表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈1章 ルークラート王国編〉
PR
16/180

15話






 話は優人達が街についた時に遡る。




「ちょ、ユート速すぎだってー!」




 優人の少し後ろを走ってついて来ていたナナが、息を切らしながら訴えてくる。優人はイリスの誘拐の事を聞くと、ナナを連れて街まで全力疾走していた。




「まだそんなに走ってないだろ」


「ナナは女の子なんだよ!?

何かもうちょっと労わる事出来ないかな!?」




 はいはい、と何だかんだ元気そうなナナを彼は軽くあしらう。そんなやり取りをしていても、街の人々が口々に噂をしているのが聞こえてくる。




「ねぇ、聞いた?女の子の誘拐の件」


「聞いたよ、何でも街の中で誘拐されたから、冒険者ギルドで緊急クエストに指定されたらしいわね」


「誘拐なんて、かなり久々じゃない?

この街も、いよいよ物騒になってきたわね」


「大丈夫よ、この街だって優秀な冒険者はいるんだし、何よりセイン様がいるじゃない!」


「ええ、そうね!

セイン様なら何でもすぐ解決してくれるわね」




――――――セイン。



この名前が発せられた時、優人は少し顔を歪ませた。




「ユート? どうかしたの?」




表情が急変した事に気付き、ナナが聞いてくる。




「ナナ、聞いてくれ。あくまでこれは俺の予想なんだがな」




 そう言って、優人はナナにセインが犯人の可能性がある事を話し始めた。




「まず、俺達が初めてセインと会って、過去の記憶がフラッシュバックした時のセインの反応だ。お前が言うには、その時の俺は恐ろしかったんだろ?

ならセインの反応は変なんだ。あいつは俺の事を恐怖するのではなく、何か忌み嫌うような対応をしてきた。

 そして次に、イリスが森で会った三人組、あれがセイン達だと思う。爽やかな声とかまさにセインだろ?

それに、セインのパーティは男三人だったはずだし、あの時にイリスに目を付けていたなら、誘拐してもおかしくは無い。

 最後に、あの森の奥地は別称で『魔の森』と呼ばれるほど、魔物が強く危険な場所だ。セインがその事を知らないはずがない、あいつは確かBランクなんだからな。

だとすれば、あいつはなぜそこに行ったと思う?

あそこには封印の祠という、凶悪な魔族が封印されている祠しかない。


つまりだ、セインは―――――――――」




 目を大きく見開くナナに、一度呼吸を整えはっきり言う。




「セインは―――――――――魔族だ」








――――――――――――――――――――――――






「へぇ、よく僕が犯人だってわかったね」



「まあ、色々ヒントはあったからな。というより、お前って結構アホなんだな。普通、誘拐した奴を自分の家に連れ去るかよ。そんなの一瞬で特定されるだろ」


「いいだろ、別に。

ここじゃないとお楽しみが出来ないんだよ」




 そう、セインはイリスを誘拐し、自分の家に連れ去っていた。セインは小貴族並に金銭を持っていたため、軽い屋敷のような家に住んでいた。




「で、僕の仲間がここの家の中を警備してたはずなんだけど、どうしたの?」


「ああ、庭でお昼寝でもしてるよ」




 そう、優人達はセインのいる部屋に辿り着くまでに、襲いかかってきた者を全て倒し庭に投げ捨てていたのだ。




「そうかそうか、あいつらじゃ役に立たなかったのか。なら、僕が相手をするしかないね」


「そんな言い方の割には、随分と嬉しそうじゃないか」


「そりゃあ、君になら全力を出せそうだからね」


「そうかよ………ナナ、イリスを解放してやってくれ。俺はこいつの相手をする。

解放したらすぐにこの家から出ろ」




 そう言って、優人は隣にいるナナに収納から取り出した短剣と毛布を渡す。




「わかった! 無茶、しないでね?」


「ああ、任せろ」




 軽いやりとりの後、ナナがイリスに向けて飛び出していく。それを止めると思っていたが、セインは意外にも動こうとはしなかった。




「意外だな、止めないのか?」




 するとセインは爽やかに笑い、


「止める必要ないさ。どうせ君達はここから出られないからね」


と、自信たっぷりに告げる。




「余裕だな………じゃあ、始めるか」


「そうだね、始めよう」




 優人は腰の剣に手をあてる。すると、セインが怪しい黒い霧に覆われ始めた。




「………ふう、やはり元の姿の方が戦いやすい」




 黒い霧が消え去るとそこには、黒い翼を生やした人ならざる者が立っていた。



(やっぱり魔族か、少し確認しよう)



 そう思い、優人はセインに真理眼の効果を用いる。







――――――――――――――――――――――――



名前:ユベル


種族:魔族


性別:男


年齢:372歳


職業:冒険者


職種:剣士、武闘家


LV:80


HP:2540/2540


MP:2860/2860


腕力:1744


脚力:1366


頑丈:1366


知力:1744


運:560


特性:言語理解、隷属


スキル:剣術Lv5、体術Lv5、隷属魔法Lv5、

闇魔法Lv5



――――――――――――――――――――――――






(セインって名前じゃねーのかよ!?

