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みんなで部活動

 午後は一般教室での座学だけだった。

 昼食後の座学は眠い。


 ご飯を食べすぎるのは健康によくないので、

 朋夏は弁当を少なめに作ってくれている。

 だが、薫からいただく分を合わせると容量オーバーなのだ。

 まぁでもせっかく頂いている訳だし、美味しいので平らげてしまう。

 程よい微睡と、それを我慢しなければならない苦痛が俺を苛む。


 不良キャラの生徒なんかだと、

 キャラクターとして寝たふりを演じているとかなんとか言いながら、

 本当に寝ているヤツもいる。


 一般教室での座学はキャラクター論全般の話だ。

 自分の専攻を変えたいだとか、

 他のキャラクターとの掛け合いの仕方を知りたいだとか。

 そういった気概がなければ、

 大ざっぱで抽象的な内容なのであまり役には立たない。


 とは言っても、何をどう評価されるかも分からないし、

 あまり(そういうキャラじゃないのに)不真面目だとクラスを

 落とされる可能性がある。


 分類としてはAクラスが一番優秀でB,C,Dと順番に続いていく。

 定期的に審査が入って、クラス替えがあるので、

 注意していないとクラスが変わることもある。

 下の方のクラスだと、学内の監視カメラの前でも

 まともに演技をしない生徒も存在する。


 創作科も分類は同じだが、

 彼らはキャラになりきったり演技をする必要はない。

 提出した創作物によってクラス分けがなされる。


 創作科の人間はキャラ科の人間を指名して、

 創作の協力を要請できるが、自分の分類以下の人間しか指名できない。

 Aクラスならどのクラスでも指名できるが、

 CクラスならC,Dのクラスからしか指名できない。


 なお、学年の違いは指名する際には関係がない。


 睡眠欲を訴えてくる頭をなだめながら、様々な事を考えていく。

 色々な考えが浮かんでは消えを繰り返していき、

 自分でも何を考えているのか分からなくなる。


 あいにく、演技に関しては評価されているし、

 自分の専攻以外に手を出す必要と熱意はないので

 俺にとっては座学はそれほど重要ではないのだ。


 真面目に授業を聞いているフリを続けている内に、授業は終わった。

 欠伸をしながら気だるげに帰りの支度をしている八代に声をかける。

 ちなみに、八代は授業中居眠りをしていた。うらやましい。


「八代さん、部活に行こう」

「は?」

「部活で良い人が見つかるかもしれないし、

 それにみんなと一緒にいれば少しは寂しさがまぎれるよ」

 紅音部長からもことあるごとに八代を連れてこいと言われているので、

 良い機会だから今朝の話をこじつけて無理やり連れて行くことにした。


「いや、帰ろうと思ってたんだけど」

「あ、ごめん。何か大事な用でもあるのかな?」

「ないよ。私いまフリーだし」

「じゃぁ、一緒に部活に行こう」俺は強引に八代の手を握る。


「ちょ、あんた何やってんの」

 喚いている唯を無視して、手をつないだまま部室へと向かう。


 八代も呆気にとられているような顔だった。

 いきなり手を握られたことよりも、今の状況を分かっていない感じだ。

 こいつの事だから、朝のやりとりを忘れているのかもしれない。

 後ろから怒りながら罵声を浴びせてくる唯の声を聞こえないフリして、

 どんどん進む。


 ラノベ研のドアを開ける時、ちょっとばかり躊躇した。

 朋夏に目撃されたら、また面倒な事になるんだろう。

 容易に想像できたからである。


 唯もそれに参戦してやかましい事になるのに違いない。

 そして、薫が無駄に囃し立てるのだ。

 紅音部長は面白がって止めないだろうし、

 結太にしても創作科の人間だから余り割り込んでは来ない。


 そんな情景を一瞬でトレースして、

 しかし、そのまま突っ立っている訳にはいかないのでドアを開ける。

 ……部室はまだ閑散としていて俺のグループには部長しかいなかった。

 ほっと一息して、グループテーブルに向かう。


 紅音部長の今日の服装は巫女さんだった。

 髪の毛もいじらずにストレートに流していて、黒髪が凛とまぶしかった。

 こちらに気づいた巫女さんが会釈をする。


「あら、香苗さん。今日は来てくれたんですね。嬉しいです」

 ちょ、キャラちげぇ。

 部長はなんでもこなすので今日はそういうキャラなのだろう。


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新連載 『転生勇者は魔王の手先!? -チーレム勇者の異世界無双-』 開始しました!

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