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【6】


【6】


 不満に感じている事は周囲のせいじゃない。

 自分の受け取り方によってその後の行動が変わっていく。


 もしかして、彼女も周りの何かのせいだと理由をつけて、何も行動する事なく不必要に不満をつのらせていったのかもしれない。

 展示会の作品を眺めながら、僕はそんな事を考えていた。

 彼女も何かのせいだけにしているばかりなのではないかと考えるようになったのは、彼女の友人たちが雰囲気変わったねと声をかけてくる事が多くて、どうしてなのかその理由を質問してみた。その答えは、いつも不満は周りのせいにしていて、不満そうな表情をしている事が多かったのだという。

 それは、僕にも言える事だった。どこに行こうと、自分が変わろうとしなければ何も変える事などできないくせに、周りに必要以上に頼りきってしまっていたから。

 

 私は、エスが言った言葉の意味を考えようとしていた。うん、日本語?だから言葉のを聞き取れなかったわけではない。その言葉の意味を読みとろうとして、頭が拒否反応を起こしている状態といえば上手く伝わるだろうか。

 「なに、それ。まるで、私の事が好きみたいな感じの言い方」

 わざと明るく言って、エスも冗談ですよと言ってくれるものだと思っていた。だけど、返事は違うものだった。

 「えぇ、そのとおりです」

 「……」

 「最後になりますし、言っておこうかと思いまして。あ、そうそう、さっきの話を聞く限り、もう、あなたは自分の答えを出せています。心の奥の自分がどう過ごしていこうと思っているのかも。そこまで、気づく事ができたのなら、アイツもそろそろ気づいているはずです」

 「え、ちょっとそれって、どういう?」

 エスは寂しそうな表情を浮かべる。 

 

 【後悔のないようにしたい】


 この世界にきた時と同じに、彼の声と自分の声が重なった気がする。

 あの時と同じ感覚がした後、目を開けると私は展示会の会場で作品の前に立っていた。着ている洋服を自分で確認して、たった2週間前なのに自分の服がとても懐かしく感じた。荷物を見ると自分のバックが肩からさげられていた。

 「…戻ってきた」

 嬉しいはずなのに、涙が自分の意志ではないみたいに一滴伝っていくのを感じる。

 「あのバカのせいだ」

 唐突に平行世界に行って、唐突に戻されるなんて理不尽だ。

 大切な事を学べたはずなのに、自分だけ言い逃げしているエスを思い出すとムカついた。少しは、エスの事を好きになっていたのかもしれない。

 心の中で彼に呼びかけても、もう二度と答えてはくれなかった。

 

 【物事にはいつか終わりが存在する。

 そして、新たな始まりが存在する。 

 もし、終わりが存在しなければ、始まる事すらできない。

 不満をもっていた2人は、自分の不満に思っている理由を理解したところで、同じ事を思って再び元の世界に戻ってくる事ができました。

 どこかに存在するパラレルワールドは、次はあなたを呼ぶのかもしれません】


 ここで、この物語は終わります。

 新たに始まる物語は、あなたが2人の今後を想像してみてくださいね。   



今回の投稿で、「パラレルワールド」は完結します。

お読みいただき、ありがとうございます。

他のお話も興味があれば、お読みいただけると幸いです。



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