しかし、余裕な素振りの通り、ステは中々高いな、俺よりはかなり低いけど。

変な特性とかスキル持ってるけど、まあ大丈夫だろ)



 セイン改めてユベルのステを確認した優人は、あることを思いつき口元を緩める。




「おいユベル、俺の特訓にちょっと付き合ってもらうぞ」


「……何で僕の本名を知っているのかな?

だがまあ、面白そうだ、付き合ってあげるよ」




 そう言い、戦闘態勢をとるユベル。優人は剣にあてていた手をユベルにかざし、ポツリと呟いた。




合成魔法(ユニゾン)、『メテオ』」


「――――――は、はぁ!?」




 ユベルが驚愕の表情を浮かべる。その目先には―――半径50センチ程の隕石が迫ってきていた。




「何だよその魔法!?聞いたことないぞ!?」


「そりゃ、作ったからな」


「意味っ、わからないぞ!!」




 そう、優人は昼まで練習していた合成魔法を発動させたのだ。

 Lv1魔法のボール系を8属性全て組み合わせて作った魔法『メテオ』。家の外で練習していた時には、ほんの少しのMPで作った小石程度の大きさなのに、地面にクレーターが出来るほどの威力を有していたのだった。

 そんな魔法を、ユベルに対しては練習の5倍以上のMPを用いて発動した。だが、ユベルに対して使うには少し威力が足りなかったようで、持っていた漆黒の鎌で切り裂かれてしまう。




「は、見掛け倒しなのかな?

大層な魔法を使う割にはこの程度かい?」




 ユベルが調子に乗って挑発してくるので、さらに魔法を使う。




合成魔法(ユニゾン)、『グングニル』」




 Lv3のランス系を全属性組み合わせた魔法を、ユベルに向って放つ。自身の何倍もの大きさの光り輝く槍先が何個も、ユベルに向かって飛んでいく。




「は、ちょ待っ――――――」




 どうやらユベルもここまでの事態は予測していなかったようで、全力で回避し続ける。




「―――っ!!ぐあぁぁぁ!?」




 最後の一つだけがユベルの左腕に直撃し、根本から吹き飛ばす。だがしかし、



(おいおい、マジかよ………)



ユベルは左腕を一瞬にして再生させた。




「はぁ、はぁ………」




 しかし、再生させるのにかなりの体力を消費するのか、さっきよりも息が上がっている。




「よくも、やってくれたね……」




 そう呟くと、左手にもう1本漆黒の鎌を出現させる。




「こうなったら僕の全力の技を使う事にするよ」




 ユベルは、両手の鎌にありったけのMPをつぎ込み始める。




「ユート! イリスちゃんを無事に救出できたよ!」





 と、このタイミングでナナと毛布に包まれたイリスが声をかけてくる。




「くっ、今からだとこの家を出るには時間がかかりすぎるっ!!

ナナ!! イリスを連れて俺の後ろにいろ!!」


「え、うん、わかった!」




 ナナとイリスが自分の後ろについたことを確認し、優人は魔法を発動させる。




合成魔法(ユニゾン)、『妖刀・無名(ななし)』」




 魔法名を呟いた優人の右手には、見た目はただの日本刀が現れていた。




「ナナ、イリス。今から使う技はかなり危険だし、周囲への被害が大きい。絶対に俺のそばから離れないでくれ」




 そう二人に告げ、優人は刀を握る力を強くする。




「随分と余裕だね!!

くらえ、『デスサイクロン』!!」




 ユベルが二つの鎌を交差させ、振り下ろす。そこから衝撃波のように黒い竜巻が優人目掛けて飛んでくる。




「『()』」




 優人がそう言い、迫り来る竜巻に刀を振り下ろす。直後――――――竜巻が消え去った。




「―――!!? な、何をした!!?」


「『(なし)』」




 それだけ言い、優人は刀を一振りする。しかしその直後、特に何も起きはしなかった。ただただ、静寂が部屋全体を包み込んでしまう。




「ははっ、何だ見せかけ――――――ぁ」




 その事に嘲笑を含んだ口を開いたユベルだったが、次の瞬間には細切れにされていた。ユベルだけでない。その部屋にあったものは全て、細切れにされていく。

 そして、最後に家全体が細切れにされていた。




「―――えっ、ちょ、ユートやばいって!!

どうするのよ!?」


「そう騒ぐなって。脱出するぞ」




 崩れ落ちる天井を避けながら、三人はひたすら家の外を目指して駆け出した。



(ユートさん、すごい、本当に何者?)



 優人達が現れてから終始言葉を発せずにいたイリスは、あまりに圧倒的すぎる優人の力を目撃し、言葉を失ったままナナに引っ張られて家を脱出するのであった。





合成魔法連発してましたね〜(笑)

次話では事後処理回です!

次回投稿11/1(火)13:00予定です



※コメント、評価、誤字の報告などありましたら

言っていただけると嬉しいですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