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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
109/180

25話





(あのタイミングで思い出すのか………

本当に最悪だよな、イルミさんには申し訳ない)




家に向かって歩いていた優人は先程の事を思い出し、次会ったら気まずいだろうなぁとかそもそも合わせる顔がないとか、マイナスな事ばかり考えてしまい1人で落ち込んでいた。


そんな時、すれ違った猫人の親子の会話がふと耳に入ってきた。





───だから森には近づくなよ?お父さんとの約束だ。


───うんわかったよ、くもは怖いもん。





(蜘蛛?

森に何かあるのか、冒険者ギルドで聞いてみるか)




森が家の近くにある優人は身に迫るかもしれない危険を防ぐため、真逆の方向へと足を向け直した。
























──────────────────────────






「ただいまー」


「あっユートおかえり!!」




玄関をくぐると、昼食の準備なのか料理の乗った皿を運んでいる途中だった。

時計の短針は1を指し、少し遅く帰って来たかな、と思ってしまう。


すると勘のいいナナがそこにビンゴで触れてきた。




「ユート、何してたの?」


「まあ色々とな。昼飯食べながら話すから」


「うんわかった!!

じゃあ先に座ってて!!」




近くの椅子を引き、ここに座れと催促するナナ。

それに従って座っていると2階からイリスとニレが降りてくる。





「師匠、おかえり」「ユートさんおかえりなさい」

と一連の流れをやり、昼食の準備をしていたナナとリアも席に着いたので優人達は一斉に料理を食べ始める。





「で、ユートはどこ行ってたの?」




焦げ目が食欲をそそる白身魚の身をフォークでつつきながら、ナナが優人に顔を向ける。

こういう目をする時のナナには根掘り葉掘り聞かれるのを分かっていたので、優人は注意を払って話すことにする。




「ナナにとっては嬉しい話かもな」


「え?ナナが?

気になる!!なになに?」




よし食いついたと、優人はにやけそうになるのを堪えて話を進める。




「この近くの森で、最近蜘蛛系モンスターがよく見かけられる様になって、初心者冒険者がけっこう犠牲になってて危険らしい。

そこで冒険者ギルドが緊急クエストとして討伐依頼を出してるんだ。

ナナ、こういうのやりたいだろ?」




即答だろうと思っていたが、驚くことにそうならなかった。

ナナは少し困ったような言いにくそうな表情のまま、口をゆっくりと開く。




「だってさ、ユートってこういうのあんまり好きじゃないよね?

だったら、ナナも別にいいかなーって」


「いや確かに面倒事は嫌いだけど、モンスター討伐を面倒事と言ってナナのやりたい事を切って捨てるような男じゃねーよ」


「ユート………

そこまでナナの事考えてくれてたんだ」




えへへー、と幸せオーラ全開でクネり出すナナ。

それを見て流石に「何か勘違いしてる」とは言えなかったので、優人は他の4人に話を振る。




「って話なんだけど、みんなはどうする?」


「私は、行きたい」




即答で答えたのはイリスだった。

何でも普段の訓練の成果を見て欲しいらしい。




「たまには私も体を動かしたいので、同伴しても宜しいでしょうか?」


「ああもちろん。

ソフィアとかアクエリアスも連れていくつもりだし、思いっきり戦っていいからな」




これでイリスとリアの同行が確定した所で、優人はニレに目をやる。




「ニレ、お前も来て欲しいんだけど」


「わ、私ですか?

私、戦闘経験なんて無いですし、攻撃手段も無いんですけど……」


「分かってるよ。

ニレにはいざという時でも動けるように、戦闘経験を積んでいて欲しいだけだから。

戦わなくていいよ」


「そ、そうですかよかった………」



本当に安心した様で、ニレは手を胸に当てて大きく息を吐き出していた。




完全に元に戻ったナナと2階から降りてきた精霊たちも交えて討伐目標数とその場所、そして準備が出来次第すぐに出発することを伝えると、みんなモンスター討伐が割と楽しみらしく急いで階段を駆け上がっていった。


その姿を見た優人の「それでも女の子かよ………」の声は、見事なまでに足音でかき消されてしまったのだった。

















──────────────────────────






目的地となる森は以前優人がカノンとマールにお節介を焼いたあの森、つまり今回の標的となる蜘蛛型モンスターというのはデスパイアーの事である。


その森に到着した優人達一行は、ナナとリアを先頭、真ん中にイリスとアクエリアス、後ろを優人とニレ、ソフィアとズィナミの様に隊列を組むことにした。




「いいか、俺が索敵で近くにいるモンスターの方に誘導するから、戦闘は3人でやってくれ。

危なくなったら手を貸すから安心しろ、全力で戦うように。

後、アクエリアスや他の妖精も極力手を貸さないようにな、3人の為にならないからな」




スラスラと必要事項を言葉にしていく優人。

その雰囲気だけ言えば実習を取り仕切る教師と生徒の関係に聞こえなくもない。




「やっぱりユートは過保護だよねー!!」


「それだけ、愛されてる」


「ユート様らしくて逆に安心しました」



「………蜘蛛のエサにしてやろうか?

っとこちらに気付いた敵が一体いるな。

前からくるぞ、みんな構えろ」







少女達の蜘蛛狩りが、今始まるのだった。






珍しく討伐依頼を受けた優人。

さあ狩りの始まりだ~!!


次回投稿は5/5(金)13:00予定です



※誤字脱字、感想等何でもお待ちしておりますm(__)m

同時連載中の作品「死神が死神をやめるまで」も読んで頂ければ幸いです


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