表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MP1の転生者  作者: 赤い人
第4章-MP1の”13人目”の冒険者
63/64

テリトリー

本日3本め


次でラストです。

第4章-MP1の“13人目”の冒険者 其の8-



-ソウルから離れたとある廃村-



「これはひどいな・・・」

「ええ、全滅ですか・・・」

「・・・にゃん」



俺達は目に映る惨状に思わず声をもらした。


あの事件から15日経ち、俺宛の指名クエスト「廃村の現状把握と原因の殲滅」を受けてやってきた。


金品はそのままだが、建物は倒壊し、畑はあらされ、人が食い散らかされた跡がある――十中八九魔物の襲撃だ。


本来なら低級の魔物は侵入できないが魔物にも対抗手段が存在する――それは



「!? 【テリトリー】が発動している? カオリ! スズ! 戦闘体勢を!」

「はい!」「にゃん!」



俺はすぐに【クロックアップ×3】を使って体感時間を3倍にし、結界破りのスキルを使う。



俺は人差し指を前方に突き出し!


≪我は留まる事を知らない冒険者 いかなる危険があろうとも冒険することをやめない 我が進む道 例え茨だろうと人だろうと立ちふさぐものは何でもぶっ飛ばす! 我が覇道を邪魔するな≫

「【ゴーイングマイウェイ】」



これによってさっきまでの能力低下がなくなる。



「ちっ! 向こうが身体能力向上か!」



俺達に襲いかかったのはゴブリン族の群れだった。

どこに隠れていたのかわらわらと俺達を囲むように集まってくる。


視認できるだけで初級下位コブリン、初級中位ハイゴブリン、初級上位ロードゴブリン、中級下位ホブゴブリン、中級中位ハイホブゴブリン、中級上位ロードホブゴブリンを確認し、現在100匹ほどである・・・まだ増えている。



【テリトリー】というのは魔物版の【結界】のことである程度以上の魔物が集まると使われる。

古代級になると1匹で使えるらしいが・・・。


効果は【結界】と同じで敵対種族の身体能力の低下があり、さらに状態異常を引き起こしたり、今回のように仲間の身体能力を向上させるなど多岐にわたる。


人の【結界】は防衛用だが魔物の【テリトリー】はトラップや拠点侵略用である。


油断しているところで急に【テリトリー】を発動させることで戦いを有利に運んだり、【結界】に【テリトリー】をぶつけることで【結界】の効果を弱体化、もしくは破壊されることもある。

この廃村もこの魔物らに侵入され蹂躙されたのだろう。


一匹一匹なら【結界】でどうにでもできるが油断しているときに大侵攻されるとこの廃村のようになってしまう。



今のカオリとスズならハイホブゴブリンくらいなら大丈夫だが、ロードホブゴブリンが出てきてさらに【テリトリー】で身体能力を向上されたのでは危ない。



「カオリ! スズ! 上級身体能力向上ポーションを使え!」

「はい!」「にゃん!」



普段は高価なポーションは使わないが仕方ない。


補助魔法は限界値が存在する。

俺達の現在のレベルは322、99、99で下級補助魔法の上限を超えている。



俺もポーチから取りだした上級身体能力向上ポーションを飲み干した。


カオリとスズは背中を合わせて交戦し、カオリはいつもの槍、スズは大鎌近づいた敵は徒手空拳で倒していく。


俺はロードホブゴブリンを先に殲滅する!


すでにデホルトで使える【デュアルタスク】で目の前の敵を切り刻みながら詠唱を開始する。


≪荒れる狂う炎の海よ 彼の者らを 焼き尽くせ≫

「【バーニングフレア】」


『ギ、ギ、ギャ・・・』


よし!

雑魚2,30匹をやっつけた。

これで少しは動きやすくなる!


