ロードの結界
次の話が短すぎるので2話続けて投稿しています。
3章-MP1の新人冒険者 其の5-
-18:50-
俺たちは5分ほど走り結界の変わり目に到達した。
・・・にしても俺たちのスペックには驚かされた。
軽く走ったつもりなのに世界記録を更新できたんじゃないだろうか・・・しかも息切れひとつしていない。
忘れているかもしれないが俺はまだ身体のできてない12歳の少年だ。
多分だがレベル0が元の世界と同じで、レベル1以上であり得ない感じに強化されていくんだろう。
「なんか結界が変わったような気がするんだけど、身体軽くなってないよね? ここで終わりなの?」
「はい、オオサカの最大結界範囲は越えたと思います。多分これはロードの結界に変わったんだと思います。」
「ロード? さっき聞こうとしていたやつだよね。どんな結界なの?」
「ロードの結界は同国の町と町を繋ぐ結界です。幅は10mくらいですが最大結界範囲くらいの強度の結界が張られていると聞いてます。」
「10mか~野営するには水辺の方がいいと思うんだけど、今からオオサカ結界に戻るのはありなの?」
「無理です。100日は戻れないそうです。」
「全力で走ったら今日中に着きそうなんだけどもう暗くなってきてるし、仕方ないからここで野営の準備をしようか。良く考えたら水くらい俺出せるわ」
さっきの戦闘でも忘れていたが俺は魔導士だ。
ちょっとした水くらい簡単に出せる・・・まあ町にいた時はライターくらいの火を出せるくらいのレベルで、戦闘にまったく役立ちそうになかったが。
今は結界も弱まったし、詠唱とか覚えたので派手なのが使えそうだ!
とはいえ実際の戦闘で使うのは練習が必要だろう。
後でロードを出てスキル更新をしながら試してみるか。
「お兄ちゃんすごいにゃ! 「攻撃魔導士」さんだもんね」
「そうですね。初めに無理は禁物ですし」
「おーし、そんじゃあ」
≪開け神の箱≫
「オープンゴットボックス」
俺はテントやらランタンやら机やら椅子やら食糧入りのサックやら・・・とりあえず適当に出してみた。
-ぐー-
「おなか減ったにゃん! よく考えたら朝から何も食べてないにゃん! お姉ちゃん! ごはん! 早く!」
そういえば今日はドタバタしすぎて何も食べてない。
「そんじゃあ先にご飯にしようか。俺も腹減ったよ」
「ふふ、そうですね。あの私の調理セットも出してもらえますか? それと水と火もお願いします」
「おーけー」
そういえば調味料も水も買い忘れているし・・・というか水を確保し忘れるって致命的なんじゃないだろうか。
たまたま俺が水出せるから良かったものの野宿をなめすぎだ。
・・・ついでに調理セットも買ってません。
スコップとかつるはしとかロープとか大げさな物は買いこんだんだけどな~
俺は調理セットとたらいに「ミネラルウォーター」のスキルで生み出した水を満たしてカオリに渡した。
火の方は薪を集めるのが面倒だったのでマジックアイテムの使い捨て燃料に「ライター」のスキルで火を付けた。
なおマジックアイテムは使い捨てでなくても使用すれば保有MPが減るので充填しなければいけない。
「ありがとうございます。それじゃあ今晩は手早く食べれる物でいいですか?」
「うん任せるよ。なんだったら手伝おうか?」
「いえ大丈夫です」
「お姉ちゃんの料理はおいしいにゃん! ぐー もう待ちきれないにゃん!」
俺とスズはテントを2つ組み立て――ようと思ったがスズの「いっしょに寝たいにゃん!」の発言で1つになった。
・・・落ち着け俺はまだ12歳で孤児院出身だから雑魚寝が普通なんだろう。
あとずっとマジックアイテムを使うのももったいないので薪を集めたり、周りに近づいたら音がなる仕掛けを作った。
-19:30-
「「「いただきまーす」」」
あたりは完全に暗くなったがランタンの光を頼りに料理に貪りつく――ついでに「ライト」のスキルもあったのでランタンもいらなかったかも。
「「おいしー(にゃ)」」
簡単な肉入り野菜炒めと根菜のスープとパンだが非常においしく感じる。
実は監禁中のご飯はかなりいい物だったので、料理のレベルとしてはカオリのはそれと比べるとかなり落ちる。
ただ初めての魔物との戦闘で疲れており、空腹だったことでかなりおいしく感じる。
・・・いや誰かと一緒に食べるのは久しぶりだし、俺のために作ってくれたっていうのがわかるからかもな。
「おかわりだにゃー」
良く見るとスズの前のサラはすべて空になっている――早すぎないか?
「はいどうぞ」
「ありがとにゃー」
こんな感じで俺たちは温かな食事を楽しんでいった。
次に続きます。