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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
121/180

37話

誰でも読めるような一話完結短編小説も書いてみました、気になる人はプロフィールから読んでみて下さい。

「こんな世界はいかがですか?」






しばらく経って、ブラスが泣き止んだ頃にマールが帰って来た。

時間は正午を少し過ぎた頃だった。

ナナ達女性陣はブラスの服を買いに行きたいとのことで、精霊達3人も連れて出て行った。

ただ、ブラスには話に加わってもらうため残って貰っている。





「ユート、上手く行ったみたいだな」


「ああ、かなり順調にいったから俺も驚いてるよ。

で、そっちはどうだった?」


「第一騎士隊の隊長さんも了解してくれたよ。

当日の配置をもう一度見直した上で、さらに王国の家臣の素性を一から洗って貰った。

するとユートの予想通り魔族が数人紛れ込んでいた」


「やっぱりか、だとしたら───」


「あの、ちょっといいか?」




何の自己紹介もなく淡々と話が進んでいく中で、1人全く話に入れていないブラスが声を上げる。




「何だ、えっと、ブラスさん?

年上だし、その方がいいか?」


「いや、ブラスでいい。

それよりも魔族って何だ?お前たちは一体何の話をしているんだ?」


「ああそうだな、まずそこから話をしないとだな」




優人はブラスに今まで発見した事を推測も踏まえて話し始めた。

想像以上に深刻な話だったためか、ブラスはとても驚いた表情を見せた。




「そんな、本当に魔族が………」


「ん?どういうことだ?」


「いや、な、私が捕らえられた理由が『秘密裏に魔族との接触をしていた』という情報からなのだ。

もちろん、私はそんな事はしていない。

だから魔族なんて言葉自体適当に用意した嘘なのだろうと思っていた。


………だとしたら、魔族という単語が出てきたのは、王族が実際に関係を持っていたからか」


「ああ、となれば明日の就任式、絶対に何か起こるだろ。

まあ魔法陣は破壊している訳だし、そこまで構える必要も無いかもしれないけど」


「だとしてもだ。

奴ら魔族の狙いは何なのだ?」


「分からない、でもその情報ならすぐに手に入る」


「ど、どうやって?」


「……………まさかユート」


「そうだよ、昨夜アクエリアスに依頼しておいたんだよ。

『王宮内に行って情報を集めて来てくれ』って」


「精霊をそんな風に使うのは多分ユートだけだぞ………

どこまで先を見通してるんだ?」


「そんなんじゃねぇよ、ただ真っ当に相手出来るような案件じゃないだろ?

だったらやれる事は何でもするべきだ、それにな」


「「それに?」」




はぁ、とため息をつく優人に2人が話の続きを促す。




「俺は面倒事は嫌いなんだよ、動きたくない働きたくない。

だから出来るだけ最短ルートで全部片付けるんだよ」


「はぁ、ユートらしいな」


「……………英雄がそんな事を言うと思ってなかった」


「ブラスさん、大丈夫ですよ。

こんな事言ってますけどユートはしっかり働きますから」


「そ、そうなのか。


……………そう言う自分はどうなのだ?

さっきの話の流れ的に、ルークラート王国の騎士隊に所属しているみたいだが………」


「ブラス、そいつ王国第三騎士隊隊長補佐とかいう大層な肩書持ってるぞ?」


「えっ!?

あのセシリアさんの右腕なのか!?」


「何だブラス、セシリアの事を知ってるのか」


「そりゃあ、あの人ほど有名な方はそういないだろう。

人間族の身にありながらあのルークラート王国の隊長まで上り詰めたんだからな」


「やっぱ有名人なんだな、あの人。

………ってそう言えばお前自己紹介してなかったな」


「そういえば。

えっと、王国第三騎士隊隊長補佐のマール・カラクラムです」


「私の名前は知ってると思うがブラス・オレガルノだ。

一応レインハートの衛兵隊長を務めていた。

第一騎士隊とは面識がある、よろしくな」




優人の前で、2人が握手を交わす。

その時のブラスの表情は、つい先程まで光を失っていたとは全く思えないぐらいに生き生きとしていた。




「よし、自己紹介も終わったところで本題だ。

ブラス、お前が指名手配されるまでの経緯を聞かせて欲しい」


「分かった、では指名手配された日の朝から話そう────」





少し蒸し暑くなってきた部屋の中で、ブラス数日前に起きた出来事を語りだした。




















────────────────────────














コツ、コツ、コツ、と薄暗い中で足音が反響する。

それが止んだかと思うと、その空間一帯を空中に浮いた炎の玉が照らし出す────洞窟だ。






「よぉメロウ、久しぶりだな」


「ええ、お久しぶりです、ベリアル様、それにパイモンも」


「メロウ様、今日はセバスはどちらに?」


「お仕事よ。明日にはレインハートで就任式が行われるから」


「なるほど。

他の下級魔族達はどうです?役に立ってますか?」


「ええ、上手くやってくれてるらしいわ。

でもあの青年にかかればすぐに魔族と見抜かれるでしょうけど」


「そうですね、ユベルの時もそうでした。

何か対策を──────」


「おいおい、そんなお堅い話ばっかりやめようぜ?

せっかく久しぶりに顔を合わせたんだ、もっと楽しい話をしようぜ?」


「ベリアル様がそう仰るのであれば、私は構いませんよ。

……………しかし、こんな所に拠点を構えてらっしゃるとは思ってもみませんでしたわ」


「いや、パイモンに無理やり連れて来られた。

ここ、スイレン山だっけ?の鉱石類がどうしても欲しいんだとよ」


「ええ、ここの鉱石はとても純度が高いので研究も捗りますから」


「相変わらず真面目ね、パイモンは」


「だろ?俺の息が詰まるってもんだ。

───そういえば、3ヶ月近く前かな、この洞窟に人が入って来たんだ」


「へぇ、こんな辺鄙な所に来るなんて珍しい人達ね」


「本当だよなぁ。どうやらここに来る前の分かれ道でもう一方の道に進んだみたいだけどな」


「ふふ、それがあの青年だったら面白い話よね」


「だろ?

もしそうだったら惜しい話だよなぁ、御影優人に会えたって言うのに」


「見に行けばいいんじゃないですの?

明日は絶対就任式に来るでしょうし」


「そうか、そうしよう───」


「駄目です、ベリアル様。

あなたは仕事を溜めすぎです、当分の間は外出を控えて貰いますからね」


「マジかよ…………」


「ベリアル様、私も微力ながらお手伝いさせてもらいますから、頑張りましょう?」


「あぁメロウ、お前はほんとにいい奴だなぁ!!

パイモンもメロウを見習えよ?」


「そんな事言うなら私の仕事もさせますよ?」


「わ、分かったよ頑張ればいいんだろっ!?

だからそんなマジな顔で見ないでくれよっ!!」




はぁ、と深いため息が洞窟内に大きく響くのだった。





お気づきでしょうか?そう、あの洞窟ですよ!

何の事か忘れた方は3章前編を読み返して頂ければきっとお分かりになるはずです(笑)


そして新・いじられキャラのベリアルも良いですね〜笑



次回投稿は5/27(土)13:00予定です。



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(_ _)m

同時掲載「死神が死神をやめるまで」も読んで頂ければ幸いです。



※TwitterでWeb小説用垢を作りました、プロフィールに載せてあるので良ければフォローお願いしますm(_ _)m

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