俺はロードゴブリンらに狙いをつけスキルを発動する。


「【五月雨浸透斬り】」



対物耐性をある程度無視できる斬撃を次々に決める。

ロードホブゴブリンは自慢のタフさを発揮することなく沈んでいった。

だが



-どかん-



「ショ、ショウ様!」

「お兄ちゃん!」



倒したと思った矢先、横から巨大な石の鉈が飛んできてまともに食らってしまった。

――周りがゴブリンだったので油断したところ同族を巻き込んでの一撃だった。


とっさに使った【アタックダメージカット】で威力は抑えたが腹部の一部がえぐれた。

だがこれくらいは問題ない、上級再生ポーションンを患部にかけ瞬時に再生が始まる。


現れたのは上級下位オーガ3匹と上級中位のハイオーガ1匹だった。

おそらくハイオーガがここのリーダーなのだろう――4mくらいの巨大な身体を持つそいつはオーガ達に守られる形で奥に陣取っている。


おそらく物量で押し疲弊したところをさっきみたいにズドンとおいしいところを持っていく作戦なんだろう。

またに一番奥にいるのは情勢が悪くなったら、囮にして逃げるつもりだからだろう。


したたかではあるが逃げられても面倒だ。



(カオリ、スズ。すまんが一気に決める)

(大丈夫です。気にせずやってください)

(こっちは大丈夫だにゃん!)



俺は詠唱を開始する


≪我が世界は加速し 汝らを置き去りにする≫

「【クロックアップ×10】」


先ほどの3倍以上に体感時間が引き延ばされ、俺の最大限のパフォーマンスが可能になる。


パーティと体感時間が異なれば意志疎通が難しくなり、フォローがしにくくなる。

だからカオリとスズの連携のためにも普段は合わせているのだが・・・。



≪我詠唱するは3つの魔法 遅れて発動せよ≫


「【トリプルディレイマジック】」


≪燃え盛るの炎の槍よ 我が手に宿り 彼の者を 貫き焼き尽くせ≫

≪燃え盛るの炎の槍よ 我が手に宿り 彼の者を 貫き焼き尽くせ≫

≪燃え盛るの炎の槍よ 我が手に宿り 彼の者を 貫き焼き尽くせ≫


遅延魔法を使って先に詠唱を完成させて、ハイオーガ目指して突き進む。

この速度に反応できるのは4匹のみ。


さらに【縮地】を使って接近した。


オーガ3匹が同時に襲ってくる。


「【バーニングフレアランス】」「【バーニングフレアランス】」「【バーニングフレアランス】」



続けざまに発せられる単体中級上位魔法を受けオーガ達は貫かれ崩れていった。

――身体能力が向上しようが対魔耐性が低いのは変わらない。


護衛の3匹が瞬時にやられたのに動揺しているのかハイオーガは戸惑っている。


「【疾風浸透斬り】」



俺はその隙を逃さず疾風のごとく連続で繰り出される浸透斬りによってダメージを与える。



『ギ、グ、ギャ~~』



「とどめ!」


≪弾けろ!≫

「【爆裂斬り】」



-ドボン-



【爆裂斬り】によって受けた斬撃は体内で拡大し、結果ハイオーガの肉体が爆ぜた。



「ん?」



どうやらハイオーガを倒したことで【テリトリー】が解除されたようだ。

知能の低いゴブリン族の生き残りは情勢の変化に気付かず未だ撤退する気配がないが、これならカオリとスズだけでも大丈夫だろう。


俺は【クロックアップ×10】を【クロックアップ×3】に戻し2人と合流して残りの敵を殲滅した。


残念ながら今のところショウとカオリ、スズとの実力の差は結構あるのでバランスが悪いです。


スズとカオリが上級職を持つようになるか、中級以上の補助魔術師がいれば別ですが・・・。



レベルについて

職業の等級によってレベルの上限が決まっている。

初級:0・・・身体強化補正なし

下級:1~9・・・レベル9で体重2倍、速度が2倍になる

中級:10~99・・・レベル99で体重5倍、速度は5倍

上級:100~999・・・レベル999で体重と速度は15倍

古代級:1000~9999・・・レベル9999で体重と速度は60倍

神話級:10000~


カオリとスズも5倍速まで出来るのですが【高速思考】が中級中位なので3倍速までしか使いこなせません。


訂正情報【クロックアップ×9】⇒【クロックアップ×10】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