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まだ見ぬその果てへ  作者: 光神 蓮
第一章~始まりのハジマリ~
2/6

魔王の序章

どうも、光神蓮です。

少年の序章に続き、魔王の序章です。

少年は驚いている。

当たり前だろう、なにせ今まで額縁の外にいたものが、急に自分の世界にやって来たのと同然だから。


「少年?大丈夫か?」


繰り返すと、少年は口をぱくぱくさせながら、オレの後ろを指差した。

「?どうした、少年。」

「う、……うし、ろ。」

後ろ?後ろには、ミスリルスパイダーしかいないが。

「…………ああ、安心していい、この子はもう襲ってこない。」

事実だ。ミスリルスパイダーは賢い。

「さあ、ミスリルスパイダー。帰るといい。」

そう言えば、彼は帰る。あとで原因を調べないとな。


「お、お前」

「少年、立てるか?」


手を差しのべれば、戸惑いながらも握り返され、ぐっと少年は立ち上がった。

「あ、ありがとう?」

「どういたしまして。」

少年が首を傾げてお礼を言うものだから、思わず笑ってしまう。

「なっなんだよお前!笑うなよ!」

「すまない、ヒトと話したのは久しぶりで。」

「はぁ?そんな山奥に住んでるのか?」

「んー、そうでもない。」

訳がわからない、なんて顔だ。少年は幼い雰囲気を残した顔で目を丸くする。

「じゃあ、名前は?せっかく助けてくれたんだし、お礼がしたい。あと、どうやったらあの魔物を追い払えるくらい強くなったか聞きたい!」

完全に重要なのは後者じゃないか。

苦笑をもらすと、少年にさっさと名前言え、と言われてしまった。


「そうだな、名前はルシ……。」

「ルシ?」

「いや、なんでもない。…ルシアだ。」

「ルシアか。俺は、ミカ。」


にっと笑う少年、ミカ。とても眩しい。

「で?お前、どこに住んでるんだ?」

「オレ?ああ、オレはグランドラインに住んでいる。」


グランドライン。

この世界の最大の王国、の隣にある国だ。それなりの大きさだと、自負している。


「はっ!?」

少年が限界まで目を開く。

「いや、え!?グランドラインって、魔王治める魔物の国じゃねぇか!?」

「そのとおりだが。」

「あれだろ?醜い魔王が絶対王政で、酷いことになってんだろ?」

なんと、ミカは間違っている。

「そんなことはしていない。オレは優しい方だ。確かに容姿はよくないかもしれないが。」

「……………………。」

ミカの視線に首を傾げて問う。

「なにかおかしなことを言ったか?」

「い、いやなんでも。そんなわけないもんな。」


明らかにミカの態度はおかしかったが、あまり気にしないことにした。

「ところで、ミカ。」

「?なんだよ。」

「学校というところに行くのでは?」


「…………………わ、忘れてたぁぁぁぁ!!!」


ミカが、走る。なかなか早い。

オレも追いかけよう、と思ったとき。


『――――――――様っ!!』


呼ばれた。立ち止まり、その声に応える。

「どうした。」

『どうした、じゃないですよ!どこにいらっしゃるので?』

「細かいことは気にしない方がいい、【ダンタリオン】。」


これ以上会話を交わすとなにを言われるかわかったものではない。早々と立ち去ろう。


『っ!お待ちください、【ルシファー】様!』


「ダンタリオン、ここではルシアだ。」

『え?待ってくださいって!【魔王】様ぁぁ!?』













今、魔王の運命も動きつつある。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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