どうしよう
「どうしよう」
この世界からログアウトできないとわかった僕は呆然として呟いた。
どうしよう。この言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡る。だが、このまま絶望してても仕方が無い。
どうにかしてこの状況を打開しないと。
「とりあえず、ここは初期村だし教会に向かうか」
気を取り直して、僕は教会に向かうことにした。なぜ教会かというと、スタート時に教会にいくと色々な支援をうけられたからだ。貰えた物は、「お金」と「ナイフ」。お金は装備や道具等を買う資金に。ナイフは一応は武器にも使えるが、基本はモンスター素材の剥ぎ取りや植物の採取用に使う。
どう行動するにしても、生活するための当座の資金は必要なのだ。というか、無いとのたれ死ぬしね。
一応、今の僕の装備は「普通の服(上)」「普通の服(下)」「普通の靴」らしい。ただし女性用。見たことあると思ったら、思いっきり初期装備だったりした。ここ来るまで、モンスターに会わずに助かった。武器もなにも無い上に防御0の初期装備とか・・・。
教会は、村の規模に対して大きく中央にあるため迷うことは絶対にない。教会につくまで村の様子を見ていたが、やはり何か違和感を感じる。
まぁ、体の違和感はめっさあるんだけどね。
教会についた僕は少し緊張しつつ扉を開ける。
中は薄暗くよく見えない。ただ、奥の女神像が祭られた祭壇は、ステンドグラスからの明かりに照らされて神秘的な光景だった。その光景にゲーム時代のときには無かった感動を覚えていた。
「どなたですかな?」
祭壇のほうから声がする。僕は、女神像に気をとられていて、人がいることに気がつかなかった。
「すいません。神父様でしょうか。」
僕は、相手が神父だと確信しつつ声を掛けた。なぜ確信しているかというと、この神殿には神父とシスターの2人しかNPCがいないからだ。で、さっきの声は男性なので神父である。
「いいえ、私はこの村の村長ですがなにか。」
ほらね、やっぱり神父さま・・・・・・え・・・そんちょう?しんぷさまじゃないの?
「どうなさったかな?」
フリーズした僕に心配そうな声を掛けてくる村長。
「え、ああ、すいません。ちょっと想定してなかったもので。」
僕は、あわててそう言い繕いつつ今の状況を考えた。
なんで教会に村長なの?神父はどこいったの?てか、NPCが移動してんの?いつの間にかアプデでもあったの?アプデで僕は女になり、NPCが持ち場を移動してんの?
そこで僕は思い至った。村での違和感はこれだったんだ。立っていただけのNPC村人が歩いていたのだ。
このゲームでははプレイヤー自由度の高さは好評なのだが、いかんせんNPCの評判がわるかった。場所固定型だったのだ。教会には神父とシスター、鍛冶屋には鍛冶屋の家族と弟子、食堂には料理人家族と給仕などなど。その施設にあったNPCがその施設から出る、又は違う施設にいるということはなかった。
何か僕の知っているゲームじゃない気がする。
ひょっとして、ここってゲームの中じゃないの?




