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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
150/180

66話







ナナをベッドの上まで抱き寄せしばらくいちゃついていると、優人は気付かなくていい事に気が付いてしまう。



(…………ん?部屋の扉がほんの少しだけ開いている?)




「どうかしたの?ユート」


「あ、ああいや何でもない」




キョトンとした顔で胸元から顔を見せるナナに曖昧な返事をした優人だがどうしても気になり、『索敵』を発動させる。




(……………ああ、そういう事)




それによってある事が分かってしまったため、はぁ、と嫌な顔をしながら部屋に響き渡る声で一言。




「………リア、命令だ。目の前の扉を思いっ切り開けろ」




するとバンッ!!と言う音と共に部屋の扉が勢い良く開かれる。

その扉の先に居たのは────




「やっぱりか。

イリス、リア、ニレにブラス、それにレイにルルまで…………

精霊達も何やってるんだよ…………」


「あ、アハハ……………」





ナナ以外の女性陣に精霊達の姿があった。

そのギュウギュウに寄った立ち方からコッソリと部屋を覗いていた事は明らかである。




「はぁ……………

ナナ、ベッドから降りようか」


「そ、そうだね」




優人とナナはそそくさとベッドから降り、未だに硬直気味の皆の元まで駆け寄る。




「………で、言い訳は?」


「ない」


「い、イリス!?」


「わ、私達はありますっ!!」




真顔で言い切るイリスに驚くリアの間に割り込む様にして、リアとルルが必死に優人に話し始める。




「え、えっと…………コホン。

この度は旧レインハート及び現アドゴンの窮地を救って頂き誠に有難うございます。

つきましてはお礼の準備が整いましたので、王室までご足労願えますか?」


「ああ、もちろんだ。

………と言ってもこの人数で向かうのもアレだろうし、俺とリア、ブラス、後ダメ精霊一体を連れていく事にする」


「かしこまりました」「ああ分かった」


「待ってアタシの事ダメ精霊って言わないで~!?」


「ではこちらへどうぞ」


「………………むぅ」




レイとルルについて行こうとする優人とリア、ソフィアだったが背後から如何にも不満そうな声が聞こえて来る。その感じから最初はイリスだと思っていた優人だったが振り返ると─────ナナだった。




「ど、どうしたナナ?」


「…………ユートさぁ、そこは『じゃあ俺とナナで行くしかないな』っていう所じゃないの!?

もうナナ達夫婦なんだよ!?何で当たり前のようにリアさんとかブラスさん連れていくの!?」


「いや、だってリアはメイドだしこうするもんだろ?

ブラスは元とは言え王宮に仕えていた訳だし。

それに、あれ見られた後で一緒に王室まで行くのもどうかと思うだろ」


「そ、それはそうだけど……………」


「ナナ、落ち着く。

帰ったら、好きなだけイチャイチャ、すればいい」




そ、そっか!と1人納得するナナだったが、その背後にはそう呼ぶには余りにも恐ろしい笑顔の少女が1人。




「ナナさん?その前に少し私とお話ししましょうか?」


「に、ニレちゃん?何でそんな怖い顔してるの……?」


「どうしてでしょうね?

…………………ああ、もちろん後でユートさんもですからね?」


「………弁明の機会は?」


「勿論ありません、全部バッチリ見てましたからね?」


「は、はい………」


「と、取り敢えず王室に行きましょうか………」




ガックリ肩を落とす優人とナナを見て、レイとルルは苦笑いするしかなかった。

そして客用寝室から出ると同時に聞こえてきたナナの「ご、ごめんなさいっ!!?」がより一層、優人達の表情を暗くするのだった。






















───────────────────────








王室は優人達の予想を超える程広くは無かった。

壁の一面は書棚で埋まっており、テーブルを挟んで応接用にソファが設けられている。扉から一番奥の所には大きな机が大小様々な書類で埋め尽くされている。


部屋には既に1人の男性が机の書類の整理をしていた。優人達の見覚えのある顔だった。




「ベザライト、ユート様達がお見えです。作業を止めて準備を」


「承知致しました、レイ様」




ベザライトとレイの短いやり取りの後、優人達は扉から一番近い所にあるソファへ腰掛けた。

その対面にはレイとルルが座り、ベザライトは未だに机の方で何やら作業をしている。




「では先程の話の続きを」


「ああ、お礼の話だったっけ。

………要らない、って言うのは余り良くないんだよな」


「そうですね、一応これを受け取って頂く事で王族の地位や威厳が守られるというものですから。

でも安心してください、だからと言ってそんな危ぶむような高額の品を用意していませんから」


「なら良かった」


「…………ベザライト、例の物をユート様に」


「承知致しました」




高級そうな赤い布が敷かれた黒いトレイの様な器を両手で丁重に扱うベザライトは、それを慎重に優人達の前のテーブルに置く。赤い布の上にあったのは宝石の中にそれぞれ別の文字が書かれている2つの指輪の様なものだったが、そのどこかで目にした事のあるような形に優人はすぐに真理眼を発動させる。






────────────────────



名称:Aのリング


レア度:???


説明:所有者の物理攻撃の威力を1.5倍にする。




────────────────────



────────────────────




名称:Iのリング


レア度:???


説明:所有者のMPを1.5倍にする。




────────────────────




(久しぶりにこれ手に入ったな……………

そう言えばあの神様が集めろって言ってたっけ、こうして二個集まったし結果オーライってやつだな)




「本来ならもう少し良い物を渡すべきだったのでしょうが、今は国家立て直しの為中々手に入らず……………

誠に申し訳ありません」


「いや、これで十分だ。有難く頂戴するよ」




そう言って優人は2つのリングを手に取り、収納に入れる。




「これでお話は以上です。

後一時間程すれば昼食の用意が出来ますが、いかがされますか?」


「…………いや、そこまで甘えるのは申し訳ないだろう。

すぐにここを出るよ」


「そうですか、畏まりました。

ではユート様の地竜を玄関まで連れて行っておくように配下の者に伝えておきますね」


「ああ、宜しく頼む。…………それと」




ゆっくりと立ち上がると優人は視線をブラスに移す。

何事かと不思議そうにする彼女だったが、次の一言で驚愕の表情に変わってしまう。




「ブラス、命令だ。レイとルルに従え」


「なっ……………」


「ゆ、ユート様?それはどういう…………」


「今忙しい時期なんだろ?

だったら少しでも人手が欲しいだろ、しかもブラスは元々ここに仕えていたんだ、これ程即戦力になる奴は居ないだろ」


「で、でもそれではユート様が…………」




優人が言ったのは勿論建前であり、本音を言えば『これ以上ブラスを縛っておく必要は無いから元に戻そう』、である。だがその事にレイとルルは気付けないようだ。




「ま、そういう事だからブラス、頑張れよ?」


「……………本当に良いのか?」


「いや、だから命令だって言ってるだろ。良いも悪いも無い、ちゃんと従え」


「……………有難う、ユート」





そう言ってブラスが優人に向けた笑顔は、優人が見た中でも一番心から笑っていると言い切れる程の満面の笑みだった。






やはりニレはイチャイチャを許してくれないようです。笑

新たに2つのリングを手に入れ、ブラスも元の場所に帰れた所で次回、色々あります!



次回投稿は8/17(木)13:00予定です。



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしております(*^^*)

他作品も読んで頂けたら幸いですm(_ _)m


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