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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
128/180

44話






帰りの馬車の中で、ナナが1人でに騒ぎ立てていた。




「レイちゃんすっごい大人びていたよね!!

何かこうハキハキしていて、あれで私達よりずっと年下とは思えないなぁ」


「本当にな。

ナナの方が子供に見えるかもな」


「冗談でも酷いっ!?

でも何だか否定出来ない自分が悲しい………」


「それにしても、何だか終始変な感じだったと思わないか、ユート」


「双子の仲が異常に悪いって事か?」


「あー、ナナもそれは思った!!

何であんなにギスギスしてるんだろね?」


「というよりかは、姉の方が一方的に嫌っているようにも見えるけどな」


「本当に複雑だよね~」


「………帰ってブラスに確認する事も増えたからな」


「?」















────────────────────────







「……………ってな事があったんだよ」


「食事会、ですか」




 宿に戻ると全員がゆったりとくつろいでいた。

精霊達は昼寝をしているみたいで、端で固まって眠っている。

イリスとリア、ニレとブラスはテーブルを囲んでお喋りをしていた。




「みんなの分の招待状もあるんだけど、行くか?」


「師匠が、行くなら」


「私もユート様について行きます」


「私も、そうですね」


「ナナもユートに合わせるよ!!」


「……………お前ら、もっと自分の意志とか持てよ………」




ため息が出そうになるのをぐっと堪え、優人はブラスの方に向き直る。





「ブラスはどうだ?

さすがに行きにくいとは思うんだけど………」


「私は今はユートの奴隷の身。

来いと言うなら嫌でもついて行くさ」


「いや、だから無理して付いてくる必要は無いんだって。

嫌なら嫌って言ってくれよ………」




しかし、と中々強情な態度を見せるブラス。

強情な女ほど話の進まない事は無い。

こうなってしまった以上もう言葉に耳を貸さないので、優人は無理矢理話をマールに振る。




「マールはどうする?」


「この食事会にもしかしたら第一騎士隊も呼ばれているかもしれないからな、参加しておくよ」


「ああそうか、就任式の警備のお礼を兼ねてる可能性もあるか」


「そういう事だ」


「………結局これ全員行くって事なんだよなぁ、はぁ」




ついにため息が出てしまった。


と、ここで例の事についてブラスに聞いておく事にする。





「なぁブラス、少し聞きたい事があるんだけど」


「何だ?何でも聞いてくれていいぞ?」


「ルル国王の名前が違う事なんだけど………」




そう言いかけた所で、ブラスの表情が大きく変わる。




「ゆ、ユートっ!!

その事をどこで!?」


「俺は他人のステータスを見る事が出来るんだよ」


「な、そんなこと可能なのか………?

ううむ、しかしそうでないとその事を知れないからな。


………分かった、その事について話そう」




すぅ、と息を吸い込み居住まいを正すブラス。

彼女の目はどこか懐かしさを帯びていた。




「ルル様は、元々捨て子だったんだよ。

私と同じ孤児院で育って、その後に王家に引き取られたんだ。

だから名前はレイ様と違うんだ」




さらに詳しく聞くと、ブラスはその頃からルル様と仲が良かった様で、王家に引き取られた際も2人一緒だったらしく、彼女はその後、王家専属兵長になったらしい。




「しかし、この前の就任式で国民に別の名前を教えていたよな?」


「あれは、その…………

話せば長くなるけど、簡潔にまとめるとレイ様のためだな」


「どういう事だ?」


「レイ様はまだ知らないんだ、ルル様が本当の妹でない事を。

生まれて物心がつくぐらいから、ルル様が双子の妹だって刷り込まれていてな。

それを今更告げる訳にもいかないだろ?」




確かに、と優人はその状況を脳内で再生する。

───まぁ、まずパニック状態だな。




「なるほど、状況は分かった。

この事は内密にしていた方がよさそうだな」


「ああ、そうしておいてもらうと大変助かる。

…………この後はどうするのだ?」


「夜の食事会までは自由行動って事にしよう」
















───────────────────────







優人達が馬車で帰って行った後、レイは大きくため息をついた。




「やっぱ堅苦しいのはつかれるなぁ~

………って言うかさ」




緩み切った表情から一転、睨みを聞かせた表情でルルに詰め寄る。




「せっかくユート様とお会い出来たというのに、あんたはどうしてご機嫌すら取れないのよっ!!」


「ご、ごめんなさい…………」


「まあまあ、落ち着いてくださいませレイ様」




本気で激怒しかけていたレイ様を、ベザライトが宥める。




「何よ、ベザライトはいっつもルルの味方よね!!

もしかしてあれ?ルルに言い寄られ────」


「レイ様!!!」


「────っ!?」




ルルの事になると言葉を選ばず罵倒を重ねようとするレイに流石に看過出来なかったのだろうか、ベザライトが声を荒げる。




「流石に言っていい事と悪い事があります!

国王としてもう少し節度ある発言をして頂かなければ困りますぞ!」


「わ、分かってるわよっ!!

今更そんな説教じみた事聞きたくないから!!


───もういいっ!トイレ行ってくるから2人は先に行っててっ!!」




2人の返事も待たずにレイがさっさと歩いて行ってしまう。


少しの静寂の後、先に口を開いたのはルル。




「あの、有難うございます。

先程は庇って頂いて」


「いえいえ、レイ様が悪い事ですから」


「……………そうですね、お姉ちゃんが悪いですよね」


「ええ。

…………そういえばルル様、本日の食事会で例の件を実行に移すらしいです」


「今日実行するの?」




ベザライトの耳打ちに、ルルは驚いた様に顔を上げる。




「ええ、ですからお覚悟はしておいてくださいね?」


「………そんなのは昔から出来ているよ」





ルルの瞳が、僅かに揺れた気がした。




来て速攻帰れは中々ですね(汗)

ベザライトとかいう奴とルルのやり取りにはどんな意味が…………?


次回投稿は6/10(土)13:00予定です



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(_ _)m


同時掲載小説もありますので、良ければプロフィールから読んでみてください(*^^*)

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