エピローグ
これで本編が終わると思うと、やはり少し寂しいものがありますね……笑
それはさておき、心行くまでお楽しみ下さいm(_ _)m
「───こうして魔王を討伐した英雄は、共に戦った仲間たちと王国に帰り、多くの民から”英雄”として称えられるようになったのでした」
ふっ、と短く息を吐いて手元の本を閉じると、隣で嬉々として話を聞いていた自分と同じ金髪の少女に視線を送る。
「どうだった?」
「うん!!すっごくおもしろかった!!」
「そっか。それは良かった」
「これ、お母さんが作ったんだよね?
凄いなぁ~!!」
「そうだけど、色んな人に助けてもらいながら作ったから一年ぐらいかかったけどね」
「そうなんだ!!
ねえねえ、これに出てくる英雄さんってお父さん?」
「どうしてそう思うの?」
「だってそんな感じがするもん!!
見た目とか喋り方とか優しい所とか、全部お父さんだよっ!!」
「そうでしょ!?」と一人キャッキャはしゃぐ少女の頭を軽く撫でてあげる。
「ただいまー。帰ったぞー」
「あっお父さんだ!!」
撫でられウットリしていた所に聞こえてきた男の声。
少女はその声のした庭の方向に駆け出していく。
「お父さんお帰りなさいっ!!」
「おう、ただいま」
自分の腰辺りに抱き着いて来る少女を片手で抱き留めると、先程の女性と同じ様に頭を撫でていた。
「おかえり。どうだった?」
「ああただいま。いやー、まだまだだな」
「ははっ、そっか」
抱き着く少女と共に、木の根元に腰掛けていた女性の所に歩いていくといつも通りのやり取りが行われる。
「そりゃあ、あのセシリアさんが手加減してくれる訳無いじゃん」
「だな。何でか知らないけど今日に限ってメチャクチャ張り切ってたからな?あの人」
「多分、あの日から今日で丁度十年だからだよ」
「……そっか、もうそんなに経ったのか」
彼女・ナナの隣に腰を下ろした優人は自分の太腿の上に娘を乗せ、水色の空に視線を送る。
「でもあの時は本当に凄かったよね〜。
まさか死人ゼロで帰って来る事が出来るだなんて、思っても見なかったよ」
「ま、それだけ皆必死になって戦ったって事だよ。
でも、あの後イリスが王国の最高魔術師として表彰された事が一番驚いた」
「イリスちゃんはすっごく嫌がってたけどね〜。
『私は、いい、から師匠に、あげて』みたいな事言って断ってたっけ?」
「モノマネ上手いなっ!?
いや、でも実際アレを宥めるのは本当に骨が折れたよ……」
「お父さんお父さん!!
アイリスちゃんはいつ帰って来るの?」
「あー、昼には帰って来るって言ってたし、もうすぐ帰って来るんじゃないか?」
「うん、さっきリアさんが迎えに行ってたから多分その内帰って来るよ」
「そっか。なら先に家に戻ってようか?」
「あっ、ちょっと待って!!」
そう言って自分の娘を抱きかかえて立ち上がろうとする優人を止めたナナは、彼の肩に自分の頭を乗せた。
「もう少しここにいようよ。今日は特別な日なんだから」
「……ああ、そうだな」
「あーっ、あたしもお父さんともっとくっつく~!!」
胸元に抱き着いて来る娘を片手でしっかりホールドし、もう片方の手でナナを抱き寄せた優人はふと、自分のステータスを確認した。
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名前:ミカゲ ユウト
種族:人間
性別:男
年齢:29歳
職業:冒険者、神の弟
職種:英雄
LV:15
HP:560/560
MP:280/280
腕力:350
脚力:350
頑丈:350
知力:350
運:250
特性:言語理解、真理眼、魔導王、錬金術、主の器、英雄、神に愛されし者
スキル:収納LvMAX、生活魔法LvMAX、索敵LvMAX、
気配LvMAX、回復魔法LvMAX、火魔法LvMAX、
水魔法LvMAX、氷魔法LvMAX、土魔法LvMAX、
風魔法LvMAX、雷魔法LvMAX、光魔法LvMAX、
闇魔法LvMAX、合成魔法LvMAX、料理Lv5、
剣術Lv4、棒術Lv3、教育Lv4、精神抵抗Lv5、
物理抵抗Lv5、状態異常抵抗Lv5、体術Lv5、
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名称:英雄
効果:己に打ち勝った者に与えられる特性。
成長の限界が無くなる。
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名称:神に愛されし者
効果:
覚えていてくれて、愛していてくれてありがとう。
幸せになってね。
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(姉さん元気にしてるか?
俺さ、今ホントに幸せだよ。
ずっと人は裏切る、絶望しか与えないと思っていたけどそうじゃなかった。
……本当に、この世界に連れて来てくれてありがとう)
「ん?ステータスなんか見てユートどうかしたの?」
「ああ。ちょっと姉さんに報告をな」
「……そっか」
「ああ」
その時優人の目には、何も無い空に姉・亜里須の顔が映ったように見えた。
遠い所で自分を見守っていてくれている、そう思うだけで不思議と力が漲るような気もした。
「……あっ、お父さんリアさん達が帰って来たよ!!」
「みたいだな。……さ、昼ご飯にしよう」
「うんっ」
娘を抱き、妻と手を繋いで立ち上がった男の目に映るは自分を師匠と慕う女性、いつも身の回りの世話をしてくれる心優しいメイド長、対照的に礼儀正しく愛をもって叱ってくれるメイド、そして大事な時には手を貸してくれる個性豊かな大精霊達。
「……本当に、幸せ者だよ」
「ん?何か言った?」
「いや、何でもない」
「ユート様聞いてください。ソフィアが───」
いつもの様に誰かが話し、誰かがいじられ、笑い、それがまた笑いに繋がる。
昔の彼には、この様な明るい未来が待っている事など想像できただろうか?
曰く「不出来だ」「劣等だ」と罵られ、蔑まれ、苦しみ、人に絶望し、あまつさえ自殺までした彼だが。
それでも尚こうして明るく振る舞えるのは、最早”神のいたずら”だとしか言いようが無いだろう。
これから先、何が起こるかなど誰にも分からない。もしかすると、また同じように人間の暗い部分に触れ、人に絶望しそうになるかもしれない。
けど、彼ならもう大丈夫だろう。何故なら周囲には彼を温かく包んでくれる、そんな者達で溢れているのだから。
ひねくれる必要はもうない。
……いや、恐らくそんな暇すらないだろう。
今日の天気は雲一つない快晴である。
そう、まるでこの日を誰かが祝福しているかのように────
彼がこの先も幸せに暮らしていくのか、はたまた更なる不運が襲うのか、それは読者様の想像力の見せ所ですね(*^^*)
何はともあれ、これにて「ひねくれ者の異世界攻略」の本編は完結させてもらいます。
長い間優人達を見守ってくださった読者の皆様、作者から厚くお礼させて頂きます。本当に今までありがとうございましたm(_ _)m
もしよろしければ、最後まで読んで良かったと思う点や罵倒をして頂ければ、作者としましても涙モノです(色んな意味で)
※本編が完結なだけで、番外編は何話か書くつもりでいます。それは完全に趣味で書くものなので興味のある方はお読み下さい。また、不定期更新です(笑)
☆☆☆ここでお知らせ☆☆☆
新作小説を近いうちに投稿し始めようかなと思っています!
こちらはシリアス抜きのハーレム系異世界モノとなっており、既にプロローグ回の投稿はさせて貰っています。
詳しくは後に掲げる活動報告を読んで頂ければと思いますのでどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m




