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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
124/180

40話






部屋全体を照らす水晶のシャンデリア、玄関扉の両脇に揃えられた2体の銅像、いくらするのか見当もつかないワインレッドの絨毯には様々な色で複雑な模様が描かれている。

さらには窓にかかるカーテンにまでクリスタルが散りばめられており、部屋全体を一層明るく際立たせている。



豪華絢爛と言う言葉がふさわしい程、煌びやかな装飾品に飾られた部屋。


そんな部屋の中央に置かれた巨大な白いソファには、2人の少女

────レイ・ファルガンとルル・ファルガンが座っていた。





「やっと終わったぁ~!!!」


「ちょ、ちょっとお姉ちゃんっ!?

そんな事したらパンツ見えちゃうよっ!?」




大胆にもレイはドレススカートを膝丈まで上げ、全力でソファへ飛び込む。

そのせいでふわりとスカートが捲れ上がり、あわや大惨事となる手前でルルの手が阻止した。


そのたった数行の会話からでも、就任式の時が彼女たちなりの”演技”だったことが窺い知れる。

彼女たちは国王と言えどまだまだ少女なのだ。




「何言ってんのよルル。

この部屋にはレイとルルしかいないじゃない、何を気にする必要があるの?」


「普段から気を付けてないと、いざという時に───」


「あーもういい、もういいって!!

ルルはすぐお説教するんだから!

言っとくけど私の方がお姉ちゃんなんだからね?」


「わ、分かってるよ…………」




─────コンコン。




シュンとしたルルを慰めるかのように、大扉がノックされた。





「はーい、どちら様ですか~?」


「レイ様、ルル様、お食事の準備が整いましたので大広間へお越しくださいませ。

───それとルル様」


「は、はいっ」


「明日の晩の宴会でお召しになるドレスの最終調整がございますので、食事前に一度フィッティングルームにお顔を出して頂けますでしょうか?」


「───っ!!

あ、はい分かりましたすぐ向かいますっ」


「お話は以上です、何かございましたら近くのメイドにお申し付けくださいませ」




そう告げると、大扉の前から人の気配が消えた。

静かな部屋で最初に声を出したのはレイだ、しかもとびっきりのニヤリ顔をしたままでだ。




「あらルル残念ね、まだ調整終わってなかったの?」


「う、うん中々ぴったり合わなくて………」


「なっさけな~い!!

レイなんて何でも一発OKだから、最終調整なんて受けた事無いわぁ~。

ま、せいぜいだらしない姿にならない様に努力する事ねっ」


「う、うんじゃあ行ってくるね…………」




──────バタンッ。


ルルは部屋の中なのに駆け足で部屋を出て行った。




「……………ふぅ」




1人残された部屋の真ん中で、レイは深いため息をつく。

その表情にはルルを馬鹿にしていた時の様な嗜虐的な笑みは無く、どこか暗く重い感じが窺えた。





「…………ごめんね、ルル。

でももう少しの辛抱だから…………」























────────────────────────








ルルが向かった先はフィッティングルーム───ではなく、その部屋の廊下の最奥にある会議室だった。




────コンコンッ。


「………ルルです」


「入りなさい」




そう短い返事と共に、片方の扉が少しだけ開けられる。

ルルはそれを右手でゆっくり、音が鳴らない様に開けて中に入る。


中では部屋の半分近くを占めているテーブルを十数人の老人や中年男性が囲んでいた。

その周囲には複数の男性メイドが立っており、異様な空気が流れていた。



ルルは自分が開けた扉の隣に立っていた1人の初老男性メイドと目が合う。

すると扉の鍵を閉めた後、一番近くの空いている椅子を引き、ルルが座れるようにエスコートする。




「ルル様、ここにお掛けになって下さい」


「ありがとうございます、セバスさん」


「では全員揃った事ですし、26回目の会議を開きたいと思います」




男性陣の中でも取り分け若い中年男性の一言で、既に重かった空気がより一層張り詰めた。




「まず、魔族メイド代表としてセバス様の方からお詫びと今後の方針についてご報告があるようです。

………セバス様、どうぞ」




中年男性に名を呼ばれ、セバスが一歩前、ルルの隣に出る。




「まず、就任式の件に関してですが、どうやら何者かによって事前に仕掛けた罠が破壊されていたようです」




「なっ………」「そんな………」「有り得ない……」など、セバスの言葉によって大人達がざわつく。

何の話か全く付いていけてないルルはセバスの顔を見上げた。




「ルル様の作戦を邪魔した者が現れたのです」


「そんな不届き者が………

セバスさん、その者が誰なのか分かっているのですか?」


「ええ、特定は出来ていますがただ………」


「ただ?」


「少し相手が大物な為、迂闊に手を出せないのです………」





セバスの渋りに、先程まで騒いでいた者達が一斉に大人しくなり、注意深く耳を傾け始めた。

その様子をしっかりと目で捉えていたセバスは、満を持してその大物の名前を口にする。




「彼の名前はここにいる皆が一度は聞いた事があるでしょう。






…………彼の名前は、『御影優人』。

かのルークラート王国で『英雄』とまで称された青年です」













少し垣間見えたレイの本心とは一体……?


そして勝手に悪人にされていく優人(笑)

このあとの展開はどうなるのか?


次回投稿は6月2日(金)13:00予定です。



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(_ _)m


他作品の同時掲載もしていますので、良ければプロフィールから読んでみて下さいm(_ _)m

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