27話
ここでも余り進みませんが、
お付き合い下さいm(_ _)m
※お詫びと補足※
優人が二日酔いになった時に教会で使われたのは
回復魔法です。
馬車でイリスの車酔いに対して使ったのは生活魔法です。
二日酔いの時の方が症状が重いため、このようにして魔法の使い分けがされた、ということです。
言葉足らずで申し訳ありませんでしたm(_ _)m
「ユート様、ソフィアというのは?」
店を出て冒険者ギルドに向かう途中で、リアが優人にそんな疑問を口にしていた。
「ああ、俺の契約している精霊、と言えば分かるか?」
「え、ユート様は精霊契約をなさってるのですか?
本当に何者なんですか………」
どうやら精霊契約の事を知っていたらしく、リアは驚きを隠せていないようだ。
「ま、それはここでは言いにくいからな。
………っと、ここが冒険者ギルドか。でかいな」
リアの質問に答えていると、冒険者ギルドにたどり着いた。因みにだが、ソフィアは起きる様子がなかったのでナナの持っているカバンの中に押し込んでおいた。顔だけ出しておいたので、姿が見える優人からするとかなり奇妙な光景であった。
ギルドに入ると、中はラルの街と同じ作りらしく、ある程度勝手が分かるので優人にとっては有難かった。
「あら、見ない顔ですね? 加入申請の方々ですか?」
と、受付の方から声が飛んでくる。
「あーいや、冒険者だ。ラルの街から来た」
「あ、そうでしたか。何かありましたら声掛けてくださいね〜」
ギルドの受付嬢はそれだけ言い残して仕事に戻っていく。
「何か、イルミさんとは随分違うね〜」
「そう、だね」
ナナとイリスはどうやらイルミと受付嬢を比べたらしい。ここの受付嬢は人間であるらしく、どちらかと言うと元気な方に重点を置いている様子である。清楚な感じを出す森精族のイルミとは真逆の位置、といった雰囲気だろうか。
「あーそうだ、リアには別のギルドに入ってもらうつもりだから」
「そうですか、かしこまりました」
やはりまだ堅いな、と優人は思うが口にはしない。
「ユート!! クエスト選んでくるねー?」
「ナナ、付いて行く」
「おう、行ってこい。
……リア、あの二人について行ってやってくれ。この剣を渡しておくから、何かあったらその場で対処しておいてくれ」
「かしこまりました」
優人はリアに腰の剣を渡し、二人の元に向かわせる。そして、先程から痛々しいほどに視線を向けてくる人の元に歩いていく。
「――――――で、何の用ですか、セシリアさん」
「おお優人、いつ気づいてくれるのかハラハラだったぞ」
「知りませんよ、そんなこと。……で、何の用ですか?」
「いや、この前の男の処分について話をしておこうと思ってな。聞きたいだろ?」
セシリアは、以前の飲食店での一件で捕らえた男の処分の内容を、わざわざ言いに来てくれたらしい。
「ええ、ぜひ聞きたいですね」
「優人にとっては残念かもしれないが、死刑とはいかなかった。
しかし、過去の罪の内容や数から、無人島に島流しをする事が決定した。
選んだ無人島も、大陸が見えない距離のところを選んでおいたから、実質的には死刑と相違ないだろう」
「そうですか、わざわざありがとうございます」
「気にするな。乗りかかった船は最後まで乗り合わさせてもらわないと気が済まない性分でね」
「ええ、何となく分かりますよ」
「そうか」
その後は他愛も無い会話を続けるが、優人はやはりセシリア相手に何かしらの違和感を感じてしまっていた。
「ユート!! クエスト選んできたよー!!」
「師匠、行こう」
と、クエスト紙を持って三人が戻ってくる。
「さて、そろそろ私は仕事に戻るとするかな」
「セシリアさん、ありがとうございました」
「何気にするな。後、たまにでいいからうちの騎士団に遊びに来てくれ。優人と話すのは楽しいから、いい気休めになる」
「そうですか、ではまた」
「ああ、じゃあな」
そう言って、セシリアは入口の方に歩いていく。
「ユート、セシリアさんと知り合いなの?」
「ああ、色々あってな。というかこの前会っただろ?」
「ん? いつ?」
どうやら、飲食店であった騎士をセシリアだと気付かなかったようだ。いや、あの状況ならそれどころでは無いだろう、彼女が憶えていなくても何ら不思議ではない。
「とりあえず、クエスト受けに行くか」
「うん!! 早く行こー!!」
と、ナナの張り切り声に目が覚めたのか、ソフィアがカバンから出てくる。
