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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
134/180

50話

※訂正とお詫び


読者様からのお言葉によって、1章中盤辺りの文章を少し改編しています。


内容自体に変化はありませんが、作者自身語彙が豊富ではないため、表現等に疑問を抱かれる事が多々あるかと思います。


ですのでそういった時は遠慮なく言って頂ければ有難いと思っています。


作者の成長を促すと思って、これからも誤字脱字のご指摘の程よろしくお願い致しますm(_ _)m











階段を降りるときはさすがに足音に気をつけて、壁に沿って降りていた。




「(そろそろ下に着くぞ、気を引き締めろよ)」


「(………敵、2人?)」




周囲に漂う精霊に聞いたらしく、イリスは声を殺して優人に確認を取ってくる。

索敵を使って衛兵の正確な位置までも把握した優人は、イリスに頷き全員に近寄るように手招きした。




「(この先すぐに衛兵が2人いる。

予定通りイリスの魔法で意識を奪い、レイの奪取を最優先に行動する、皆頼んだぞ)」


「(わかった)」「(うん!)」「(おう)」



優人の声に合わせ、3人がそれぞれ返答する。

ソフィア達大精霊組もコクコク頷いていた。




「(じゃあ始めよう、イリスはそこの角から衛兵の位置を確認して、自分のタイミングで魔法を使ってくれ)」


「(分かった…………………………うん、確認した。



─────『水鷲』)」




イリスの頭上に出来ていた2つの水球は大鷲に姿を変え、壁の角のその先へと吸い込まれるようにして飛び去って行った。



























────────────────────────











地下牢獄では、当番の2人がいつもの様に談笑していた。




「───それであれらしいぜ?

その女があまりに煩いから咄嗟にコップの水をぶちまけたんだと!」


「それはイカれた話だなっ!

せっかくの女なんだ、おだてて家に連れ込むのが定石ってもんだろ?」


「全くだ。

…………俺も女欲しいなぁ」


「女ならそこ(・・)に居るじゃねぇか」




男が指差す先に居たのは、鉄格子の向こうで四肢を鎖で拘束されたまま力なく項垂れている、ほんの数時間前まで人々を束ねる地位に降り立っていた少女。




「しかしルル様も薄情なものだよな。

実の姉をここまで酷く扱えるもんか?」


「いや、俺としてはここまでしないと王家の信頼は取り戻せないと思うぞ?

実際に、国民は不信感を見せてるけど王家側の人間はルル様を評価し始めているらしいからな」


「よくそんなこと知ってるな。

………ま、レイ様はあの人みたいに輪姦されなかったみたいだな」


「さすがに少女相手は強烈な性癖が無い限り無理だろうよ。

それに───」




男はそう言ってレイの体を一瞥する。




「あんな体、食べる所なんざもとより皆無だろ?」


「お前、その内天罰下るぞ………?」




まるで全く興味など無いかのように鼻で笑う男に、もう一人の男はため息で返事する。

そんな自分の悪口を目の前で言われているのにもかかわらず、全く反応を見せないレイの顔はずっと俯いていた。



傍から見ていても心を締め付けられるような光景に、その”異常”は飛び込んで来た。




「お、おい何だ───────ブッ!!?」


「ジェイク!?

─────や、やめっ!?」ドンッ!!




突然飛んで来た水の塊らしき何かに男2人は吹き飛ばされ、レイの収監されている鉄格子に全身を強打してしまう。

勿論、その痛烈な一撃で意識は飛んでしまっていた。



目の前で突然装備の整った男が吹き飛んだ事実に、さすがのレイも驚かざるを得なかった。




「な…………………何が?」


「おいイリス、威力高過ぎだろ」


「っ!?」




自分の視界の先、曲がり角から現れたその人物にレイは見開いていた目をさらに見開いてしまう。

そこに居たのは、自分の元に来るなどと絶対に予想の出来ない人物。

そして、自分の中で最も得体の知れない”人間”。




「……………ユート、様」



「ごめん、手加減、難しい」


「いや~、いつ見てもイリスちゃんの魔法はすごいね!!」


「当り前よ。何て言ったってあたしの契約主ですもの」




その青年の背後からぞろぞろと姿を現すのは、森精族の少女に狐人の少女、猫人の男性。

それ以外にも全く何もない空間から声も聞こえたが、それは自分の空耳であろうとしてレイが切り捨てているうちに、その大所帯がズンズンと近付いてくる。




「久し振りだな、レイ。

ちょっと待ってろ、すぐに出してやる」




そう言って青年・御影優人はどこからともなく取り出した黒剣で、いとも容易く鉄格子を切り刻んでしまう。

どこをどう考えても異常すぎるその行為に、レイは開いた口が塞がらなかった。




「さて、とりあえずその鎖を─────」


──────ドンッ!!!!


「きゃあっ!?」「な、何だ!?」




優人がレイの元に寄ろうとしたその時だった。


突然爆発音と共にその場が大きく揺れたのだ。

地震のような長時間の揺れでは無かったため優人達はすぐに態勢を立て直せたが、その揺れの正体が分からない為に少しばかり身が引き締まっていた。




「…………爆発か?」


「おそらく、地上で何かが起きたんだろう。

ユート、急いだ方がいいんじゃないか?」


「ああ、分かってる。

とりあえずその鎖を外すから、皆手伝ってくれ」




剣じゃ危ないからな、と少し残念そうに呟く優人の後ろからナナとイリスが駆け足で2人の衛兵に近付き、ポケットから何かの鍵を取り出す。




「はいユート、これが多分鎖を外すカギだよ!!」


「これも、多分そう」


「………無意識なのか?

お前らも中々やる事えげつないよな…………」




目の前で美少女2人が窃盗まがいの事をしている光景は、流石の優人にも大打撃を与えたようだ。

………いや、優人でなくても衝撃的過ぎるだろう。




「ほら急いで!!」


「分かってるって、そこで待っとけ」




優人は受け取った鍵でレイの鎖を4つ、全て外していく。



─────チャリッ。



「よし、これで全部────っと、このタイミングか」


「?

………あの、有難うございます、ユート様」




まだ多少の違和感は残るようで、交互に手首を擦りながらレイは優人に頭を下げる。




「師匠」


「分かってる」




後ろからイリスの声が飛んでくるが、優人はそれに素っ気無く返事をし、そして何か覚悟を決めたかのような鋭い目つきで、頭を上げたレイに唐突に非情な言葉を投げかける。




「それにしても、お前の妹は本っ当に最低なヤツだな」


「なっ!?」


「ちょ!?ユー────(むぐぐっ)」




ここにしてようやく、優人は今回の件の解決策を繰り出し始めた。

イリスの魔法の使い方も、最早チート級になりつつあるこの現状(笑)

そしてレイの前まで辿り着いた優人が発した言葉は……悪口!?


次回投稿は6/22(木)13:00予定です



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(_ _)m


同時掲載小説もありますので、もし良かったらプロフィールから読んでみてください(*^^*)

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