資格を取れ
やっとダンタリオンに許可をもらったルシア。どうなるのか。
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ハロー、俺の名前はミカです。
今現在生命の危機にさらされています。
「……帰ってこんな」
そう、ルシアが帰ってこない。
ヤバイよ、俺罰せられるよ。ピーーーーなことされるよ。
なんて、俺が最悪の事態を考えているときに、やっとルシアが帰ってきた。マッテタヨォォォォ。
「ミカ、待たせた。すまない」
その言葉に涙腺が緩む。良いやつだ…………!!
と、そこで一人の人物に気が付く。
黒髪の長髪を腰より下まで伸ばしっぱなし、黒い瞳は微かに俺を睨むように細められていた。身長はルシアと同じくらい……ということは、俺よりも高いだろう。年齢は、二十歳は越えているだろうが、あまり正確な年齢は見た目からじゃわからない。陰気な顔が特徴で大人びた印象だ。
まあここまで観察するほどじろじろ見ていると、ついにその男が口を開いた。
「さっきから何です?言いたいことがあるなら言ってください」
俺に対しての言葉にトゲがあるのは気のせいだろうか。
「あ…………いや、誰かなって……」
消極的に返すとやれやれといった感じでルシアが助け船を出してくれた。
「ミカ、彼は……リオン。オレと一緒に学校に通ってくれるそうだ」
「無理矢理言われたんですけどね」
なるほど、ルシアはこの男性……リオンを呼びに行ってたのか。しかし、この中では俺が最年少じゃないのか?いくら学校が年齢制限なしで、資格さえあれば入れるからって……。まあ、大人になってから入るやつが多いらしいけど。
「…………貴様らに資格はあるのか?」
すると、女性が口を挟んできた。そうだ、資格さえあれば、ということは資格がなければ入れない。
資格、とは、【強さ】のことだ。あとは学校で養えば良い。
「あるさ」
断言するルシアに驚いたのは俺だけじゃないだろう。だがふと、あの魔物を追い払ったルシアの姿が頭に浮かんだ。確かに、あれなら申し分はない。
「そこまで言うなら強いんだろうな」
女性がそう言うと、門が地面と擦れながらゆっくり開いた。
「おお……開いた瞬間は初めてみたな」
「そうなのか、ではこれは珍しいのだな」
隣でルシアが言う。俺がそっちを見ると、ルシアもこちらを見ていたようで目があった。
「なんだよ?」
「いや、学校が楽しみだと思っていた」
そうとだけ言うとルシアはリオンに視線を寄せた。まるで従者のように頭を下げたリオンが先頭を歩くようにしながら、ルシアは学校へと足を踏み入れた。
俺もそのあとを追う。後ろでギギギ……と門が閉まる音を聞いた。非日常の学校が始まりを告げる音だった。
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女性に連れてこられたのは、室内の訓練場だった。訓練場とはその名の通り、実践訓練をするための部屋だ。ちなみに俺はというと、待機室にいろと言われたけどなんとか頼み込んでここにいる。待機室は教室と同じようなもんだな。
「では、名を名乗れ。認証された者でないと使えない」
女性の一言で先にルシアが前に出た。
「ルシアだ」
専用の魔法具に話しかけるとしばらくして、「認証しました」と音声がする。続いてめんどくさそうにリオンも同じことをした。
これは認証する、という役割も果たすが、訓練場を使うための許可も貰うことができる。
おそらく今回は女性が許可をとってくれるはず。
俺の予想通りで、今度は女性が魔法具に話しかけた。
「私だ。【白百合】隊長、ライラ」
ライラ……頭の中の情報と合わせてみて、ひどく驚いた。【白百合】といえば、数少ない女隊長がいる隊だ。しかもライラは男と張り合える力の持ち主だと聞いたことがある。
そういえば、ルシアが「生まれつき体にチャームがかかっている」……的なことを言っていた。
ライラの特徴だ。
…………?じゃあ、なんでルシアやリオンはかからないんだ?
「貴様らに与えるラインは、今から襲ってくる擬似魔物を20体以上倒すことだ」
ライラがそう言うと、ルシアが少し困った顔をした。
「どうした」
「……なんでもない、大丈夫だと思う」
リオンと目を合わせたルシアは小さくそう言った。
いよいよ、資格があるかの試験が始まる。
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