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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
116/180

32話






「………ん、ここは」






ゆっくりと目を開けた優人の瞳に映ったのは、見慣れない天井。





「お、ユート起きたか………」


「マール?何でそんな残念そうな顔してるんだ?」





右手に座るマールが何か言いたげな顔をしていたのだが、優人にはそれが上手く伝わらなかったようだ。





「なぁユート、さっきの事覚えてるか?」


「さっきの事?


……えっと、この旅館に来て今後の計画を立ててそれから………

あれ?それから何したんだっけ」


「やっぱり、記憶ないんだな………」




はぁ、とため息をつくマール。

何のことかさっぱり分かっていない優人はとりあえず体を起こし、壁に掛けてある時計に目をやる。


—————9時23分。





「ま、マジか………もう夜なのか。

そういえば、ナナ達はどうしたんだ?」




首を振って部屋を見渡すといつもうるさくしているはずの女子達がいなかった。


尋ねるとマールは部屋の玄関に目を向けて答える。




「ああ、あの子達なら精霊達と温泉に向かったよ」


「———って事は、ソフィアとズィナミはちゃんと来たんだな。

………何だか悪いな、迷惑かけたみたいで」


「いやいや、迷惑だなんて。

あの人のお陰でこういうのは慣れっこなんで」




苦笑いを浮かべるマールに、優人は何となく申し訳ない気持ちになる。


何か労うべきかと思っていたが、そんな気の利いた事が出来る人間でもないため、とりあえず気分転換にでもと温泉に誘う。




「そうしよう、俺も汗を流したかったんで」




こうして優人は異世界に来て初の『連れと風呂』を体験することになった。



















——————————————————————————————










何だかんだで翌日の朝。


昨夜やたらと機嫌の悪かったニレも、朝になると元に戻っていた。

元々の原因となっている優人自身はあまり気付いていなかったみたいだが。







優人達とマールは別行動をすることになった。

理由としては、マールが一度レインハートにいる第一騎士隊と連絡を取って昨日の件の情報を集めて回るからである。



優人達は村である程度の聞き込みを済ました後、ガージス村周辺の散策に出ることになった。

そして今、近くの山の斜面を登っている最中である。




「でもすっごく意外だよね~」




ん~、と伸びをしながらナナが言葉を発する。




「レインハートの王様がまさか自分より年下の女の子2人だなんて、ナナ本当に驚いたよ~」


「確かにな。

レイ・ファルガンにルル・ファルガンだっけ?

で確か、毎年就任式ってのが行われてて、それが5月の最初の日、つまり明後日なんだよな」


「ユート様、その『美の祭典』は明日ですし、今日はあまり深く散策せずにゆっくりしていた方がよろしかったのでは?」


「んーまあな、本当はそうしたかったんだけど—————っておわっ!?」


「ちょっ、ユート様!?」




一歩後ろを歩くリアの方を見ながら会話していると、優人は少し大きめの岩に足を引っ掛けて躓く。




「や~ユートったらダサいなぁ~」


『全くだね、こんなのが契約主とはボクも情けなく感じるよー』


「………お前らそこに並べ」




優人は自分が躓いた岩を持ち上げ、ソフィアとズィナミ目掛けて全力投球する。


しかし相手は大精霊。

そんな簡単に当たるはずもなく簡単に躱されてしまい、彼らの先にあった大木に岩が激突し根元からへし折ってしまった。




「やーいはっずれ~。

ユートって投げるの下手くそ———って剣取り出さないで!?

ちょ、目がマジだから冗談だって、ね?

分かった謝るから調子乗ってゴメ「くたばれ」」




全力で逃げ惑う精霊を鬼の形相で追いかける青年。

傍から見ればあまりにも異様な光景だが、幸か不幸かここにはその光景を見慣れている者ばかりである。





「ユートさん、早くしないと置いて行きますよ?

もう目の前が目的地なんですから」


「分かってる、もう終わったよ」


「うぅ………アタシもうお嫁にいけない………」


「…………まだ要らない事言う気力があったのか」


「いやもうホントマジですいませんでした」


「師匠、ソフィアで遊びすぎ」


「ああ悪いって。

————ここがその『祭壇』ってやつか」





優人達が辿り着いたのはガージス村から徒歩1時間程の所にある、少し古びた舞台の様な場所である。



村人によればそれは『祭壇』と呼ばれる場所であり、年に数回しか使われないらしい。

そしてその年に数回のうちの1回が就任式だ。





「ユートさん、来たのは良いですけどこれからどうするつもりですか?」


「ちょっとした下調べってやつだ。

あのセシリアさんが何の考えも無しに俺達をこの土地に送り込むはずがないだろ?

それに加えて明後日は就任式、どう考えても何か起こるに決まってる。

だから不安要素は早めに排除しておくんだよ」


「いくらあの方だからと言っても、他国の内政事にまで首を突っ込むようなことは無いと思いますが………」


「いやー、セシルならありえるね。

あの子はお節介な所とかあるし~」


「って訳だ、みんなで手分けして変なものは無いか探すぞ」







本当に都合のいい優人ですね、見事に忘れてたw

そして祭壇を調べる事になった優人達は何を発見するのか?


次回投稿は5/18(木)13:00予定です



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(__)m

同時掲載「死神が死神をやめるまで」も読んで頂ければ幸いです。




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