しぶといわね。

それじゃあ3列目、動きなさい!!」


「くっ………………」




グラシアの声に応じ、待機していた3列目が動き出す。


絶妙な時間差で中々の量の敵を送り込んでくるため、

優人は休む間を与えられずに数時間程戦闘を

続けさせられていた。




「はぁ、はぁ。さすがに休憩が欲しいな。

…………よし、『ブリザードウォール』」



そう唱えると、優人の周囲をぐるりと大きく取り

囲むように冷気を放つ氷の壁が出現した。


アクアウォールとアイスウォールを合成した

それは、強靭な硬さに加え触れるだけで相手を

凍らせるカウンター効果までついていた。





「なっ、何でそんな反則級な魔法が使えるのよ!?」


「お前のその怪物兵の方がよっぽど反則だろ!!」




優人が戦っていた怪物達は、本当に怪物だった。

腕や脚と思われるものを切り落としても痛がる

素振りを見せず、ただ奇声を上げて襲い掛かって来た。

腕を振るって打ち付けてくる攻撃は、地面を凹ませる

ほどの威力を有し、中にはどこかで見た事のある、

体格に似合わない剣を使う奴もいた。

その見た目のせいで心臓や弱点と思われる場所が

見当たらず、優人は一体一体細切れにするしか

対策が出来ていなかった。




(休憩はできるけど、MP使い過ぎるのも何だしなぁ。

そろそろ解除するか)




ブリザードウォールを使用している間はMPが徐々に

減っていく。

MP枯渇を避けたいために優人は軽く休憩を取ると

すぐにそれを解除した。




「さてと、続きといこうか。

怪物達も待つだけじゃつまらないだろうし」


「この数相手に逃げずに戦ってるあなたも

中々の怪物よ?」


「誉め言葉として受け取っておくよ」




無名をしっかり握りしめ、そう答える。

と、そんな時だった。


優人の耳に後ろの方から何かが走ってくる音が

聞こえてきた。

その音の正体を確かめるべく後ろを振り返ると、

馬に乗って走ってくるセシリアとその部下の

姿が目に入ってきた。




「優人!無事だったようで何よりだ」


「セシリアさん、どうしてここに?」


「謎の集団が港町を襲いそうだと聞いてな。

それより――――――」




セシリアはグラシアの方を向き、顔をしかめる。




「まさかグラシアが今回の首謀者だとはな」


「あら、セシリア騎士隊長じゃない。

お久しぶりね、元気にしてた?」


「ああ、王城で会って以来だな。

部下と一緒に王国を追い出されたと聞いたが、

お前こそ元気そうで何よりだ」


「……………………」




グラシアが苦虫を噛み潰したように顔を歪める。

しかし優人の関心はそこではなく、セシリアの

発言に向けられていた。




「セシリアさん、グラシアさんが王城を追い出された

ってのは…………」


「優人は知らなかったのか?

グラシアの部下の1人が、王国の重臣の1人だった

のだよ。お前の働きで国外追放されたがな」




ああなるほど、と優人は頭の中で今回の件が

全て繋がっていく。


ガランのあの発言、グラシアの引越し、

王国第二騎士隊の失踪、謎の怪物とそれらが持つ

見覚えのある剣…………。



「グラシアさん」



優人はグラシアを睨み、言葉を続ける。






「あんたはどこまで堕ちたら気が済むんだよ!!」


「うるさい、うるさいっ!!

全部あなたが悪いのよ!!

あなたのせいで、私の生活が台無しよ!!

絶対、絶対に許さない!殺してやる!」




――――――ヴァァァァァ!!!!



グラシアの心の叫びに呼応するように、

怪物達も唸り声を上げる。



「優人、ところでなんだがいつもの

女の子達はどうしたんだ?」


「セシリアさん、空気読めないんですか………」


「わざとに決まってるだろう。

で、どうしたんだ?」




未だにブツブツ嘆いているグラシアを横目に、

セシリアが問いかけてくる。




「4人には町の人の避難をさせてますよ」


「…………そうか。

なあ優人、お前はそれで――――――」




セシリアが言いかけた所で、怪物達が

優人達めかげて走って来た。




「ちっ、話は後だ!!

全隊員に告ぐ、小隊を組み撃退に務めよ!!

マールは数人引き連れて優人の補佐に回れ!!」


「ちょ、セシリアさん、俺に補佐なんて」


「そんな甘っちょろい事を言ってる場合じゃないだろ?

それに、優人にはアレを倒すのに専念してもらいたい」




そう言ってセシリアは一回り小柄な怪物

―――ルティの顔を持った怪物を指差す。


他の怪物達と比べても明らかに異様な雰囲気を

放つそれは、移動速度も群を抜いていた。



ルティの顔を揺らしながら近付いてくるそれを見て、

優人は無名を握る。

そして、優しく語りかける。




「………ごめんな、クソみたいな大人の事情に

巻きこんでしまって」



「ヴァァァァァ!!!」



走って来たままのスピードで突進してくるそれを、

優人はあっさりと躱してしまう。



そして――――――




「もう、眠ってろ」




――――――ヒュ。



情か無情か、優人はその怪物をルティの顔ごと

細切れにしてしまう。






グラシア曰く最強の怪物を一瞬にして

細切れにした優人。

セシリアの騎士隊も加わり、戦況は一変して……?

次回投稿12/23(金)13:00予定です



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