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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈2章 海上都市セイルペイス編〉
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13話


トリノをメイドに迎えてから数日がたったある日、

タワーの宿泊延長と買い物のため優人はトリノと

外に出歩いていた。




「―――よし、とりあえずこんなもんでいいかな?」


「主人様、荷物は僕が持ちますよ!」


「あーいい、収納使えるから」



優人は手に持っていた荷物を収納に入れる。



「収納使えるんですね!僕も習得しようとしてるんですけど、中々上手くいかなくて……」


「ま、頑張ってりゃそのうち修得できるだろ」


「そうですよね!僕、頑張ります!」



ふんす、と鼻を鳴らしガッツポーズをとるトリノ。

どうやら応援されたのが嬉しかったようだ。



「さて、買うもの買ったし、やる事やったし帰るか」


「はい!」



タワーに向かって歩き出そうとしたその時。



「あれ?英雄様じゃないですか?」


「ん?」



振り向くとそこには1人の猫人男性が立っていた。




「やっぱりそうだ!

英雄様も、遊びに来たって感じですか?」


「いや、ちょっとした用事だ」


「そうですか!」




何を納得したのか、猫人はやたらに首を振る。

と、横でトリノが不思議そうな表情を浮かべていた。




「主人様?英雄様とはどういう事なんですか?」


「英雄様、そこの少年は知り合いですかい?」


「ああ、新しくメイドに雇ったんだ」


「なるほど!……少年は王国出身じゃないのか?」


「はい、僕はナルズの外れの出身です」


「ならこの人の話を知らないはずだな。

いいか少年、この人は――――――」




猫人は嬉々として、優人が英雄と呼ばれる様になった

経緯をトリノに話し始める。

特に盛られる事もなくありのままを話されるので、

当の本人の優人は恥ずかしさで顔を少し赤らめてしまう。







一通り話し終えたようで、トリノがこちらを見てくる。



「主人様ってそんな凄いお方だったんですね!

そんな人に仕えてる自分まで誇らしいです!」


「お、おおそうか」



(本当によく食いついてくるなぁ…………。

こいつ、ナナと気が合うんじゃないか?)




「で、英雄様はこの後どうするんですか?」


「ああ、他の皆が待ってるし一度家に帰るつもりだけど」


「ああ!あの可愛い娘達3人組ですか!

本当に羨ましい限りですよ!

両手に花どころか溢れちゃってますもんね!」


「本当に、俺には勿体無いくらいだよなぁ」


「そんな事ないですよ!

英雄様にぴったりですから!」


「そうか、それは嬉しいな」


「主人様ー?顔にやけてますよー?」



優人の緩みきった顔にトリノがすかさずツッコミを入れる。どれだけチート級に強くなったとはいえ、ナナ達のように可愛い娘とお似合いだと言われて喜ばない事は無い、元は普通の男子なのだ。



「っと、さすがにこれ以上皆を待たせる理由にはいかないな。じゃあ俺らは帰るから」


「英雄様お気を付けて!」


「ありがとう。…………あ、一つだけ聞いていいか?」


「何ですか?」


「最近、この都市内で王国の騎士隊員を見かけたか?」


「いえ、見てませんよ?

もしかしたら一度セイルペイスを出たのかも知れませんから、門の所にいる職員に聞いてみたらどうですか?」


「ああ、そうするよ。ありがとう」


「いえいえ、これぐらいどうってことないですよ!

じゃあ今度こそ、お気を付けて!」


「おう、じゃあな」




猫人と別れ、優人はトリノと共に帰り道を歩き

始めるのだった。

















―――――――――――――――――――――――




優人達が猫人と出会っている頃、

都市の南東部に建てられていた小さな屋敷では

人間の女性の声が響き渡っていた。




「ちょっと!?まだ見つからないの!?」


「す、すいません…………。

都市の4分の3程は探したのですが…………」


「さっさと残りも探しなさいよ!!」


―――バンッ!!


「ひ、ひいっ!!………急いで探させます!!」




女性がテーブルを叩く音によって、

男性が勢いよく部屋を飛び出ていく。

それと入れ替わり、初老のメイド服女性が入ってくる。




「お嬢様、お食事の準備が整いました」


「ばあや、メニューは?」


「はい、お嬢様の大好きなアドゴルン魚の煮付けと

マーレ貝のスープ、飲み物にグルーパジュースと

なっております」


「そう。じゃあすぐ向かうから先に行っててちょうだい」


「承知いたしました」



そう告げ、部屋を後にする。


女性は軽くため息を付き、机に広げられた書類に

目を落とす。




「御影優人…………絶対に許さないんだから」



復讐に燃えた言葉を口にし、女性は1つの書類

―――『御影優人のプロフィールについて』と書かれた

紙束をぎゅっと握りしめた。








後半で出てきた女性はもしや?

察しのいい読者の皆様ならお気づきですね(笑)

次回投稿12/10(土)13:00予定です




※誤字、感想等ありましたら

何でもお申しつけ下さいm(_ _)m

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