33話
今週から2日に1回ペースに戻します。
5月の残りは気合いと共に乗り切りましょう!!
※私事ですが、本作品を『ツタヤリンダ大賞』に応募する事に決めました。
これを機により良く小説を書き始めていきたいと思いますので応援の程よろしくお願いしますm(_ _)m
長くなりましたが、本編をどうぞ(^^)
祭壇の周りを散策する事数十分、優人達は明らかに怪しい魔法陣を見つけ出していた。
「ねぇユート、これどうするの?
魔法陣なんて、人が扱えるようなモノじゃないし………」
「そうなのか?ソフィア」
「そうだね~、ユートは別としてこの世界に今いる人間にはまずムリだと思うよ。
魔法陣って大量のエネルギーが必要でさ、アタシ達みたいな精霊なら簡単に作れるんだけどね。
────ああ、魔族も作れるかなぁ」
「魔族……………」
最近何かとよく聞くその言葉に、優人は少しながら不安を感じる。
────もし魔族が本当に暗躍しているのなら、自分なんかの手に負える案件ではない。
『で、キミはどうしたいんだい?
キミが言うならボク達ですぐに壊しちゃうけど?』
「…………そうだな、頼む」
「りょ~かいっと」
魔法陣の上に移動したソフィアとズィナミは、青く輝く魔法陣の中心目掛けて自らの魔力を放つ。
すると「バリィィィィィィン」というガラスが割れたような音と共にその魔法陣は砕け消え去った。
「ふぅっ、と。
ま、アタシにかかればこんなのラクショーってね」
『ちょっとソフィア?
ボクの働きを無かった事にしないで欲しいなぁ~』
「そんな事でいちいち言い争うなって。
…………他には魔法陣とか無さそうか?」
『そうだね、そんな感じは無いし大丈夫だと思うけど?』
「それはよかった。じゃあもう戻るか」
「わかった!!
じゃあイリスちゃん達に行ってくるね!!」
「あっ……………もう行っちゃったよ。
別にみんなでそっちに行けばいい話なのに…………」
優人の返事も聞かずにナナはその場を去る。
相変わらずそそっかしい奴だな、と思う優人だがその表情は優しかった。
優人達が来た道を戻っていると、前からとても大きなリュックを背負った人が歩いてくるのが見えた。
「ユート様、もしかしたら」
「あーいや、ただの通行人だろう。
見たところ山登りって感じだし、もし話しかけてきたら適度に返答するぐらいで良いだろ」
「かしこまりました」
リアの警戒も分からなくもない。
この時期に祭壇の方に近付いて行く者など、普通に考えれば怪しい者だろう。
しかしそんなものが近付けば精霊達がまず反応を見せるだろう。
それが無い以上、安全だと判断した優人はリアを宥めた。
そして、気が付けばその者との距離が縮まっていた。
(…………森精族、か)
近付くにつれて、相手の容姿が的確に把握出来るようになっていた。
肌の白さ、顔の整い方、そして尖った耳の形。
間違いなく森精のそれだった。
相手の森精が優人を見た途端に、ものすごく驚いたような表情を見せた。
「ねぇそこの君達」
「何だ?」
「君達はとても精霊に愛されているね。
君達の周りを力の強い精霊が3体もいる。
こんな事は滅多に無い、本当に羨ましい限りだよ」
「ああ、ありがとう」
「そこの子も、かなり精霊に愛されているんだね。
同じ種族として誇らしいよ。
───っと急に話しかけて悪かったね、じゃあね」
「…………ああ」
森精の男性は気分が良くなったのか、軽い足取りで祭壇の方へと歩いて行く。
優人達もすぐに自分達の帰り道を歩み始めた。
しばらくワイワイ騒ぎながら帰っていたのだが、優人一人だけが少し沈黙していた。
「………………………」
「ん?どうしたのユート?」
「ああいや、ちょっとな。
祭壇に忘れ物して来たからどうしようと思って」
「だったら、皆で、戻る?」
「ああいや、俺一人でいいよ。
先に宿に向かっててくれ、すぐに追いつくから」
何か言いたげなナナ達を置いて、優人は祭壇に向かって走っていった。
ナナ達の視界から消えるぐらいの距離までをほんの十数秒で駆け抜けた優人の目には目標がしっかりと捉えられている。
もちろん、忘れ物なんていうのは噓だ。
「なぁアンタ」
「のわっ!?
ってさっきの青年君かぁ、ビックリさせないでくれよぉ」
「悪い悪い。
ちょっと聞きたい事あったんだけど聞きそびれちゃったからさ、追いかけてきたんだよ」
「聞きたい事?この僕にかい?
答えれる事なら何でも答えよう!」
「じゃあ聞かせてもらうけど、そんな大量の荷物もって山登りでもするのか?」
「ああーそのこと。よく勘違いされるんだけど違うんだ。
僕はこの世界の歴史について研究している者でね、土地の地質や水質、植物とかから様々なデータをかき集めて、その土地で何があったかを推察するんだよ。
そのための道具を持ち運んでいたらこんな感じになっちゃってね~」
何がおかしいのか、男性は頭を掻きながら愉快に笑う。
しかし優人にとってこの質問は正直どうでもよかった、大事なのは次の質問だから。
「って事は各地に出向いてるわけだよな?
奥さんや子供とかはどうしてるんだ?」
「あー、妻は子供の面倒を見てくれているよ。
『私の事は気にしなくていいから、好きな事をして下さい』って言ってくれてさ、自分で言うのもなんだけどすごく出来た妻だと思っているよ。
………あれから15年程会ってないけど、元気にしてるかなぁ」
優人の予感は的中していた。
15年と言えば、イリスの年齢ともほぼ一致するし、何より会話しながら相手のステを確認して、名前が『イルギス・ミィス』だと判明した。
(この人が、イリスの父親………
しかし何故だ?
この人の話からするとイリスは母親と暮らしているはず。
だとしたら母親はどこに行った?)
「ところで、どうしてこんな質問をするんだい?」
「あーいや、ただの興味本位だ、別に深い意味は無いよ。
質問はそんなところだ。
何度も悪いな、立ち止まらせてしまって」
「いや、別に気にする事は無いさ。
僕も久し振りに家族に会いたくなった、その気にさせてくれたんだから十分な対価は貰ったよ。
じゃあね、青年君」
男性───イルギス・ミィスと別れた後、優人はこれからについて考えを巡らせていた。
明日の『美の祭典』の事、魔法陣を組み上げた者の正体、そしてイリスの父親の事。
(俺、毎回どれだけの事に巻き込まれるんだよ………)
自らのステからは想像もできない様な不運・悪運に優人は頭を抱えながら、宿へ向かうのだった。
ここでついにイリスの父が登場!
読者様も思った事でしょう、「ダメ親父!!」って。
ですがどうか温かな目で見ていて下さい(笑)
次回投稿は5/20(土)13:00予定です。
※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(__)m
同時掲載「死神が死神をやめるまで」も読んで頂ければ幸いです。
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