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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈3章 アドゴーン山編〉
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20話




一仕事を終え、家に帰った優人は玄関の外で待ち構えていた4人の元に駆け寄る。




「みんな何してるんだ?」


「あ、ユートおかえりー!!」


「師匠、待ってた」


「いや、待つなら家の中でもよかっただろ」


「ユート様は相変わらずですね。

みんなユート様に会いたくて仕方がなかったんですよ」


『いやー、キミ愛されてるねぇ~』


「うるせぇ……ああ、お前の紹介もしておかないとな」




優人が声を掛けると、それ(・・)は優人の肩にちょこんと座って現れた。


ナナ達は初めて見た、光だけで出来た妖精の様な姿に唖然としてしまう。




『やあどうも、この姿で会うのは初めましてかな?』


「の、脳内に話しかけてるの?」


「なんだか、変な感じです」


「「…………………」」




初めての感覚に戸惑うリアとニレ。

しかしその横でナナとイリスは何かに驚いたのか、無言でその妖精の様なものを見つめる。

先に口を開いたのはイリスだった。




「もしかして、あの時の、ヘルフレイムドラゴン?」


『おっ、キミは察しがいいね~。

そうだよ、ボクがあの時のドラゴンさ』


「そ、そんな………」




ナナとイリスの目が大きく見開かれる。



「何で?

何でユートは自分を誘拐した龍と一緒にいるの?」


「まあ、そうなるわな。

ナナ、ちゃんと説明するからとりあえず中に入ろう、立ちっぱなしで話聞くのは疲れるだろうし」


「うん、そうする。

でもその前に、確認」


『うん?どうしたんだい?』




イリスは光の妖精に近づき、まじまじと見つめてから言葉を発する。



「やっぱり、大精霊」


『うんそうだよ。

やっぱ森精(エルフ)にはすぐにバレちゃうね~』




















─────────────────────────





「ユート様、紅茶です」


「ああ、ありがとう」




目の前に置かれたカップを手に取り、口元に運ぶ。




「美味しいな、新しいの買ったのか?」


「はい、一か月前に王国で新しいのを入荷したと聞いたので買ってみたら良い味が出たので、それ以来この茶葉を使っているんです」


「へぇ、新しいのが。

そうだな、今度他に何があるのか見に」


「紅茶の話はもうおしまいっ!!」




バンッ!!とナナがテーブルを叩く。



「うぉっ、驚かすなよナナー。

ちょっと紅茶こぼれたじゃねーか」


「ユートがどうでもいい話するからでしょ!!

で、ちゃんと説明してよね!!」


「わ、分かったよちゃんと話すから………

ズィナミ、お前も手伝えよ」


『はいはい、それぐらいはしてあげよう~』




優人は龍に連れ去れた後にほぼ三ヶ月みっちりとやらされた特訓の事やそれが自分のダメな部分を叩き直すためのものであった事、特訓中にズィナミと呼ばれる大精霊と契約を結んだ事など事細かに話し始める。





「─────んで、この装備を貰って数日後にお前らの所にやって来た訳だ」


「2つ、聞きたい」


「ん、イリス何だ?」


「一つ、その装備の、シリーズ名」


「ああこれか?確か───」


『水鏡シリーズだよ、モチロンMR装備だよ~』


「だそうだ。それで二つ目の質問は何だ?」


「その大精霊、何を司る?」


「…………何だっけ?」


『ちょっとキミ覚えてくれて無いの~?

ショックだなぁ、もう。

ボクは力を司る大精霊ズィナミさ、よろしくね森精(エルフ)のキミ』


「イリスって、呼んで、ズィナミ」


「あっじゃあナナはナナでいいよ!!

えっと、ズィナミ、さん?ちゃん?」


『そうだね、ボクは性別は特に無いからね~。

ま、好きなように呼んでくれていいよナナちゃん』


「じゃあナナもズィナミちゃんって呼ぶね!!」


「初めましてズィナミ、私はリアです。

ユート様のメイドで奴隷です」


『へぇ、奴隷メイドとはキミもイイ趣味してるじゃあないか』


「わざわざそういう嫌な言い方するな。

────ん?ニレ、どうかしたか?」




淡々と自己紹介が進む中、ニレだけは表情を強張らせていた。




「皆さん、相手は大精霊様ですよ!?

何でそんな友達感覚に話してるんですか!?」


「いや、ニレちゃん今更すぎじゃない?

うちには今は居ないけどソフィアちゃんだって大精霊じゃん!!」


「そ、そうですけど………」


『へぇ、ソフィアとか久々に聞いたよ。

そうか、キミと契約を結んだもう一人の精霊ってソフィアだったのかぁ』


「ああ、まあな。

多分そろそろ帰ってくると思うんだけど」




へぇ、とズィナミは楽しそうに──顔のパーツは存在しないが──微笑む。


何かソフィアに用があるのかと優人が不思議そうにズィナミを見ていると、突然優人達の前に紫色に輝く円形魔法陣が現れる。



「な、なにこれっ!?」


「知らねぇよっ!!

おいズィナミ!!何か知ってるだろ!!」


『知ってるも何も、帰って来たんだよ~』


「やっほ~!!ソフィアちゃんのお帰り────ぇぶしっ!?」


「ソフィアうるさい。

っとただいまイリス。元気にしてた?」


「おかえり、アクエリアス。

私は、元気」


「いったいなぁも~!!

いいもん、リアのおっぱいで慰めてもらうもん!!」


「あっちょっとソフィア待ってっ!!

お、お願いだから服引っ張らないで無理矢理服の中に入ろうとしないでっ!!」


「帰って来た途端に賑やか過ぎるだろ………」




一瞬にしてうるさくなった我が家に、優人はため息をつきながらも優しい笑みを浮かべる。

その隣でナナもいつもの騒がしさが戻ってきたと喜びを隠せずに笑ってしまう。




「みんな帰ってきたことだし、今日の晩ご飯は美味しいもの作らないとね!!」


「お、ナナの手料理久しぶりだし期待してるわ」


「うん!!」



『ふーん、こういうのもたまには悪くないかな~』




一家団欒、とまではいかないが明るく皆が家族のように接しているその光景を少し離れたところから見ていたズィナミは、その輪の中に自分が入るという事を考えただけで自分の感情とは裏腹な事を言ってしまうのだった。







この後、ソフィアが優人とアクエリアスとズィナミにイジり倒されるのはまた別の話。





新たな精霊・ズィナミの登場と優人の帰宅によって3章前半終了です!!

次回から後半が始まります、お楽しみに!!


次回投稿は4/27(木)13:00予定です


※誤字脱字、感想等ありましたらお申し出頂ければ幸いです


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