「ん〜っはぁ。あ~、おはよ~」
「おはよ~、じゃねーよ。どんだけ寝れば気が済む」
「まあまあ。てか…………あぁ、そういうことね」
「ん? どうした、ソフィア」
「いや、何にも〜? ………ユート、今晩ちょっと大事な話するから」
「あ、ああ」
いきなり肩に乗っては誰にも聞こえない程の小さな声でそう囁くので、優人は少し驚いてしまう。
「ユート? 早く行くよー!!」
「ああ、すぐ向かう。
……ソフィア、クエストに行くぞ」
「おっ、やっと行くんだね~!! 待ちくたびれたよ~」
優人はソフィアを肩に乗せたまま、今にもギルドを飛び出しそうなナナの元に駆け寄るのだった。
―――――――――――――――――――――――
王国からすこし北に向かうと大平原が現れる。そこにいるのはグリーンファングの様な、ラルの街のそばにある草原にいたモンスターの亜種や、お馴染みのライノホグがいた。
新しいモンスターとしては、
・ロードペッカ……ダチョウのような見た目で、足が少し太く攻撃的なモンスター。
・マッドボル……泥のような体を持ったモンスター。体液を弾丸にして飛ばしてくる。
この他にも、様々なモンスターが存在していた。
「えいっ…………ユート、終わったよー?」
「ん、お疲れ様。イリス、リア、ソフィアはどうだ?」
「師匠、終わった」
「ユート様、こちらも終わりました」
と、ソフィア以外は皆終わったらしい。今回はライノホグ、グリーンファング、ロードペッカをそれぞれ十頭ずつ、計三十頭討伐するのが目的だったので、各自分担して狩りを進めていた。ナナは前のセインの時に貸していた短剣を使い、イリスは魔法、リアはさっき貸した剣で戦っていた。
ソフィアは、というと―――
「ちょっと、何でアタシの所だけこんなにモンスター沸くのよ!?
こんな奴らにモテたって嬉しくないから〜!!」
と、モンスターの群れに追いかけられながら一匹ずつ魔法のようなもので倒していた。
「なあ、ナナとリアの武器を変えてみてくれないか?
もしかしたらそっちの方が上手くいくかもしれない」
「うん、わかった!!」
「私はよろしいのですが、ユート様は何で戦うおつもりなんですか?」
「リアさん、ユートは心配するだけ無駄だよー?」
「ナナ、少しぐらい心配してくれてもいいんじゃないか?」
「よく言うよ、オーガの集団瞬殺してる人が」
「くっ、ナナに嫌味を言われるとは……」
「ユート様はそんなにお強いのですか?」
「ん、師匠は、怪物」
「ちょっとイリスさん? それ、悪意ありませんかね?」
「……………、ふっ」
「あるね、あるよな!? 割と凹むぞ!?」
「大丈夫、師匠、可愛い」
「それで誤魔化せると思ってるよな!?
無理だからな? 俺はナナじゃないからな?」
「ちょっ、さり気なくナナをバカにするなー!!」
「本当に、ユート様は何者なんですか……」
と、いつもの様に三人でワイワイやり、そこにリアのため息が加わったところでソフィアが戻ってくる。
「ソフィアお疲れ、楽しかったか?」
「はーっ、はーっ、はーっ………………………」
「ん? ソフィアどうした?」
「ユートも戦いなさいよっ!!!!」
どうやら一人だけ戦っていなかったのが不満らしく、息切れを起こしながらソフィアが訴えてくる。
「なら、俺も戦おうかな」
「ユート、やりすぎちゃダメだからね?」
「師匠、頑張れ」
「おう、お前らそこで休憩しとけ」
そう言って、優人は右手に『無名』を出現させる。
「っ、ユート様、今のは?」
「おー、合成魔法かー。久々に見たねー」
一人と一匹(?)の意見を背に受け、目の前に迫ってくるロードペッカに向かって刀を振るう。
「よし、…………『無』」
直後、走って来ていたロードペッカは動きを止め、細切れになってしまった。
「…………え? 嘘、でしょ?」
「へぇー、さすがユートだね〜」
リアが信じられない物を見たような顔になり、それと対称にソフィアは素直に感心する。ナナは見慣れているからか特に反応を示さず、イリスはスーパースターを見ているような目をしていた。
「ソフィア、これでいいか?」
「うんうん。いや〜、いいものを見せてもらったよ〜」
「そりゃどーも」
その後も優人達は狩りを続け、日が落ちる頃に引き上げていくのだった。
次話では久々のお風呂Part・2ですよ〜
百合百合お楽しみくださいm(_ _)m
次回投稿11/7(月)13:00予定です




